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刑事訴訟法

カード 91枚 作成者: かずとし (作成日: 2014/11/05)

  • 憲法37条1項により保障される「公平な裁判所」の裁判を受ける権利の趣旨は、司法への国民の信頼一般に加え、31条で保障される適正手続きの要請から裁判所を中立・公平な第三者立場に置き、刑罰権による不当な人権侵害から刑事被告人を守る点にあると解する。
    ではこれを担保する制度とは。

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  • 1

    憲法37条1項により保障される「公平な裁判所」の裁判を受ける権利の趣旨は、司法への国民の信頼一般に加え、31条で保障される適正手続きの要請から裁判所を中立・公平な第三者立場に置き、刑罰権による不当な人権侵害から刑事被告人を守る点にあると解する。 ではこれを担保する制度とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 直接的に担保するものとしては、①裁判官の除斥(刑訴法20条)忌避(21条)回避(規則13条)②司法権の独立(憲法76条3項)③裁判官の身分保障(同78条)④裁判の公開(同37条1項、82条)⑤起訴状一本主義(刑訴法256条6項) 間接的には、刑訴法256条3項の訴因制度、当事者主義の公判手続きなどがあげられる。

    解説

  • 2

    裁判官の除斥自由は20条に定型的に示されるが、21条の忌避事由については「除斥されるべきとき、または不公平な裁判をする虞があるとき」の意義が定かでない。訴訟手続きの審理方法が適切でないとして忌避できるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 判例は、忌避の制度は当該事件の手続き外の要因により当該裁判官によってはその事件について公平で客観的な審判を期待できない場合当該裁判官を係る事件の審判から排除する者であって、その手続内における審理方法、態度などはそれのみで忌避事由とはなりえないとする。 確かに不当な訴訟指揮などについては異議、抗告、上訴など不服申し立てにより争えるが、事後的措置のみならず、未然の防止策がとられるべき。 除斥事由が定型的であるのに対して忌避事由は非類型的、包括的で、定型化された除斥を補充して裁判の公正とこれへの信頼を確保しようとするもの。 さすれば忌避事由は訴訟手続きの方法、態度などを訴訟遅延目的でない限り、広く取り込んで解すべき。

    解説

  • 3

    予断排除の原則とは具体的な事件の審判の場において裁判所の予断偏見を防止し、公正な判断を保障するために適法な心証形成の時期に先立ち、裁判官が心証を形成することおよび心証形成の素材となしえない者で裁判官が予め心証形成することを禁ずること。 具体的制度をのべよ。

    補足(例文と訳など)

    • 根拠:憲法37条1項の保障する公平な裁判所を実現し、人権保障を図りつつ真実発見をなすため(1条)、訴訟に関しもっとも利害の強い当事者が証拠を提出しあう攻防の中裁判官が公平・中立な第三者として判断することが必要なのであって、そのためには裁判官が予断を抱き判断に恣意が介入するのを防止することが要請されるから。

    答え

    • <公判期日前>①起訴状一本主義256条6項②裁判官のみへの証拠保全、証人尋問の請求③裁判官による勾留に関する処分④逮捕状・勾留状の受訴裁判所への送付の禁止(第一回公判期日後でなければ許されない)⑤証拠調べ請求の禁止(例外:公判前整理手続き→争点整理など可能、裁判所の心証形成が目的でなく、公判審理の円滑信仰を図るための制度なので予断排除原則にかからないとする。) <冒頭手続き> 被告人の陳述の機会について(291条3項)詳細な質問は原則許されない。 <証拠調べ段階> ①冒頭陳述において証拠能力無き資料などで裁判所に偏見・予断生じさせる恐れのある事項述べてはいけない。(296条但書など)②自白調書の取調べ請求は犯罪事実に関するほかの証拠が取り調べられた後(301条)③捜査記録の一部の証拠調べ請求の分離(302条)④事実上or法律上関連のない証拠の証拠能力否定、法定への顕出すら許容されない事。

    解説

  • 4

    憲法37条1項は公正な裁判を受ける権利と同時に、迅速な裁判を受ける権利をも包含して保証する。その趣旨は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 憲法37条1項を受けて刑訴法1条は法令適用の迅速性、規則1条1項は裁判迅速性について重ねて規定する。これは迅速な裁判が刑訴法の目的たる人権保障と真実追求に不可欠であるから。 すなわち①刑事被告人という地位は無罪推定の下にあるとはいえ、時間・経済・労力・社会的に多大な負担を与え、身体拘束を伴えば不利益はさらに著しく、被告人にとってかかる不安定な地位から早期に解放されることが通常大きな利益となり、人権保障上不可欠。 ②また裁判の遅延は証拠の散逸、証人等の記憶減衰をもって実体的真実の発見を困難ならしめるため、かかる点でも迅速な裁判は不可欠だからである。

    解説

  • 5

    刑訴法がとる、迅速な裁判の担保を具体的に述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • <起訴前段階>逮捕・拘留期間の制限(203~208の2)、公訴時効の制度(250)、告訴期限の制限(235) <公判段階>起訴状謄本の遅滞なき争奪(271-1)公判前整理手続き(316の2~)公判期日厳守(276,277)事前準備(176条の2~)忌避申し立てへの簡易却下(24条)職権進行主義(273条)訴訟指揮権(294条)不必要・不相当な陳述制限(295-1)出頭・在廷命令(278条の2)継続審理主義(281条の6)、期日間整理手続き(316条の28)など <上訴>控訴提起期間制限(373条)即時抗告の提起期間制限(422条) <その他>簡易公判手続(291条の2)略式手続(461条)即決裁判手続(350条の2~) 起訴便宜主義(248条)公訴取消(257条)も事件の総量規制をして裁判の迅速性に寄与。

    解説

  • 6

    憲法37条1項に違反した裁判がなされた場合の被告人の救済はいかになされるべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 迅速な裁判の保障の趣旨が前述のとおり被告人の不利益防止と実体的真実の発見にある以上、37条1項は単にその保証上必要な立法上及び司法行政上の措置を要請するにとどまらず「迅速な裁判」をうける具体的権利を被告人に保証した規定と解する。 そこで個々の刑事事件において審理の著しい遅延の結果被告人の権利が害されたと認められる異常事態では、これに対処すべき具体的規定が無くとも審理を打ち切るという直接的非常救済手段(免訴判決言い渡し)がとられるべきと解する。 判断基準は①遅延の時間のみならず②遅延原因と理由③被告人の被る不利益など、諸般事情を総合的に考慮。 ※被告人側が積極的に期日指定申立するなど審理をうながす挙動に出なかったとしても、それのみをもって迅速な裁判を受けつ権利を放棄したと推定することは許されない。(高田事件)

    解説

  • 7

    当事者主義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 憲法37条1項保障の点でも述べたが、詳しい内容としては、主に訴因と証拠調べを巡る訴訟追行過程において当事者である検察官・被告人が主導的役割を担う訴訟構造のことを言う。現行法上、素養追行過程においては当事者主義を基調とする旨がうかがわれる。 ○公訴の提起・維持・取り消しを一方当事者たる検察官に委ねている(247.248.257)そして起訴状一本主義(256-6)の採用より捜査機関から裁判所への社会的嫌疑の承継を切断、「予断排除」をもって真実発見と人権保障を達成しようとする。 さらに裁判所に嫌疑を承継しないために、審判対象を検察官主張の具体的事実である訴因に絞る訴因制度(256-3)を採用し、訴因変更も検察官の専権とする(312-1) また証拠調べ段階では証拠調べ請求は原則当事者が中心になすとす(298-1) ただし迅速裁判の要請から例外的に職権主義的規定も存在(298-2職権証拠調べ.312-2訴因変更命令)、当事者主義を補充する。

    解説

  • 8

    検察官の役割についてその意義を述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 検察官とは検察権を行使する権限を持つ独任制の官庁、当事者の一方である原告、つまり訴追者の役割を務める機関。 しかしたんに利害対立を前提に一方の利益を追求する地位、ではなく、公益の代表者として裁判所に法の正当適用を請求すべき地位にある。(検察庁法4条) そこで検察官は社会秩序の維持に奉仕する行政官であるとともに、その職に当たっては司法官的な行動規範による修正がくわえられ、被告人の正当な利益を害することは許されず、手続き適正を確保する準司法官的役割を果たすことが要請される。(行政+司法)

    解説

  • 9

    刑事訴訟法では、司法警察職員(警察官などの一般~、専門の特別~がいる)と、検察官との関係をどのように規定するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 原則、対等・独立な関係において、互いに協力関係にあるとして(192条)捜査に関しては、司法警察職員を第一次的捜査機関、検察官を第二次的・補充的捜査機関としている。(189-2.191-1) しかし①汚職、脱税、知能的財産犯など高度の法律知識と操作技術を要する事件では検察官に第一次的な捜査が期待される。②また公訴提起、公判維持の観点から第一次的捜査の不備・血管を積極的に補正する必要性もあり、司法警察職員への検察官の一般的指示権193条1項、一般的指揮権2項、具体的指揮権3項が認められる。 ③しかも司法警察職員は193条4項より検察官の指示・指揮に従う義務を負い、正当な理由なくこれに従わなければ懲戒・罷免の可能性がある。(194条)

    解説

  • 10

    刑事手続きにおける弁護人の役割とは。弁護人が被告人有罪の心証を得ながらも、公判廷に提出されている証拠のみでは有罪認定に足らない場合、無罪主張をなせるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 当事者主義的訴訟構造上は、被告人は訴訟の一方当事者としての立場にあるが、相手方たる検察官が国家機関として強力な権限を持つ法律家である一方、被疑者被告人は法律的知識に乏しく、時に身体的拘束をうけ活動の自由を奪われ著しく劣位にいるため十分な防御をなしえない。 そこで人権保障を全うしつつ真実発見を図るという刑訴法の目的を達するため当事者主義を実質化し、被告人の地位を検察官と同等にすべきである。そこで弁護人の役割が現れるのであって、単なる訴訟代理人を超え、法律家として被疑者被告人を補助し、彼らの正当な利益を擁護する保護者としての役割を持つといえる。 ○弁護人は訴訟手続正当に不可欠な構成要素とし司法目的たる正義と真実に奉仕すべき使命がある(弁護士法1条)ため積極的真実義務を強調し無罪主張を許さないとする見解もあるが、上述の保護者的役割に鑑みれば弁護人は被告人保護を通じ正義に奉仕すべきで、積極的真実義務は観念できず、消極的真実義務(妨害回避義務)にとどまる。よってかかる場合も無罪主張は許される。(336条)

    解説

  • 11

    弁護人が無罪の心証を得たとき、被告人が有罪を望んでいてもこれに反し無罪の主張ができるか。無罪主張する被告人の意に反し有罪の主張をすることは許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ○前述の弁護士の役割に鑑みれば、被告人が望む有罪というのは、保護すべき正当な利益とは言えない以上、有罪を望む被告人につき無罪主張をすることは許される。 ○ただし弁護士には被告人に不利益となる行為が許されず、無罪を主張する被告人の意に反し有罪主張することは任務違反として許されない。

    解説

  • 12

    刑事訴訟法より、被告人を勾引または勾留する裁判所(76.77条)、公訴提起を受けた裁判所(272条)は私選弁護人選任権と合わせて国選弁護人選任請求権を告知する義務がある。 ではかかる告知を受けつつ被告人が依然として選任を請求しない場合、裁判所は国選弁護人を選任すべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 判例:36条「その請求により」の文言を忠実に解し、いわゆる強制弁護の場合を除いて、積極的に選任請求する者にのみ弁護士を付すれば足りるとしている。 しかし憲法37条3項は請求を要件としていないし、自らの権利内容も理解しがたい被告人を補助し、保護者として正当な利益を擁護するという弁護人の役割からして国選弁護人の選任を被告人の請求にかからせるべきでない。 そこで、被告人が請求しない場合でも請求の意味を十分認識したうえでの明示かつ積極的な放棄の意思表示がない限り裁判所は国選弁護人を選任しなければならないと解する。

    解説

  • 13

    国選弁護人から辞任することは認められるか。被告人が国選弁護人請求権を放棄できるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 辞任申し出をいかに扱うかについて、弁護人選任の法的性質が従来争われてきた。 なぜならこれを契約と解すれば国選弁護人からの辞任申し出のみで当然に地位を離れるが、命令と解すれば命令権者の解任手続きが無い限り当然には地位を離れられないと解されるから。 この点通説・判例は後者をとって、裁判所が「正当の理由」(弁護士法24条)があると認め解任しない限り弁護士は地位を離れることが出来ないとされてきた。 しかし平成16年の改正で、裁判所または裁判官による国選弁護人の解任権を規定(38条の3)判例・通説による取り扱いを明文化したのでかかる争いは立法的に解決。また38条の3で解任のための「正当の理由」を5つの解任事由として明確化した。 ○後半について、カード12にいう要件を満たせば、国選弁護権を放棄できる。ただし被告人がいったん請求をしておきながら、自らの帰責事由より弁護人を解任に追い込んだような場合、たとえ被告人が形式的に新たな弁護人選任を請求しても裁判所としては応じる義務を負わない。国選弁護権の濫用として禁じられるし、被告人の正当な権利行使の制限とは言えないからである。

    解説

  • 14

    37条の2で犯罪の嫌疑を受け、公訴を提起されていない被疑者に国選弁護権が認められる根拠は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点国選弁護の保障を定める憲法37条3項は主体を「被告人」と明記しており、被疑者の国選弁護を保障するものでない。 しかし憲法34条は身体を拘束された被疑者の弁護人依頼権を保障しているところ、弁護人に相談し助言を受けるなど弁護人からの援助機会を実質的に保障するもので、貧困等の事情で自ら弁護人を選任できない被疑者にもかかる保障を及ぼす必要がある。また公判手続きで当事者主義的訴訟構造をとる以上、公判当事者となり得る被疑者にも実質主体的な準備活動を行う必要がある。 よって一定の場合被疑者にも国選弁護権が認められ、①死刑or無期か長期3年をこえる懲役or禁錮に当たる事件②勾留段階③貧困等事情から自らの選任不可④デイ休をなした場合、弁護人を裁判官が付さなければならない。

    解説

  • 15

    被害者の立場について、刑事訴訟法上捜査段階で取られる保護とは。(公判からはめんどくさい)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 犯罪の被害者も刑事手続きの関与者であるにかかわらず当事者主義的訴訟構造を採用する現行法下では被害者に関する規定が少なく、保護の配慮は不十分。 一方で被害者は犯罪による一次被害のみならず刑事手続き対象となって被害が拡大しうるし(二次的被害)更には国家への不信を抱き社会における自己存在を破壊することにもなりかねない(三次的被害)。被害者が犯人の発見、証拠提供など刑事手続きでの役割が大きい分危険性も高いのだから保護の必要性は高い。 被告人被疑者の人権との兼ね合いから196条よりデュープロセスの保護が図られ具体的には、230条告発(司法警察員には検察官送致義務242条→検察官には処分の通知260条不起訴理由告知義務261条)制度が保障。参考人取調べ、証人尋問の対象となる(223/226・227)が、犯罪捜査規範10条の2、犯罪被害者等基本法19条などから名誉、プライバシーが保護される。

    解説

  • 16

    <捜査>憲法33条、35条によって令状主義が定められる趣旨とは何か。その例外が認められる根拠とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 捜査は刑事手続きの一環であり憲法保障の下にある。よって真実発見のための捜査必要性と人権保障の調和の下行われなければならない。そこで任意捜査原則≒強制処分法定主義(197条1項但書)を採用するとともに、法定された強制処分の濫用を防止するため公平な裁判官による事前の司法的判断を介入させ手続構成を担保する趣旨で、62条、199条、207条、218条などに、強制処分は原則裁判官の判断を経た令状に依らなければならない旨を規定した。(令状主義) ただ真実発見の要請がある以上捜査の必要性の見地からやむを得ない、つまり 犯罪重大性、証拠明白性が確保され、かつ手続きによる人権保障も代替的に図られる場合、実体的真実発見のため令状なくして強制処分をなしうる場合が存在する。憲法33条、35条で例外を認める通り、刑訴法も合理的な場合令状主義例外を規定する。(210条緊急逮捕212条213条現行犯逮捕220条1項現行犯逮捕に伴う捜索差押)※緊急捜索・差押は争いあり。

    解説

  • 17

    <捜査>197条1項の趣旨を説明せよ。「捜査については、その目的を達するため必要な取り調べをすることが出来る。ただし、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければすることが出来ない」とあるため問題となる。

    補足(例文と訳など)

    • 強制処分にあたる→法定されている→令状主義違反の問題。

    答え

    • かかる規定は、文言通り解せば強制処分法定主義を宣言したものである。 と同時に、捜査状の処分は必要性に見合った相当のものでなければならないことから(警察比例原則)捜査目的が強制処分によっても任意処分によっても達成される場合、任意処分によって行われるべきこと(任意処分原則)を定めたものと解される。

    解説

  • 18

    <捜査>強制処分と任意処分を区別する基準とは。任意処分としても、その限界は。(~した行為は強制処分に当たらないか。もしあたるならば197条1項より強制処分法定主義にかかり特別の規定なければ許されないし、199条207条218条のように規定されていれば令状も要求される以上、かかる手続きを取っていない本問が強制処分だとすれば違法となる。)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに強制処分とは、個人の意思を抑圧し、その身体・住居・財産などに制約を加え強制的に捜査目的を達成するなど、人権保障の見地(1条)から根拠規定なくして認めるのが相当でない強制力を持つものをいうと解する。(判例) 従来の直接・間接強制力要件を科学技術の発展から、電話の録音など物理力の行使なくとも人権侵害が可能な点妥当でないと批判。よって無形的法益の保護のため適正手続きの点「人権侵害の危険性ある捜査方法」と定義、田口説は捜査必要性・真実発見の点から「相手方の意志に反して重要な利益・権利の制約を伴う処分」と修正(田宮説▶︎田口説) そして強制処分でない、つまり任意処分としても、依然として人権侵害の危険性は存在する。よってその限界を定める必要があり、捜査比例の原則から、犯罪の重大性、嫌疑の程度から捜査目的を達するために必要な限度といえる、つまり必要性、緊急性が認められる場合であって(真実発見)、具体的状況下の手段として相当といえるか(人権保障)で判断すべき。

    解説

  • 19

    <捜査>捜査の端緒(189条2項「犯罪があると思料するとき」に捜査が開始する)には何があるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • その後の捜査、訴訟手続き、裁判に重要な意味を持つという意味で規定を置いたのが①現行犯(212条1項)②検視(229条)③告訴(230条以下)④告発(239条以下)である。 その他の捜査の端緒として、職務質問(警察官職務執行法2条)、所持品検査、自動車検問、捜査機関の現認、犯人の自首(刑法42条等)、請求(刑法92条2項、刑訴法237条3項238条2項等)などがある。

    解説

  • 20

    <捜査>行政警察活動にも任意捜査原則が適用されるか。職務質問などの行政警察活動につき有形力の行使が許されるか考えるとき関連して問題となる。

    補足(例文と訳など)

    • まず<捜査>としてるけど、捜査の端緒である行政警察行為については、司法警察活動である事件の「捜査」とはいえないことが前提。

    答え

    • 行政警察活動:個人の生命等の保護、犯罪の予防・鎮圧、公安の維持という行政目的達成のための警察活動⇔司法警察活動:司法目的を達成するための犯罪の証拠収集・保全などの警察活動 司法警察活動と区別されるとはいえ行政警察活動はあくまで行政行為で、「法の下の行政」の原理より根拠条文が必要。(強制処分法定主義的な感じ) さらに行政警察活動は捜査の端緒になる者であり一般の市民の利益に直接影響を及ぼすから捜査と同様の規制を受けると解すのが憲法31条の趣旨に沿う。 したがって刑訴法197条1項但書から被疑者その他の者の人権を可及的に保障することを目的とする任意捜査原則は行政警察活動にも妥当、強制力の判断基準も必要性・相当性の基準(比例原則)を持って解するべき。

    解説

  • 21

    <捜査>職務質問の際に停止させる行為として、実力行使が許される限度とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 「法の下の行政」原理から警察官職務執行法2条1項より職務質問自体は行政警察行為として許される。 そして犯罪の予防・鎮圧という目的を達成するには実力行使もある程度許されるべきである。 ただ、行政警察活動が司法警察活動と区別されるとはいえ、人権侵害の危険は依然あり、その区別も曖昧である。 さすれば任意捜査原則はかかる行政警察活動にも当てはまり、その任意性の限度についても、必要性が認められる場合、具体的状況下で相当といえる手段であれば許容される、と考えるべきである。

    解説

  • 22

    <捜査>所持品検査、つまり承諾を得ないまま所持品の中身を取り出す行為の適法性が問題となる。※承諾を得ているのならば人権侵害は考えにくく任意処分として問題ないのでかかる場合に問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ○まず所持品検査自体は根拠規定が無いが、警職法2条1項で規定される職務質問と密接に関連しその実効性を高める意味で必要かつ有効な行為として、同項を根拠として認められると解する。 ○ではその許容範囲は。かかる行政警察活動も、司法警察活動との区別が曖昧で人権侵害をなしうる以上任意原則が妥当する。すれば、所持品検査も原則相手の承諾を得て行われるべきである。しかし犯罪の予防・鎮圧という行政警察活動目的の達成には一定の場合にも承諾なくして所持品検査を認める必要がある。 そこでこの調和の観点から任意原則より、所持品検査の必要性・緊急性が認められ、(人権保障の観点からは)侵害される利益と保護すべき公共の利益との権衝等考慮し具体的状況下で相当といえる場合のみ許されると解する。

    解説

  • 23

    <捜査>自動車の無差別一斉検問について、これを正当化できる法的構成は。

    補足(例文と訳など)

    • 緊急配備検問は,犯罪捜査の一環として行われることから,刑事訴訟法197条1項の枠内で正当化される場合がある。また,交通検問に関しては,道路交通法(61条・63条・67条)を根拠に行われる場合がある。さらに,走行中の自動車に外観上不審な様子が認められる場合には,いずれの類型の検問に際しても,警察官職務執行法2条1項を根拠に職務質問のための停止を求めることができる。問題は,上の要件を充足しない場合すなわち個別具体的な根拠規定に該当せず外観上不審な点も認められない自動車を一斉に停止させる形で実施される自動車検問につき,現行法のいずれに法的根拠を求めるか。

    答え

    • 「法の下の行政」法律の留保より根拠条文が必要。 判例:警察法2条1項を根拠に認める。①警察法2条1項で認められる警察責務のため必要な活動なので任意処分の範囲で許される②任意処分であっても限界がある③検問が任意処分として許される諸条件を述べた。 通説は警察法2条1項が組織法で、具体的職務の根拠条文には適さないと批判し、警察官職務執行法2条1項によると展開する。職務質問を実質化するには自動車については停止させなければ不審事由を確認できないから、職務質問の要件「不審事由」存否確認として同項は自動車運転者に停止を求める権限を認めると構成する。(これには、拡張解釈であり不当、との批判がくわえられうる。) ただ、自動車運転者の自由を制限する以上、かかる必要性と人権保障との調和から、任意処分としての相当性判断が必要。 ①交通違反多発地域において②相手方の任意協力を求める形で③短時分の停止を求め④運転者の自由を不当に制約しない方法・態様であれば許されると解する。

    解説

  • 24

    <捜査>告訴無き親告罪についての捜査が許される場合とは。

    補足(例文と訳など)

    • 告訴とは犯罪の被害者その他一定の者が捜査機関に対して犯罪事実を申告しその訴追を求める意思表示であって、かかる告訴を訴訟条件とする犯罪を親告罪という。親告罪において告訴を欠く場合公訴棄却判決が下される。

    答え

    • ある犯罪が親告罪とされる趣旨が一様でないので場合分けする。 ①強姦罪など被害者の名誉保護のため 告訴は訴訟条件で捜査開始の要件ではないので告訴の可能性があれば捜査を行うことは理論上可能。また告訴期間があるところ(235-1)実体的真実発見の見地からは期間経過前でも証拠散逸を避けるため捜査を行う必要がある。 しかし捜査の過程においても被害者の名誉を侵害しうるので、無条件に許容するわけにいかない。思うに捜査の本質は公訴提起、公訴維持の準備活動にあることから、全告訴権者の告訴期間経過、告訴しない意思の明確化、公訴時効の完成で一切捜査も許されない。かかる事情が無くとも①直ちに捜査を行うべき緊急の必要性②被害者の名誉等害する恐れ無い場合に限って認められると解する。 ②器物損壊罪など事件が軽微なので:捜査の本質から公訴提起の可能性が全くない場合当然捜査は許されない。軽微性から被害者の意思に委ねたものであるので被害者の告訴が期待できないような場合も捜査は許されない。 ③親族相盗例など家族関係尊重より:公訴提起可能性なくして一切許されないのは同様、国家は過程に入らずの趣旨から告訴無くして一切許されない。

    解説

  • 25

    <捜査>任意同行と実質的逮捕をどう区別するか。 任意同行の形式がとられていたとしても、その際逮捕と同視しうる程度の強制力が加えられていたと認められるとき、実質的には逮捕行為があったといえ、かかる強制処分に令状が無いとして違法となる場合があり得るので、問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 逮捕についての規定を潜脱する恐れがある以上、実質的逮捕といえる基準を厳しく解するべきであるが、相手方の自由意思に基づく明示、黙示の承諾があるのに令状を要求すればかえって手続上相手方の不利益になってしまう。 そこで被疑者の同行を断る意思決定の事由が制圧されている場合、実質的に逮捕に当たると解する。 具体的判断基準としては同行①を求めた時間・場所②方法・態様③必要性④後の状況(取調時間・方法・監視状況)⑤捜査官の主観⑥被疑者の対応⑦同行を求めた時点で被疑者を逮捕する準備を完了していたかなど諸般事情を総合的に検討。

    解説

  • 26

    <捜査>「令状を発布しているから」といって被疑者を留置させる行為の適法性は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず令状を請求した段階で嫌疑が十分な程度に高まっているといえ、少なくとも行政警察活動から司法警察活動段階へ進んでいる。 ①まず強制処分に当たらないかを考察。強制処分とは、意思を抑圧し~。 ②次に任意処分の限界を超えないか検討。捜査比例原則から、嫌疑の程度、犯罪の重大性をもって必要性・緊急性を考え、具体的状況下で相当といえるか。被疑者が逃げようとしているとか、血まみれだとかなら必要性高まり、待たせた時間、有形力の行使については相当性判断基礎となる。(令状発布しているだけの嫌疑があるということ→強制捜査段階にあるとして留置の態様の許容範囲を広く解することもできる。令状発布の事実の告知は適正手続き要件。)

    解説

  • 27

    <捜査>任意同行を求めて、4夜にわたって宿泊させ、長時間の取り調べを行うことは任意取り調べ・任意処分として許されるか。徹夜での長時間による取り調べは許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 動向の状況を客観的に判断すれば、任意同行が実質的逮捕に至る者とまでは言えず、任意処分の限界の問題として論ずるべき。 そして任意捜査一環としての被疑者に対する取り調べは強制手段によることができないというのみならず、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度など諸般の事情を勘案して必要・緊急性をもって社会通念相当と認められる方法ないし態様および限度で許容されると解する。 よって捜査官らの有形無形の圧力が強く影響し、被疑者が事実上の強制化で取り調べに応じざるを得なかったような場合、実質的逮捕に至らなくとも、任意捜査として許容限度を超える者として違法となる。 (高輪グリーンマンション事件:任意同行後の徹夜での長時間にわたる取り調べについては一般的には被疑者の心身に多大の疲労を与え、被疑者の人権擁護の点からはできるだけ避けるべき。ただ本人から進んで申し出た・当初自白の主要部分に関する虚偽・帰宅休息の申出ができたのにしなかったなど特殊の事情を考慮。事案の性質、重大性、嫌疑等も勘案し社会通念上任意捜査として許容される限度を逸脱したとは言えない。)

    解説

  • 28

    <捜査>捜査官またはその協力者がおとりとなって第三者に犯罪を行うように働きかけ、犯行に出たところを逮捕しあるいは証拠収集を行うといういわゆる「おとり捜査」は、任意処分として許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ○まず強制処分でないことを確認。(詐術的効果があるが意思の制圧ないので否定) ○しかしおとり捜査には①捜査の公正を害する②対象者の人格的自立権害する③犯罪を生み出し刑罰放棄の保護法益を害する点、任意捜査の限界を超えるとも思える。通説はこれを犯意誘発型と機会提供型にわけ、前者は②の点違法性が特に強く、認められないとするもの。しかし捜査時点で犯意の有無を知ることは困難であるし、将来の公判審理が困難化することから機会提供型でも客観的に違法とすべき場合があると解する。 ○思うにおとり捜査の適法性は具体的状況に即し、捜査比例原則に従い必要性、相当性の点から限界を探るべき。 具体的には例えば麻薬取締法違反ならア「直接の被害者がいない」犯罪であることで②③に抵触せず、イまた侵害の少ない点相当性も認められ、ウさらに被害が明るみにでないことから捜査の必要性を認める。さらに、エ他の操作方法では摘発が難しいという補充性要件も課される。(高度の必要性)そして①との関連では、オ機会があれば犯罪を行う意思があると認められる者を対象としていることで必要性、相当性を高める。

    解説

  • 29

    <捜査>おとり捜査が違法とされた場合の訴訟法上の処理はどうすべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①違法なおとり捜査によって得られた証拠の証拠能力を否定すべきか、違法収集証拠排除法則の適用の問題となる。違法収集証拠排除法則の根拠として、憲法33、35条にいう適正手続の要請、令状主義の要請から違法な手続によって得られた証拠をその証明力に関わらず証拠能力を否定することで適正手続の担保とすることにある。 よって①令状主義の精神を没却するような重大な違法があり②証拠として許容することが将来における違法捜査抑制の見地から相当でないといえれば、証拠能力が否定される。おとり捜査違法の場合は令状主義の精神没却と言える違法、将来の違法捜査抑制の見地から許容できない点、証拠能力が否定されると解する。 ②では違法なおとり捜査で起訴された場合、形式裁判で手続を打ち切れるか。ア犯罪の害悪の重大性、おとり操作方法の格別の必要性、手段の相当性等を前提にいわゆる犯意誘発型の場合公訴棄却による制裁を考えるべき。イ常軌を逸した不法な手段が用いられた場合はいかなる場合も公訴棄却すべき。

    解説

  • 30

    <捜査>コントロールデリバリーとは。かかる捜査方法が許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 捜査機関が、規制薬物などの禁制品であることを知りながらその場で押収せず、捜査機関の監視下にその流通を許容し、追跡して、その不正取引に関与する人物を特定するための捜査手法(およがせ捜査) ・おとり捜査のように被疑者に働きかけて犯罪を誘発するものではなく、個人の人格的自律権を侵害するものではないから、任意捜査として許される。 ・ただし、任意捜査も無制限に許されるわけではなく、適正手続の観点から、①犯罪の重大性、②捜査方法の必要性、③手段の相当性が充足される場合にのみ許されると考える。

    解説

  • 31

    <捜査>現行犯逮捕の要件とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず現行犯逮捕は〜で強制処分。よって根拠規定を要し(197条1項)、令状主義にもかかる。 212条1項、213条、憲法33条によれば「現に罪を行い、または現に罪を行い終わったもの」を現行犯人とし、何人も令状無く逮捕できるとしている。令状主義の例外となるのは、犯罪の嫌疑が明白で誤認逮捕による人権侵害の危険が少なく、急速な逮捕の必要性があるためである。 よって現行犯逮捕の要件とは①犯罪と犯人の明白性②犯罪の明白性・時間的接着性が必要。①については事後的な判断では足らず、ア行為当時の状況に基づいて客観的、合理的に判断されるべき。またイ内偵などで知り得た客観的資料に基づく知識により容易に現行犯を認知できる場合も、一般人がわからなくとも許されると解する。(被害者の要求によっても其れのみでは逮捕は許されず、逮捕者が直接確知し得た諸般事情から合理的に判断し認められることが必要。) ②犯罪の現行性・時間的接着性については逮捕行為に着手した後に犯行の追跡行為が継続していれば現行犯逮捕は認められるが、追跡行為が中断した後は新たに要件を満たせば緊急逮捕ができる者の、現行犯逮捕はもはや認められないと解する。

    解説

  • 32

    <捜査>現行犯逮捕の要件として「逮捕の必要性」が必要か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 通常逮捕については199条2項但書、規則143条の3より「逮捕の必要性」が要件とされているところ、現行犯逮捕については規定が無いため逮捕必要性が要件とされるか問題となる。 此の点、かかる法の趣旨として、逮捕状の発布に当たり裁判官にその必要性の判断をさせ慎重にし、ひいて手続適正を担保することにある。よって令状なしで逮捕を認めた現行犯逮捕には直ちに妥当しない。 しかし令状なしの逮捕を認めたのは、令状発布を待つ暇のない急速処理を要する事態に対処するためで、逮捕者が現行犯人をその場で逮捕しなければ犯人の氏名・住所等不明となり、逃亡・罪証隠滅の恐れがあり、将来の刑事訴追が著しく困難になるという点、本来的に逮捕の必要性が要件になっていると解する。 よって身元が判明していて逃亡・罪証隠滅の恐れなく、逮捕の必要性が乏しい場合、現行犯の逮捕は許されないと解する。

    解説

  • 33

    <捜査>逮捕の要件は「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」(嫌疑を基礎づける事情の説得力、相当性)ことと逮捕の必要性(199条2項)。 そして逮捕の必要性は規則143条の3より逃亡の恐れまたは罪証を隠滅する恐れがある場合等となっている。 では被疑者が不出頭である時、逮捕の必要性があるといえるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 此の点規則143条の3は一般事由を示したにすぎず「等」の中に被疑者の不出頭が含まれるとする見解があるが、198条1項但書きは逮捕・拘留されていない被疑者は出頭を拒むことが出来る旨規定している以上、これを逮捕の必要性となると解すれば規定の意義を無視することになる。 ○199条1項但書きは軽微な事件について特に逃亡・罪証隠滅の恐れの他に逮捕要件を加え必要性を厳格化したと解すべきで、不出頭それ自体では逮捕の必要性とはならないと解する。ただし不出頭が何回も重なり逃亡の恐れが認められれば、逮捕の必要性が推認されうると解する。

    解説

  • 34

    <捜査>逮捕と勾留につき①主体②要件③手続④期間について、比較せよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①逮捕:捜査機関請求より裁判官が発した逮捕状より捜査機関が行う199条1項210条(現行犯については私人でも可。)勾留:検察官の請求により裁判官が発した勾留状より検察官が指揮して行う。207条1項本文・60条 ②逮捕:罪を犯したと疑うに足りる相当な理由、逮捕の必要性(199条2項) 勾留:60条、207条1項本文より罪を犯したと疑うに足る相当な理由、207条1項本文と87条1項より必要性 ③逮捕の令状主義は例外があり、不服申し立ての手続きが無い。一方勾留の令状主義には例外なく、必ず令状必要、204条~207条1項より逮捕前置主義にかかり、207条1項本文+61条本文82条~87条より勾留取消、勾留理由の開示、429条1項2号といった効力を争う手続きがある。 ④逮捕:205条2項より被疑者が身体拘束されたときから最大72時間 勾留:208条、208条の2より検察官が勾留請求してから原則10日

    解説

  • 35

    ☆<捜査>違法逮捕に引き続く勾留請求は許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点逮捕と勾留は別個の手続きとして、逮捕手続きの違法は勾留手続きに影響を与えないとする見解もあるが、207条1項において逮捕前置主義を取り、在宅被疑者に対する直接勾留を許さないことが定められている以上、逮捕が違法で釈放されるべき被疑者について引き続き勾留を認めるべきでない。 また逮捕について独立した不服申し立て手段がないことからすれば、逮捕の時点の違法も、勾留に引き継がれ、まとめてその適否を審査する必要がある。 よって違法な逮捕に引き続く勾留請求は認められないと解する。 しかしごく軽微な違法に過ぎない場合にも後続の勾留請求を認めないとすれば、真実発見の見地から妥当でない。そこで憲法違反、つまり令状主義の趣旨を没却するような重大な違法があり、これを看過することが将来の違法捜査抑止の見地から妥当でない場合に限って勾留請求を拒否すべき。※逮捕行為時点で緊急逮捕要件を備え、制限時間内に勾留請求が行われていればオッケー。

    解説

  • 36

    <捜査>被疑者勾留の手続きにおける瑕疵を理由に被告人勾留取消ができるか。かかる場合の規定が無く問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 此の点被疑者勾留と被告人勾留とは性質を異にすることを強調し、前者の瑕疵は後者に影響を及ぼさないとする見解もある。(この見解からは被疑者勾留の瑕疵は起訴前に準抗告で問題にするか(429条1項2号)公判廷で争うべきとすることになる。) しかし身体が拘束されている事件においては被疑者勾留が起訴により被告人勾留に自動的に移行するのであり、勾留の必要性、理由について60条に適い新たに審査がなされるわけではなく、前勾留手続きの適正が当然の前提となっているはず。よって被疑者勾留の瑕疵は被告人勾留に承継され、被疑者勾留の瑕疵を理由とする被告人勾留の取り消しは認められると解する。

    解説

  • 37

    <捜査>207条1項は「前三条の規定」により勾留につき請求を受け審査するとしているため、逮捕が先行しない勾留請求は許されないという、「逮捕前置主義」が導かれる。その根拠は。 そしてA罪で逮捕した被疑者をB罪で勾留できるか。逮捕の罪名と異なる罪名で勾留請求することが逮捕前置主義に反しないか、被疑者の逮捕先行の判断基準と関連して問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 根拠は、被疑者が逮捕される段階における嫌疑の存在と身体拘束の必要性の確定的な認定の困難さに鑑み、身体拘束につき二重の司法審査を経させることで捜査適性を確保しもって被疑者の人権保障を図ることにある。 ○この点人を基準に被疑者の身体に全体的に逮捕・勾留の効力が及ぶとし被疑者に何らかの犯罪事実を持って逮捕が先行していれば別罪勾留を肯定する見解(人単位説)があり、身体拘束期間の短縮に資する。しかし事前の司法的抑制ないし令状主義の理念の軽視につながる恐れがありひいて人権保障に欠ける。 現行法は被疑事実を基礎に被疑者防御権を保障している(200条1項,203条1項、204条1項)ことからも、事件を基準として、逮捕勾留の効力は逮捕理由となった被疑事実にしか及ばないとし逮捕の理由となった被疑事実と同一性のある被疑事実を理由になされた勾留請求でなければ逮捕前置主義より否定されると解する。かかる方が人権保障に資する。(事件単位説) そしてかかる同一性の判断基準は、刑事手続きの目的が刑罰権の実現で、捜査目的も公判の準備なのであって逮捕勾留も刑罰権の行使のためなされるものだから、312条1項訴因にいう「公訴事実の同一性」の範囲で被疑事実同一性が認められると解する。 A罪とB罪が公訴事実の点で一致しなければ、かかる勾留は違法となる。

    解説

  • 38

    <捜査>逮捕の基礎となったA罪に逮捕されていないB罪を付加して勾留請求できるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 逮捕前置主義に反し許されないのではないか。(204~207条1項) まず逮捕前置主義を徹底すればカード37を参考に、A罪とB罪が被疑事実同一つまり公訴事実の同一性の範囲内にあれば逮捕前置主義に反せず本問勾留請求は認められ、公訴事実同一性の範囲に無い場合B罪について逮捕がなされていない以上請求が認められないことになる。 しかし思うに逮捕前置主義が不当な身体拘束を防止し人権保障を徹底するためのものであることに鑑みれば勾留事実の一部であるA罪について逮捕が先行している以上、少なくともA罪については逮捕前置主義に反すると言えず、かつ被疑者にとってもA罪について勾留される以上B罪を付加したからと言って格別不利益になると言えず、かえって身体拘束期間の短縮につながる。 よって異なる罪名の被疑事実を付加した勾留請求を許すべき。

    解説

  • 39

    <捜査>一罪一逮捕一勾留原則の意義、根拠とは。 「一罪」の定義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 意義:同一の犯罪事実について逮捕勾留を2個以上同時になすことを許さないとする原則である。(ある事実について逮捕勾留をすれば同一の罪にかかる事実についてもはや逮捕勾留をなしえない。) 根拠:明文規定はないが、憲法が令状主義を採用している(憲33条)こと、刑訴法が逮捕・勾留について厳格な身体拘束期間の限界を定めていること(203条ないし205条、208条、208条の2)、訴訟行為の一回性の原則から認められる。 ○では一罪一逮捕一勾留の一罪とはいかなる意味をいうか。刑事訴訟は国家の刑罰権を実現することが目的の手続きだが、実体法上一罪とされるものに対しては国家の刑罰権は一個のみ発生することから、訴訟法上も「一罪」とは実体法上一罪を言うと解する。 ○ただ実体法上一罪にある事実でも事実が複数ある包括一罪は一度逮捕・勾留した後に発覚した事実につき新たに逮捕・勾留できなくなる。そこで常習犯等では実体法上の一罪と一致する必要なく現実におかされた個々の犯罪事実をいうとする(単位事実説)修正があるが、被疑事実の単複の判断に恣意が入り、また場当たり的捜査が可能となって、濫用されれば不当な逮捕勾留が繰り返されてしまうので妥当でない。

    解説

  • 40

    <捜査>「一罪」の定義につき、上の続き。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • おもうに一罪一逮捕一勾留を認める実質的な根拠として、一回の逮捕・勾留の機会に一罪の全部について同時処理の義務を検察官が負うことを前提に、たまたま後に一罪の一部をなす他の事実が判明しても被疑者の人権保障の見地からその事実についての再度の逮捕・勾留を許さないとするところにある。さすれば上記検察官の義務を課しうるのは同時処理が可能であることを前提とする以上、同時処理が不可能な場合、例外を認め改めて逮捕・勾留できると解する。 ただそれが濫用された場合、懈怠や能力不足で捜査が不可能であった場合にも一罪につき何度も逮捕・勾留を許さざるを得ないことになり人権侵害の可能性があるので、当初の逮捕勾留前に発生した事実は例外なく同時処理の可能性があったと見なす。

    解説

  • 41

    <捜査>再逮捕・再勾留禁止の原則とは何か、そして一罪一逮捕一勾留原則と何が違うのか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 203条以下の厳格な身柄拘束期間の制限を潜脱するという意味で、同一の被疑事実について複数回の逮捕・勾留が許されないという原則。 一罪一逮捕一勾留の原則が同時に一罪にあたる複数の事実についてそれぞれ逮捕勾留することは許されないとするのに対し、この原則は同時であることを要さず、ある一罪について逮捕勾留をした後は、もはやその罪について身柄拘束を許さないとするもの。 ただし199条3項より再逮捕が許される余地があり、再勾留についても解釈により認める余地がるが、後述する。

    解説

  • 42

    <捜査>重要な本件取調べを目的として比較的軽微な別件で逮捕・勾留する別件逮捕・勾留について、その適法性は。

    補足(例文と訳など)

    • 此の点警察実務は逮捕・勾留の要件について別件を基準に判断し別件において要件を欠く場合のみ違法な逮捕勾留とするが、別件について要件を欠けば違法手続になるのは当然で別件逮捕・勾留の脱法的本質を無視しており不当、問題となるのは刑式的には別件について逮捕勾留の要件を充足している場合の適法性。

    答え

    • 思うに別件逮捕・勾留は①本件について令状による裁判所の司法的抑制が及んでおらず実質的には令状主義の先達であること。②重大な本件の自白を得るためかかる逮捕・勾留を手段とする点黙秘権を侵害し自白強要となる恐れがあり③また改めて本件についての逮捕・勾留を認めることが身体拘束期間の厳格な制限を潜脱する これらのことから、本件についての逮捕の要件を具備していない場合、本件の取調べを目的として逮捕勾留の要件を具備する別件で逮捕勾留することは違法で許されないと解する。 ○そして判断基準として本件取調べ目的であったかどうかは客観的事情から推知せざるを得ない。よってその後の余罪取り調べの違法性の程度がはなはだしいときすなわち実質が本件の逮捕勾留と同視しうべき場合+証拠の整わない本件取調べを目的とする場合は初めから違法目的であったと推測。具体的には①本件についての捜査状況②別件についての逮捕・勾留の必要性③別件と本件の関連性・軽重の差④取り調べ状況などを総合考慮すべき。

    解説

  • 43

    <捜査>違法な別件逮捕・拘留中に得られた供述の証拠能力は認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 伝聞例外321条以下の要件を満たすとしても、証拠能力が認められるためには違法収集証拠排除法則にかからないことが必要。 此の点~法則は明文の規定が無いが、適正手続きの保障、司法の廉潔性、将来の違法捜査抑制の見地から認められる。 違法な別件逮捕・勾留は憲法33条34条に反する重大な違法に基づく供述といえ、かかる法則にかかって証拠能力は否定されると解される。 このようにして証拠能力を欠くとされる供述は当該事件で有罪の証拠とすることが出来ないだけでなく、本件(別件逮捕・勾留における本命)についての逮捕勾留を請求するための資料としても利用することはできなくなる。また別件逮捕勾留後の本件による逮捕がかかる違法な別件逮捕・勾留において得られた違法な証拠ならば身体拘束自体違法となり取り消されるべきであるし、かかる本件逮捕中になされた供述も毒樹の果実の法理より証拠能力を欠く。

    解説

  • 44

    ☆<捜査>A罪で逮捕勾留された被疑者に余罪であるB罪について取り調べることはできるか。B罪の取調べ目的で逮捕勾留したのではないとして身柄拘束自体に違法な別件逮捕勾留を否定されても、かかる余罪取り調べの限界が問題となる。被疑者への余罪取り調べの法的性格、身柄拘束された被疑者の取調べ受忍権の有無と関連して問題となる。

    補足(例文と訳など)

    • 田宮説が近年有力。

    答え

    • 被疑者に取調べ受忍義務はあるか。被疑者の黙秘権(憲法38条1項、法198条2項)を実質的に侵害し、自白強要を招くなど憲法31条の要請する適正手続に反し妥当でないので、身体拘束された被疑者に取調べ受忍義務はないと解する。 さすれば身体拘束中の被疑者の取り調べは任意処分と解すべき。もっとも任意処分とは言え弁護人の立会を排斥した密室での取調べには強制の契機があり、かかる契機を払拭する一定の条件を満たせば許されると解する。 具体的には①余罪事実及び受忍義務のない事の告知②黙秘権及び放棄の効果の告知③弁護人請求権の告知を「新たに」行うことで任意性が保障され、捜査の必要性との調和の観点から一般的に見て自白強要の弊害が生じないと考えられる場合、具体的には主たる犯罪の取り調べについて付随性(余罪が本罪に比べ不当に重くない、科刑上一罪の関係、同種事案など関連性あり)が認められれば余罪取り調べが認められると解する。

    解説

  • 45

    <捜査>一度逮捕勾留がなされた被疑事実について被疑者を再逮捕・再勾留することが許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 逮捕・勾留の一回性の原則、つまり被疑者の身体拘束期間を厳格に制限し人権保障を図った法の趣旨を害するため原則認められない。 しかし捜査の流動性、必要性の見地から再逮捕再勾留を一切許さないのは妥当でなく、例外を認める必要がある。 ○再逮捕については199条3項において例外が認められている。①新証拠、逃亡・罪証隠滅の恐れなど前身体拘束後新事情が生じた場合で必要性があり②犯罪の重大性、嫌疑の明白性など諸般事情から被疑者の人権保障の要請と対比しやむを得ない場合で(相当性)③逮捕の不当な蒸し返しと言えないときある程度緩やかに再逮捕が許される。 ○再勾留については規定が無いが、勾留の前置手続たる逮捕について例外が認められるのに留置が認められないとするのは妥当でない。そこで逮捕勾留の不当な蒸し返しと言えない限り、再勾留も許されると解するが、勾留の方が期間が長く態様としても人権侵害の度合いが強いため、その基準は厳格に解すべき。 ※先行の逮捕・勾留手続きに違法があった場合も再逮捕再勾留の例外が許されるか。適正手続き要請・将来の違法捜査抑制の見地から否定すべきとも思えるが、違法が軽微な場合は真実発見の見地から例外的に認めるべき。

    解説

  • 46

    <捜査(ここから捜索差押)>捜索差押は犯罪の証拠となる物を得るため行われる法定された強制処分であり、令状主義にかかり令状を要する。では令状を発布するために必要な捜索押収理由とは。そして必要性要件について判断権者とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 35条令状主義において明示要件となっているのは正当な理由、重大プライバシー侵害を正当化するに足りるもの。捜索では証拠物存在の蓋然性、差押では被疑事実との関連性。 では令状裁判官は捜索押収についてその理由のほか、捜索差押の必要性を判断できるか。199条2項のような規定が無く問題となるが、思うに目的とする証拠の重要性がさほどなく、他の証拠でも十分といえるような場合にもプライバシー侵害を裁判官が抑制できないとするのでは令状主義を定めた35条の趣旨に反する。 よって199条2項但書きの趣旨は捜索差押にもおよび、裁判官に必要性の判断権を認めるべき。(国学院映研フィルム事件でも差押必要性の審査権を準抗告裁判所に認め、令状裁判官の審査権を前提にしているものとうかがえる。)

    解説

  • 47

    <捜査>捜索差し押さえ令状に要求される記載の特定の程度について、「差し押さえるべき物」219条1項についてどうか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 219条1項が目的物の明示を要求するのは憲法35条による適正手続きの要請である。この趣旨は①裁判官が捜査機関に許可した捜索差押の権限の範囲を明確にする点および②令状の執行を受ける者に対し強制処分の範囲を明示し無差別的恣意的な捜索差押による、不当な住居の平穏、プライバシーの侵害を抑止する点にある。 よって求められる特定の程度は「差押の現場において捜査官および処分を受けるものが令状と対照すれば誤りなく識別できる程度」の具体性個別性が必要である。 →ただし捜索差押が捜索の初期段階で行われることから対象の具体的内容の特定が困難であることが多く、余りに厳格な特定を要求すれば捜査機関に不可能を強いかえって取り調べ段階における自白強要の恐れの助長となりかねない。 そこで適正手続きの要請と、捜査の必要性の調和の見地からある程度包括的概括的記載も許され、「その他本件に関係ありと思料される一切の物件」という記載でも、具体的例示に付加され、かつ被疑事実の記載が十分に特定され「本件」の内容が明らかならば許される。

    解説

  • 48

    <捜査>捜索令状に要求される記載の特定の程度について、「捜索すべき場所」219条1項についてどうか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 35条1項の要請。記載が個別具体的であることが要求されるが、捜査初期段階では具体的内容が判明していない場合が多くあまりに詳細な起債を求めるのは捜査必要性の見地から妥当でない。よってある程度概括的な記載でも、合理的解釈からその場所を客観的に特定しうる程度であることを持って足りる。 具体的には空間的位置の明確性、管理権の単一性が必要。 空間的位置の明確性とは町名番地等によって場所を明確化することで、一般的探索的捜索を禁止するために必要である。そして管理権が単一であれば一通の令状で足り、複数であればそれに応じた数の令状が必要と解する。

    解説

  • 49

    <捜査>捜索差し押さえ令状に要求される記載の特定の程度について、「罪名」219条1項についてどうか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 219条の規定を持って、憲法35条の要請より要求される。実務上では刑法犯については犯罪の一般的名称が表示されるが、特別法については『~法違反』とされるに過ぎない。そこで特別法違反についても罪名、具体的罰条を記す必要があるか。 此の点判例では具体的罰条の記載を不要とするが、罪名が記載要件とされる趣旨は令状がほかの事件の捜査に流用されることを防止するため被疑事件を特定するという点にある。さすれば刑法犯と同様、特別法犯についても~の記載が必要と解する。 また罪名記載は目的物特定にも重要な役割を有し「その他本件に関する一切の物件」のような概括的記載によりなされる場合、『本件』の内容を罪名記載によって保管して特定する必要がある以上罪名の記載は必須と解する。

    解説

  • 50

    <捜査>場所に対する捜索令状によってそこの居住者、居合わせた者の身体捜索が可能か。(差押は別問題)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • これを令状主義の許容外の新たな人権侵害とすれば、身体捜索令状が必要な強制処分が令状なくしてされているところ違法とされるので問題となる。 まず場所について特定のある令状に基づいて捜索できる範囲とは①外延は同一の管理権の限度で②備品・付属物など場所内に存在する者に及ぶことに異論ない。 本問を考えるとき①219条・107条が捜索すべき場所と人の身体を明確に区別している「捜索すべき場所、身体」②空間と人格を持つ人の身体とでは差がある③身体の捜索によって害される利益は場所の捜索によって害されるプライバシーの利益を超え津ことから原則許されないと解する。 ※しかし居合わせた者が目的物を身体に隠すのを目撃したり、物を持って逃げ出したような場合まで許されないとするのは捜査の必要性の見地から妥当でない。 そこで①捜索の目的物を所持していると疑うに足りる十分な状況、②目的物の確保必要性と緊急性がある場合、ある程度の身体捜索が222条1項、111条1項の「必要な処分」として許されると解する。

    解説

  • 51

    <捜査>では場所に対する捜索令状によってそこの居住者、居合わせた者の携帯物(鞄とかケータイ)について捜索が可能か。(差押は別問題)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず捜索場所に居住する者またはこれと実質的に準ずる地位にある者の携帯物については居室の備品あるいは付属物として令状の効力が及ぶと解する。 なぜならかかる携帯物が捜索場所にあるか携帯されているかは偶然の事情であるし居住者には被疑者・被疑事件との関係がありその携帯物が捜索目的物を含む蓋然性が高いから、捜索必要性が認められ一方で身体捜索に比べ携帯物の捜索は人権侵害の程度も小さいから。 よって偶然居合わせた者についてはかかる蓋然性がなく、また居室の付属品ともいえず令状の審査も及んでいない点その携帯物の捜索は許されないと言える。ただし第三者が捜索中に捜索場所にある者を隠匿したと認めるに足る事情があれば、例外的に当該令状に基づく原状回復措置として携帯物への捜索が許される。(あくまで当初予定の捜索の一部なので必要な処分とは異なる。)

    解説

  • 52

    <捜査>捜索・差し押さえにおいて、実力行使が111条1項222条1項の「必要な処分」として許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • たしかに適正手続きの要請からすれば、さらに人権侵害を強める実力行使は許すべきでない。 しかし捜索・差し押さえの際に被処分者が抵抗し妨害をなすことは十分予想しえ、かかる場合に捜査機関の実力行使を一切許さないとすれば捜索・差し押さえをなすことは著しく困難となって捜査目的が達成できないことになる。 そこで捜索差押の適正な遂行上「必要かつ最小限の範囲内であり手段にも相当性が認められる限り」で、捜索差押に伴う実力行使は、令状執行に「必要な処分」として222条1項本文111条1項を根拠に認められると解する。 ※令状提示の原則(222条1項110条)は処分内容を了知させ、処分に対する不服申し立て(430条)の機会を与えるため必要。よって令状呈示前の行為を『必要な処分』というには相当性の点厳しく解すべき。

    解説

  • 53

    <捜査>捜索差押の際、携帯電話について、覚せい剤の取引相手の連絡先を知るためメモリーを呼び出す行為は『必要な処分』として許容されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 222条1項111条1項で『必要な処分』が認められた根拠は差押え対象物を発見するため、又は証拠として必要かどうかを確認するためには、ある程度の強制力を行使しなければならない場合があるから。捜索・差押えに「必要な処分」は、差押えの目的を達するために必要な範囲のものでなければならない →条文に挙げられた「錠をはずし、封を開き」は、必要な処分の例示である →適正手続きの見地より必要な処分は、その内容・方法が目的に照らし社会通念上最も妥当かつ最小限度のものでなければならない。 携帯電話自体の押収→携帯物の押収。カード51参照。 そして押収した携帯電話には、覚せい剤に入手先等の電話番号が登録されている可能性が高く、これを確認するには、携帯電話のモニターに表示する必要がある。 →登録データを破壊せずに携帯電話のモニターに表示できる場合に、これを表示して確認することは、社会通念上最も妥当かつ最小限度のものであるから、必要な処分として認められる。

    解説

  • 54

    <捜査>フロッピーディスク、データCD-Rを包括的に差押することは許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 包括差押は差押対象物の特定を求める219条1項、そしてその根拠としての憲法35条に反する以上認められないのではないか。 思うにかかる規定の趣旨とは、一般的・探索的な捜索押収を許す令状を禁止しもって被執行人の人権を保障する点にある。さすれば令状に基づく捜索差押執行の許される範囲は①令状記載の被疑事実と関連性があり②必要性がある対象物と解される。では①関連性の有無を把握せず包括的にディスクを差し押さえる行為は許されないのが原則である。 しかし①記録媒体自体に可視性、可読性が無く、関連性、必要性の判断には機械を通して内容の確認が必要な以上選別が容易でない。②また電磁的記録は処理・加工・消去が容易で、選別の間に被処分者によって証拠が隠滅される恐れもある。 そこでA対象情報がそれらの一部に含まれていると疑うに足りる相当事由B選別の非容易性C罪証隠滅の危険性、これらを満たすときは包括的差押が可能と解する。 ※上のカードと被るが、現場でのアウトプットは執行目的達成に必要で、社会的相当性も満たすので『必要な処分』として許容される。

    解説

  • 55

    <捜査>220条1項は被疑者の逮捕、現行犯人をとらえるとき、現場における捜索差押を認めているが、この根拠は。通説は折衷説と緊急処分説。私は基準の明確性から緊急処分説をお勧めする。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 此の点、かかる現場においては証拠が存在する蓋然性が極めて高いことを根拠とする説(相当説)があるが、それでは220条1項の適用範囲があまりに広い。逮捕の現場におけるあらゆる捜索差押処分をゆるし令状主義憲法35条の趣旨を没却させる点不当。 思うに令状主義の例外として逮捕に伴う無令状捜索差押を認めた根拠は、逮捕を完遂する緊急の必要性と、証拠の破壊を防ぐ緊急の必要性が認められるからと解する。 そこで認められる要件としては①捜索差押対象の範囲内A証拠の必要性から犯罪事実との関連性を有する物B逮捕完遂必要から逮捕の完遂に資する物であること②逮捕する状況の存在、後で詳述するが被疑者の現場に存在すること、逮捕の直前後という時間的接着性③そして被疑者の身体・被疑者の直接支配にあった場所など、場所的接着性が必要と解する。

    解説

  • 56

    <捜査>逮捕に伴う捜索・差し押さえが許される時間的範囲・場所的範囲とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず許容される根拠とは~緊急処分説。 そこで220条1項柱書「逮捕する場合」とは現に被疑者を逮捕する状況をいうと解し、具体的には被疑者が現場に存在し、および少なくとも逮捕の直前直後であることが必要と解する。(逮捕の成功・失敗はかかる緊急の必要性に影響を与えないので、逮捕の成功は必須でなく逮捕に着手したといえる状況で足りる。) そして同項の「逮捕の現場」とは、かかる緊急の必要性が認められる場所的範囲、被疑者の身体またはその直接支配下に限られると解する。 よって身体については、逮捕した場所以外でも『現場』といえるため、例えば逮捕の現場にいては被疑者の名誉等を害し、被疑者の抵抗による混乱を生じ、または交通を妨げるといったその場で捜索差押を直ちに実行すべきでない事情があれば、速やかに実施に適する最寄りの場所へ連行して行うことも『現場』の捜索差押として許される。

    解説

  • 57

    <捜査>逮捕に伴う捜索・差し押さえが許される物的範囲とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 緊急処分説からは逮捕完遂・証拠隠滅防止の緊急の必要性を根拠とするところ、捜索差押の範囲内、つまり証拠隠滅を防止するという点犯罪事実と関連する物件、および逮捕完遂の妨害となる凶器に限られる。

    解説

  • 58

    <捜査>被疑者の同意を得て令状なしに捜索差押をなすことが出来るか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 此の点捜索は侵害される法益がプライバシー権、住居の平穏という個人的利益であるので放棄が可能で、真意に基づく同意を持って任意処分となり無令状の捜索差押が可能とする説もある。 しかし強制捜査を同意のみで許容すべきでない、なぜならかかる権利放棄は捜査機関の請求があってなされるもので強制的色彩は未だ強いし、被疑者が権利内容、放棄の効果を真に理解しているとは言えない。更に捜査機関の便宜的捜査活動を許しかねない。よって不当。 そこで有効な同意があったといえるには①承諾をなす完全な権限をもち(家主)②意味を十分に理解し③自由な意思で積極的に同意したことを要し、この場合にのみ同意捜索を許容できる。 ※犯罪捜査規範は、かかる要件を置いても任意に同意があるとは考えられない以上、「住居主または看守者の任意の承諾が得られると認められる場合においても、捜索許可状の発布を受けて捜索をしなければならない」としている。

    解説

  • 59

    <捜査>令状による捜索・差し押さえを執行している間に、令状に記載のない、別の犯罪に関係のあると認められる証拠物が発見された場合、捜査機関がこれを収集するにはいかなる方法が考えられるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず①その物の所有者などに任意提出を求めこれを了知する(221条)②違法薬物など発見された物の所持が違法なら所持者を現行犯逮捕し逮捕現場における捜索差押をする(220条1項2号)③現場に看守者を残し(112条2項)その証拠について新たに令状を請求し発布を受けて差押を行う。 ※令状発布を待つ時間的余裕のない場合はどうするか、この点220条1項2号を準用し210条(緊急逮捕)要件を類推適用、①嫌疑の十分性、相当性②対象物の犯罪事実関連の蓋然性③押収物の存在の蓋然性④令状発布を待てば犯罪解明が著しく困難になるという緊急性、これらを満たせば「緊急捜索・差押」を許すという説もあるが、逮捕に伴う捜索差押とは根拠が異なり220条1項2号を準用すべきでないし、令状主義、強制処分法定主義の点許すべきでない。

    解説

  • 60

    <捜査>おまけ 緊急逮捕の意義と根拠、問題点について述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 210条という明確な規定があり、急を要するためにまず被疑者を逮捕し、後に逮捕状を求めるという手続。 要件は①犯罪の重大性(死刑、無期、3年以上懲役、禁錮の実刑)②罪を犯したと疑うに足りる十分な理由③急速(逃亡、罪証隠滅の恐れ)を要し裁判官の逮捕状を求めることが出来ないとき(④事後的に令状発布を受けること) 35条令状主義に明らかに反し、違憲とする学説がヒートアップ。

    解説

  • 61

    <捜査>捜査機関がもっぱら本件の証拠獲得を目的として形式的に要件の具備している別件により行う、別件捜索・差押が許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 別件の捜索差押手続として形式的に適法であっても、もっぱら本件の証拠獲得を目的としており、本件の捜索・差し押さえについての司法的抑制がなされない以上、令状主義の趣旨を害し実質的には違法と解する。 違法な別件捜索・差押にあたるかについては①別件の事案内容②別件について既に収集された証拠の量・内容③捜索・差押で証拠物を発見できる見込みの程度④本件の事案内容⑤嫌疑程度(本件令状の入手の可否)⑥収集された証拠と別件及び本件との関係などから総合判断すべき。

    解説

  • 62

    <捜査>裁判所による捜索・押収・検証と、捜査機関による捜索・押収・検証はいかに異なるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①令状主義の反映の仕方:裁判所の強制処分については106条で公判廷外では令状を要求する。逆に公判廷内で行うについて令状は不要。捜査機関は218条220条にある逮捕に伴う捜索差押のみ無令状で許されるとする。 ②当事者の立会権:裁判所は113条より認められるが、捜査機関は222条1項がこれを準用しないので立会権なく、222条6項より検察官等に限り必要があれば認められる。 ③検証について 裁判所は128条以下より令状は不要。捜査機関は220条の場合を除いて令状を要する。

    解説

  • 63

    <捜査>鑑定人と鑑定受託者の違いは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 鑑定人は166条より宣誓が必要で刑法171条より刑事制裁が定められる。その分170条より弁護士の立会権あり、168条1項より身体検査を行う場合は172条から直接強制が可能で、その作成した鑑定書には321条4項で証拠能力が認められている。 一方鑑定受託人は宣誓が不要だが、弁護人立会権なく、225条4項の準用する168条6項が139条を準用していないので、身体検査に当たっては直接強制不可。また鑑定書について321条4項の準用によって証拠能力が当然認められるかは争いがある。

    解説

  • 64

    <捜査>覚せい剤事犯の被疑者に対する強制採尿が許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず強制採尿は人の意思を抑圧し、身体への侵襲を伴う点強制処分であることに争いはない。しかしかかる危険な態様に加えかかる操作方法は人格に耐えがたい屈辱を与え、憲法13条で保障される人格の尊厳を大きく害する以上、そもそも違法なものとして許されないのではないか。 だが覚せい剤の自己使用は密行性があり使用事実自体の捜査・立証が困難なこと、また覚せい剤が使用後短時間で尿に混ざることから、尿が覚醒剤自己使用罪の決定的証拠となることから、捜査の観点から証拠としての必要性が高く、更に身体への侵襲も専門的な技術と知識をゆうする医師等によって行われる限り危険性は少なく、更に身体検査においても同様の屈辱感が与えられこれが法定されている(222条1項、129条)以上、許容性も認められる。よってその調和から被疑事件の重大、嫌疑の存在、証拠の重要性と取得の必要性、補充性など諸事情に照らし、犯罪捜査状真にやむを得ないと認められる場合最終手段として適切手続を守る限度で認められると解する。 →令状主義にかかる以上必要な令状の種類が問題となる。

    解説

  • 65

    <捜査>強制採尿が許されるとして、いかなる令状を要するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 尿はいずれ体外に排出される老廃物であるので、外に出た時点で占有を観念でき、その採取は捜索差押の性格を有すると解する。よって218条1項前段の捜索差押許可状を要すると解する。また強制採尿は身体内への侵襲を伴う。よって身体侵害の恐れが強い点検証としての性質を有し、218条6項を準用して医師などの専門家によって行われることを差押の手段として条件記載しておくことを要すると解する。

    解説

  • 66

    <捜査>強制採尿のための任意同行に被疑者が応じないとき、強制連行はいかなる根拠で許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 強制連行も強制処分であって、強制処分法定主義197条1項、令状主義憲法35条にかかることは免れない。 法定主義については、強制採尿に付随する処分としては捜索差押の一環として許されるはずである。一方で令状主義につき、確かに強制採尿の目的で得られた捜索差押令状は逮捕令状に比べ発布要件が緩和されており、被疑者の身柄拘束をかかる令状で認めるのは不都合とも思える。 しかし強制採尿の適法性を保障するには適切な人的、物的条件をそろえた適切な施設で行われることを要し、さすれば218条6項を準用しかかる~付記を捜索差押令状になした以上、かかる令状が強制連行を当然予定していると解され、許されると解する。 ただし、根本的に捜索差押許可状は身体拘束を許す趣旨のものではない以上、令状主義との兼ね合いから連行距離、時間は最寄りの場所までの合理的な範囲内でなければならず、有形力の行使も最低限でなければならない。

    解説

  • 67

    <捜査>血中のアルコール濃度を図るための強制採血はいかなる根拠で認められるか。必要とする令状は何か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 強制採血は意思に反して注射針をもって身体に障害を与える以上、当然に強制処分に当たると解する。ただ専門家に適切な態様で行われることで身体・健康への影響を最小限に抑えられるので違法な捜査方法とは言えない。(呼気検査があるし証拠としての必要性はないっちゃない。強制採尿みたいに人格権侵害もないし、違法性だけ否定して、それには許容性だけで十分ということ) では強制処分として必要な令状は何か。思うに血液は生理的機能を担う、身体の重要な一部であって尿のように老廃物とは言えないので、捜索差押許可状では不当。また身体への侵襲は専門家の知見、技術の下行われるべきで鑑定処分許可状、さらに検証としての身体検査令状を要すると解する。

    解説

  • 68

    <捜査>身体に保有するアルコール濃度を調べるために必要な呼気検査はいかなる法的根拠で認められるのか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず真意に即した同意をもって、かかる処分は任意処分といえ、令状は不要と解する。では同意のない場合、呼気検査は強制処分として令状を必要とするのか。 確かに身体への侵襲はないので身体・健康の保護必要性は低いし、呼気には整理上の重要性もないので、意思には反しつつも身体に制約を加える重大な人権侵害とはいえず強制処分とは言えないのではないかとも思える。 しかし有効性の小さい呼気でも、体外に排出された液体であるし、飲酒運転の罪の重要な証拠となり得る以上、強制処分とすべきである。 そして必要な令状は、身体への侵襲なく特別の専門性を要しないところ、検証としての身体検査令状を要すると解する。

    解説

  • 69

    <捜査>嚥下物のレントゲン撮影/下剤投与による強制排出が許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 前者はプライバシー侵害、後者は生理機能の強制的な変化という点で身体・健康への侵害行為であるので、意思の抑圧を持って強制処分性を認められると解する。 では必要な令状は。体内の嚥下物はいずれ排出され生理的機能に大きな意味を持たず、占有を観念でき証拠物とみられる。よって捜索差押許可状が必要と解する。 ただしかかる態様は専門家の知見・技術によるべきで、放射線量、下剤の量を間違えれば身体・健康を大きく害しうるので鑑定処分許可状も必要。

    解説

  • 70

    <捜査>被疑者の写真・ビデオ撮影が強制処分となるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 強制処分とは、判例に従えば個人の意思を抑圧し、その身体・住居・財産などに制約を加え、法の根拠なくして認められない方法で捜査目的を達成しようとする処分態様であり、その手段としては科学捜査技術の発展から物理的強制力は不要である。 まず相手方の同意がない限り意思の抑圧はない。しかし写真撮影は相手方のプライバシー権を害する。ただその権利は撮影場所により制約度合いは変わってくる。というのは、例えば公の場所ならばプライバシー権への期待が低く、かかる権利を重要なものして保護する必要性も小さくなる。 →任意処分であるとされても、捜査比例原則にかかり犯罪重大性・嫌疑の程度に照らし、証拠としての必要性・緊急性を考慮し具体的状況のもと相当と認められる場合に限って許容されるべき。 ※ビデオ撮影は時間連続性を持つ以上プライバシー侵害が強くなるので、これらの審査が厳しくなる。犯行前からの撮影が任意処分として認められるのは「犯行が行われる高度の蓋然性」が必要。

    解説

  • 71

    <捜査>捜索差押の機会において、令状記載の『差し押さえるべきもの』を撮影することは許されるか。令状に記載のないものの撮影は許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ○思うに写真撮影はプライバシー侵害を伴い、捜索差押の現場であればその侵害の程度も強く、強制処分といえる。そして強制処分としては人、モノ、場所の形状をが五官の作用によって認識する作用であり、検証の一内容であるから、218条1項にいう検証令状が必要と解する。 ○ただ証拠物の証拠価値の保存、捜索・差押の適法性担保のための必要性、そしてかかるプライバシー侵害は捜索差押の執行に不可避的に伴うもので、受忍限度内といえる。よって『差し押さえるべき物』の写真撮影は222条1項111条1項の「必要な処分」として許容されると解する。 ○記載のないものについては写真撮影は当初の捜索差し押さえ令状に予定されていない個人のプライバシー権の新たな侵害を与えるし、受忍限度内とは言えないので、「必要な処分」とはいえず強制処分として令状を要すると解する。

    解説

  • 72

    <捜査>通信の傍受(現に行われている他人間の電話その他の電気通信についてその内容を知るため当該通信の当事者のいずれの同意も得ずに聴取・録音すること)が許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 確かに薬物・銃器取引犯罪の捜査については従来の操作方法では真相解明が困難な点、今日の組織犯罪の対抗にはかかる捜査方法の必要性が認められる。 しかし思うに相手の意思に反して、プライバシー権の侵害がある以上、強制処分とみるべきであり、令状主義にかかると解する。 そして制限対象がプライバシー権のみならず、間接的には良心の自由、ひいては積極的自由たる表現の事由の侵害になりかねず、厳格な制限が必要である。そこで実体的要件として①嫌疑十分性②共謀の疑い③通信手段利用の疑い④補充性⑤対象犯罪の限定(通信傍受法3条1項)手続的要件として①同法4条1項令状請求権者限定②同項令状発布権者限定③同3条1項傍受実施者限定④同4条2項同一事実に関する再傍受令状請求の場合の令状請求者の通知義務⑤12条1項立会人義務⑥9条傍受令状の管理者等への提示(被疑事実要旨の提示は不要)⑦傍受する通信・期間の特定(5条7条)

    解説

  • 73

    <捜査>公判手続きにつき当事者主義的訴訟構造を認める現行法下では、捜査段階における諸活動が事実上公判結果を左右することになり、人権保障を全うしつつ真実発見を図るためには(1条)捜査段階でも可能な限り被疑者に一方当事者としての主体性を認め、準備活動を行わせる必要がある。そこでとられる被疑者の防御活動の保障には何があるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • かかる必要があるも実際には捜査機関側が強制捜査権など強大な権限を有する一方で被疑者は法律的知識を欠き、また身体を拘束され著しく不利な立場におかれている。また捜査機関が職務熱心になるあまり被疑者の人権が害される危険性も高い。 そこで法は実質的な当事者対等を図り、被疑者に十分な防御活動を行わせるため①被疑者の消極的権利としての黙秘権を確立(憲法38条1項、311条1項、を198条2項の前提として被疑者に及ぶと解する。)②他方積極的に捜査余分を争う権利(勾留への準抗告・理由開示・取消請求・執行停止、違法押収処分などに対して準抗告・還付請求・目録交付請求、証人尋問立会い)③自らの証拠を収集する権利を保障(裁判官への証拠保全請求179条)④そしてこれらを十分に担保するため保護者としての弁護人を依頼(憲法34条前段、法30条1項、接見交通権39条1項)、ときには被疑者にも国選弁護人の依頼権も規定し(37条の2以下)、被疑者の当事者としての権能を飛躍的に拡充する。

    解説

  • 74

    <捜査>接見交通権の意義・重要性とは何か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 接見交通権とは身体の拘束を受けている被疑者又は被告人が弁護人もしくはその他の者と接見し、または書類もしくは者の授受をする権利(39条1項、80条、207条1項、60条1項(被疑者の勾留を定める裁判官への被告人の接見交通権規定の適用)) 意義としては、現行法は人権保障を全うしつつ真実発見を図るため当事者主義を採用する。(256条6項、298条1項、312条1項など)しかし被疑者・被告人は法律的知識に乏しく、とりわけ身体の拘束を受けている場合自ら十分な防御活動をできない。そこで当事者主義を実質化するため被疑者・被告人を補助して検察官と同一の立場に立たせるため、権利を擁護する保護者として弁護人が必要となるのである。 かかる趣旨から憲法34条前段は被疑者・被告人の保護者たる弁護人を依頼することを権利として保障している。そしてかかる弁護人依頼権の憲法的保障は単に資格ある弁護人の選任だけでなく、その後の接見交通権にまで及ぶ。弁護人の有効な援助を受けるためにはこれと会うことが当然の前提だからである。弁護人の側から見ても、接見交通権が相互コミュニケーションを保障したものである以上、弁護人の固有権でもあると解する。

    解説

  • 75

    <捜査>接見交通権の意義をもって、39条3項で接見指定の要件とされる「捜査のため必要があるとき」とはいかなる場合を指すか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うにかかる接見交通権の重要性に鑑みれば、制限されるのは必要やむを得ない場合に限定されるべきで、法の意思としては、39条1項が原則として、自由な接見を認めたうえで、3項は例外であり、さらに但書で防御権の不当な制限を禁止していると解すべき。 さすれば接見制限は弁護人と捜査機関が一つしかない被疑者の身体を現に必要とする場合その調整を図るためのものであり、「捜査のため必要があるとき」とは接見指定を現在において許しては捜査に顕著な支障が生じる場合をいうと解する。 具体的には①現に被疑者取調べ中or実況見分立会中②間近に①の確実な予定があり申出通りの接見を許せば予定通り開始できないとき。 ②の判断については前後の具体的状況を勘案すべきで、事前の取調で重要な被疑者の自供があり、それに基づき捜索差押などの令状請求手続きが開始され、令状発布で証拠が手に入ることが確実(よってすぐにその証拠について被疑者取調べしたい)。また自供があるなら、その自供の補充性、本人の意思の変化前の取調べが必要なときなど緊急性が認められるとき(気が変わるかもしれない)も「」を認めるべき。

    解説

  • 76

    <捜査>「捜査のため必要があるとき」「公訴の提起前に限り」の要件を満たしたとして「被疑者が防御準備する権利を不当に制限」したかの判断について、その基礎事情とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに、接見の重要性を特に考慮し、これを39条3項で守られる捜査の必要性と比較し、さらに施設運営から支障があったか、接見を認めるかにつき考慮があったか、短時間でも認められなかったか、などの具体的な事情を総合的に考慮し、相当性を含めて決めるべきと解する。 例えば初回接見はとりわけ、弁護士選択の目的を持ち、憲法34条保障の弁護士選任権の出発点となる意味で、非常に重要であるので、但書にあたり接見指定は許されない。

    解説

  • 77

    <捜査>まず、前提として「公訴の提起前に限り」と39条1項にあるため、「被告人」と弁護人の接見交通を制限することはできないが、公訴提起された被疑事実とは別に、被告人が余罪について被疑者たる地位を同時に有する場合、かかる余罪捜査の必要性を根拠に接見指定ができるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず被告人が余罪によって逮捕・勾留されていない場合、39条3項、1項より身体拘束を受けていない場合接見指定が許されないので、この潜脱として許されない。 問題となるのは被告人が公訴の前の余罪について身体拘束を受けている場合である。此の点判例は被告事件につき防御権の不当制限に当たらない限り接見して意見を行使しうるとしているが、要件として緩やか過ぎ、接見交通権の重要性を軽視していると解する。 そこで原則かかる接見指定は許されないとし、捜査の必要性から例外を認めるとして、①被告事件の起訴前であれば余罪捜査が不可能、または著しく困難であった②捜査の緊急性がある ときには接見指定を許すとする。

    解説

  • 78

    <公訴(軽く)>公訴提起後の捜査が認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 公訴提起後も公訴維持・追行のためには捜査を行う必要がある場合が考えられ、そして現行法上もこれを禁じる明文規定はない。219条では令状の記載事項に被告人の氏名を上げている以上むしろ公訴提起後の捜査を予定していると解する。 ただし現行法は公判中心主義(43条1項282条、303条)を採用し、公訴提起後はさらに当事者主義的訴訟構造(256条6項、298条1項、312条1項)をとり、公訴が提起されてからは公判準備を終えた被告人が当事者としての地位をもって検察官と同等の立場にたつ以上、これと調和させなくてはならない。

    解説

  • 79

    <公訴>被告人への強制処分について許されるものとそうでないものを考慮せよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 逮捕・勾留は公訴提起前のいわば仮処分ともいうべき性格のものであることを199条以下明示されていることから、認められない。身柄確保、証拠隠滅防止は裁判所の職権による召喚・勾引および勾留処分によりなされる。 物的証拠の収集・保全については、219条が公訴提起後の捜索・差し押さえ・検証を明文で規定し、鑑定嘱託に伴う強制処分も同様。しかし公判中心主義・当事者主義からは起訴後は強制処分については検察官が裁判所に申し出て、証拠調べとしてなされるべき。もっとも第一回公判期日前では予断排除の観点から裁判所が強制処分主体となりえないし、被告人の証拠保全請求権が一方で認められているので、第一回期日までは物的証拠収集・保全が許されると解する。 しかし必要な補充捜査として任意捜査は原則認められる(197条1項) ※しかし被告人への取調べについては強制処分的色彩を持つ以上別途検討が必要。

    解説

  • 80

    <公訴>勾留中の被告人への捜査機関の取り調べは許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 黙秘権保障の見地から198条1項本文は取調べ受忍義務を認めたものではなく、身体拘束中の被疑者の取り調べは任意捜査と解する。 一方でかかる取調べは強制処分的色彩を有し、公訴提起前の被疑者にのみ認められ、原則許されないと解する。公判中心主義、当事者主義からも妥当。 そこで被告人が①自発的に申出②かつ出頭不退去義務がない事の告知③弁護人が立ち会うか、その積極的放棄など任意性が確保され、名実ともに任意処分といえれば、かかる取調べは適法といえ、そこで得られた供述も証拠能力を得ると解する。(身体の拘束が無い被告人でも、公判中心主義・当事者主義が及び、同様と解する。)

    解説

  • 81

    <公訴>検察官による不当な起訴処分に対する控制手段として何があるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 現行法上不当な起訴処分に対する控制手段の規定はないが、検察官の訴追裁量は無限定でなく1条、248条、規則1条2項等で規制される覊束裁量。また公訴取り消しの制度257条が余り活用されない現状下では不当起訴から抑制する必要がある。そこで338条4号(公訴提起における手続違反による公訴棄却)を実定法上の根拠とし公訴権濫用論を肯定すべき。 判例は公訴権濫用論を一般論として認める一方で、濫用自体を認めるのは公訴提起自体職務犯罪といえるような極端な場合に限るとしたが、かかる限定的な解釈は論の否定ともいえる。 そこで問題とされる①嫌疑無き起訴②起訴猶予相当の起訴③違法捜査に基づく起訴についてそれぞれ考えるべき。

    解説

  • 82

    <公訴>①嫌疑無き起訴②起訴猶予相当の起訴③違法捜査に基づく起訴、それぞれにおいて公訴濫用論の適用場面として、338条4号を根拠に公訴棄却すべき場合といえるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①訴追機関の恣意を制限し被告人を公判の負担から速やかに開放するため嫌疑の十分性を基礎の要件とし、それが当初から存しないことが手続き上明白な場合、公訴権濫用論を適用し公訴棄却すべきとする見解もあるが、A起訴時に確実な嫌疑を要求すると捜査手続きが糾問化しかねないB実体審理外に嫌疑の有無の審理を必要とし審判の迅速を害しCまた裁判所の予断排除原則に反するD嫌疑が無いのなら無罪判決による一事不再理効で被告人を守るべき。 →よって公訴権濫用権を適用せず無罪判決を下すべき。 ②すべての事件が起訴猶予相当か審査することは手続きの長期化を招きかねないが、判例の通り「職務犯罪を構成するような極限的な場合」に限定しては公訴権濫用論の意義を没却するので、軽微性が明白に起訴猶予相当な場合や不法な意図に基づく差別的起訴など、訴追裁量逸脱が明白なときは公訴権濫用論として公訴棄却すべき。 ③捜査手続き上違法が常に公訴棄却原因となるのは1条実体的真実発見の点妥当でなく、人権保障は証拠排除等他の手段で図り得る。そこで判例通り、捜査手続きの違法があろうと原則起訴自体適法とするが、証拠採取に関わらず排除法則が働かない処分であったり、違法逮捕やおとり捜査など極めて重大な違法あれば公訴棄却すべき。

    解説

  • 83

    <公訴>公訴棄却(338条4項)すべき場合とは。そしてそれぞれ公訴時効は停止するか。

    補足(例文と訳など)

    • ※ちなみに公訴時効が経過しながら提起された公訴については免訴判決が下される。(337条4号)他号は確定判決をすでに得てた(一事不再理効)、刑の廃止、大赦など

    答え

    • 公訴時効の根拠は犯罪の社会的影響の微弱化から可罰性減少、証拠散逸によって適正裁判が困難化することで、時効停止の制度は起訴により可罰性の減少・証拠散逸が停止することから規定された。 ①起訴状謄本不送達による棄却では338条4号が被告人に帰責性ない場合も公訴時効停止を前提にしているといえることから公訴時効は停止。 ②人違い起訴による棄却では、被告人とすべきものの無罪証拠の散逸は続く上、公訴効力は被告人のみに及ぶものである以上時効停止すべきでない。 ③訴因不特定による公訴棄却では、判例は特定事実への検察官訴追事実表明があれば時効停止してよいとするが、訴追意思は訴因のみから図るべきで、可罰性減少・証拠散逸停止があるとは言えない以上時効は停止しない。 ※公訴時効停止が生じる「当該事件」(254条1項)とは、実体判決確定後公訴事実の同一性の範囲で一事不再理効が認められるが、それは検察官の訴因変更でその範囲で同時訴追の可能性があったことに基づく。 さすれば「当該事件」=公訴事実の同一性の範囲で時効を停止し、訴因変更の可能性を残しておくべき。

    解説

  • 84

    <公訴>客観的には一罪の全部についての基礎が可能であるにもかかわらず、一部のみを起訴することは許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 確かに実体的真実発見の要請からすれば事件は全部起訴すべきとも考えられるが、証拠が十分に収集できなかった場合、訴訟の迅速化及び刑事政策的配慮から事件のすべてを起訴することが困難な場合がありえる。 思うに当事者主義を採用した現行法の下(256条6項、298条1項)審判対象は当事者たる検察官の主張である訴因であり、この設定、変更は検察官の専権とされる。(247条、312条1項)よっていかなる事実を訴因として構成するかは検察官の裁量にゆだねられると解する。 よって一罪の一部がそれのみで構成要件を充足し訴因として十分に独立性を有すれば、一罪の一部起訴を行うことも原則として許されると解する。(1条の要請より、実体的真実発見に著しく反する場合、人権保障を図る特定の法制度の趣旨を没却する場合には訴追裁量逸脱として許されないと解する。)

    解説

  • 85

    <訴因>256条3項で要請される訴因の特定の程度とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず当事者主義的訴訟構造をとる現行法下では、審判対象は一方当事者たる検察官の提出する訴因に限定される。訴因の機能としては、かかる①審判対象の限定、識別機能に加え、②被告人の防御対象を明確化するという、告知機能があげられ、もって当事者間公平を保障し、手続上も公訴時効、二重起訴の判断基礎となる点、その特定は非常に重要である。 では犯罪の日時、場所、方法などについてどの程度詳細な特定を要するか、これらの事実は罪になるべき事実ではないが上述した機能に鑑みれば訴因特定の一手段として出来る限り具体的な表示が要請される。 しかしあまりに厳格な特定を要求すれば訴追機関に過大な負担を負わせ、また捜査の長期化・糾問化につながりかねないから、これらの事情を詳らかにできない特別事情がある場合、訴因のかかる機能を害しない限り幅のある記載も許すべきである。 ただし例外として、かかる事実が犯罪事実の一部である場合は幅のある記載は一切許されないと解する。

    解説

  • 86

    (訴因の部分と証拠の初めが消滅した…)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • もういや

    解説

  • 87

    訴因変更の要否について述べよ。当事者主義の下裁判所が検察官の主張する具体的犯罪事実たる訴因を審査対象として限定される以上、いかなる事実ならば訴因の外となるかが問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 裁判所は訴因に示された事実について証明に失敗したと判断すれば無罪を言い渡す他ないので、他の事実について心証を抱いても、訴因が変更されなければ心証通りの判決は下せない。しかし訴因の変更は裁判所の専権では行えない。そこで、訴因を変更することなしに、訴因事実の中でどれだけ心証に沿った自由な判決が下せるか、どの程度の訴因事実と認定事実の齟齬をもって訴因変更が必要となるかが重要となる。 重要なケース:実行行為者が甲とされた訴因で①実行行為者が甲か乙か両名か、までしか確実でない②甲には殺意がなく、傷害の故意しかない。 ①大事なステップ、覚えよう。 まず訴因の機能は二つ、まず本来的機能として、裁判所の審判範囲を画定すること そして二次的な機能として、被告人の防御対象を告知すること。ここから、 ステップ1:訴因記載から変更される事項が、審判対象の画定に必要な事項 ならば訴因変更は必要。(いつどこでだれがなにをしたか) ステップ2審判対象画定に必要な事項でなくとも、一般人の防御対象画定に必要 ならば原則必要 ステップ3:一般人防御対象画定に必要でも、具体的経過から被告人に不利益はない ならば例外的に不要

    解説

  • 88

    縮小認定はいかに許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 包摂関係が認められる事実を認定する場合には、訴因変更は不要であると解する。なぜならかかる場合には当初の訴因の中で検察官が予備的、黙示的に縮小認定事実をも主張していると解せられるし、被告人の防御はそこにも及んでいるともいえるので、訴因の機能を害しないからである。

    解説

  • 89

    訴因変更の可否判断基準についてのべよ。検察官側から、訴因を変えられるかという問題。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 訴因変更権限は検察官にあることが前提。 問題点:訴訟を争うにおいて、検察官は裁判所の心証の形成をも考慮する必要があり、もしその心証と訴因に不一致が生じたならば、訴因を変更する必要がある。無制限に訴因変更権限を認めてしまえば、訴因をもとに行ってきた被告人の訴訟行為が無に帰する恐れがあるうえ、不当に裁判が長引く危険もあり、制限が必要である。 ここで、312条1項において与えられた「公訴事実の同一性」を害しない限度という制限の意義が問題となる。当事者主義構造のもと、検察の主張する訴因こそ審判対象であり、公訴事実の同一性とはその範囲を画する機能的概念。 公訴事実の同一性については、上述の訴因変更による不都合の観点から、新旧両訴因において、犯罪の基本的事実が社会通念上同一といえるかで判断すべき。 その基準とは①日時場所被害者客体など犯罪の基本的事実の共通性・近時性 ②もし一部のみ共通していたとすれば、新旧両訴因が非両立の関係にあるかで判断する。 何故なら一方が成立すれば他方は成立しないという関係でない以上、検察官としては終始一貫して1つの事実について審理を要求していると解せられるからである。その差異は裁判所の証拠評価の問題であり、社会通念上同一といえる。

    解説

  • 90

    訴因変更の時期的限界とは。長期審理の結果裁判所が当初の訴因に無罪の心証を固め結審が間近な時期に、訴因変更請求をすることは許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに、類型的に訴因と心証に不一致が生じ訴因変更をなすべきとなるのは攻撃防御が進行した訴訟終盤であること、また検察官に専権があることから原則許すべきである。 しかし312条4項にいう被告人に必要な年月の公訴停止手続きをもってしても、その期間内では被告の防御が図れないとき、迅速裁判の保障が図れないとき、長期間が経過した結果証拠が散逸し新訴因について防御が困難になるなど被告人の防御権保障の点で訴因変更が検察の変更請求権の濫用といえるようなときは、許されるべきでない。 +また公判前整理手続きがあれば、その趣旨を没却するような訴因変更は許されない。

    解説

  • 91

    不適法訴因から適法訴因への変更が許されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • (逆は、形式裁判への導入を批判する反対説もあるが当事者主義の下の検察官専権性から自由を認め、一般的に検察官が不適応訴因への変更を請求するのは将来の実態裁判の獲得目的→否定する必要なし) 公訴棄却すべき訴因からの変更、については認めず起訴状の訴因を基準に公訴棄却すべき。 何故なら①違法な公訴提起であったことの明確化必要性②再起訴可能 免訴すべき訴因からなら、訴訟条件の趣旨を没却するので免訴言い渡すべきとも思えるが、免訴判決が確定すれば、公訴事実の同一性の範囲で一事不再理効が生じるので、再起訴が不可能となる。よって、免訴判決する前ならば、(冒頭手続き終了前)訴因変更を許してよいとする。

    解説

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