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刑法各論

カード 67枚 作成者: かずとし (作成日: 2014/11/01)

  • 住居侵入罪において130条前段「侵入」の意義とは。

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  • 1

    住居侵入罪において130条前段「侵入」の意義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 住居侵入罪の保護法益とは、個人法益、つまり住居に誰を立ち入らせ誰を滞留させるかを決する自由解する。 さすれば「侵入」とは、管理権者の意志に反してその住居に立ち入ることを言うと解する。

    解説

  • 2

    名誉毀損罪(230条1項)と侮辱罪(231条)の区別とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点名誉毀損罪は外部的名誉、侮辱罪を名誉感情にたいする罪とする見方がある。 しかし①個人の主観的感情は保護に値しない②侮辱罪においても公然性を要件としている③名誉感情を持たない幼児、企業に侮辱罪による保護が及ばなくなる④適示された事実の真実が証明され名誉毀損罪として処罰されなくとも侮辱罪として処罰される可能性が残り、250条の2の趣旨が損なわれる。 230条1項には「事実を適示し」とあり231条には「事実を適示しなくても」とある以上、外部的名誉は両罪の保護法益であるが、事実の適示の有無で区別すべきと解する。

    解説

  • 3

    230条の2第1項において公共の利害に関わる事実について、その公共目的と真実性の証明があれば罰しないとする趣旨とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 一定の場合名誉毀損罪による処罰を否定し自由な言論を保護し、表現の自由と名誉保護の調和を図ることにある。 よって①行為が公共の利害に関する事実にかかり②目的がもっぱら公益を図るためで③事実が真実であるとの証明をもとめる。 ①については、事実適示が公共の利益と認められること、②についてはもっぱら公益を図る目的に出たといえればよい。 2項では公訴提起前の犯罪行為事実は①の立証を、3項では公務員、公務員候補者に関する事実では①②の立証を不要とする。 そして罰しないとの文言からこれを処罰阻却自由とする説もあるが、個人の名誉と表現の自由との調和を図った上で言論の正当が認められる以上、違法と認めるべきでないし、かといって正当性を判断することは具体的事情の考慮が必要で定型的な構成要件による判断はなじまない。よって違法性阻却事由とする。

    解説

  • 4

    230条の2について、事実を適示した者がこれを「真実」であると信じていたが、真実性の証明に失敗したときには230条1項名誉毀損罪をおうか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点違法性についての主観と客観の不一致、つまり錯誤の問題として責任故意が認められないのではないか。(38条1項) 故意責任の本質とは規範に〜道義的非難。さすれば責任故意の阻却には反対動機を形成できない場合、つまり違法性阻却事由事実の認識が必要である。 そしてこの場合の違法性阻却事由に該当する事実の認識とは「真実であることの証明」という訴訟法的表現を実態法的に解釈し、事実が証明可能な程度に真実であることの認識を言うと解する。 よって行為者が確実な資料・根拠に基づいてかかる事実を真実と信じた場合、責任故意の阻却が認められると解する。

    解説

  • 5

    奪取罪(占有を奪う犯罪、窃盗強盗詐欺横領)における構成要件として行為対象となる「財物」の定義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点財物が有体物に限ラレルとする見解がある。しかしエネルギーのような無対物を奪取することを罰せず刑法の法益保護機能を全うできず妥当でない。 そこで有体物に加え管理可能な無体物を言うと解する。 ※管理可能であればすべて財物に当たるとするのは不当である。人間の労力、牛馬の牽引力などが財物に当たるとすれば逆に自由保障を害するからである。そこで管理可能物の範囲は物質性を備えた物に限る、とする。

    解説

  • 6

    奪取罪における保護法益は何か。例えば奪われた物を取り返す行為について窃盗罪が成立するか考える場合問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 242条「他人が占有」の意義と関連して問題となるが、この点奪取罪の保護法益を所有権その他本権と解し「他人が占有」の意義を<権限に基づく>他人の占有とする説もある。 しかし窃盗犯人が盗んだ物を第三者が奪っても窃盗罪が成立しないことになり不当。占有の相対性から説明を付けようとするが不自然な解決である。 確かに奪取罪は伝統的に所有権侵害を内容とする物であったし、終局的には所有権その他本権を保護する物であるが、現代社会では権利義務関係の確定は容易でなく、財物に体する所有権その他本権を保護するにはまず占有それ自体を保護するべき。とはいえ明らかに不法な利益を保護するのは社会秩序維持という刑法目的に反するので保護法益は、一応理由のある占有ないし平穏な占有と解する。 窃盗罪の「占有」は「事実上の占有」=占有の事実と意思、よって奪われた物は、直後であれば平穏な占有といえ、これを奪い返しても窃盗罪は成立しない。ただ時間が経てば奪った者に平穏な占有が観念でき構成要件を満たすので自救行為を検討するしか無い。(ちなみに盗品も窃盗罪の客体となる。)

    解説

  • 7

    窃盗罪の構成要件をあげよ。そして不法両得の意思とは何か。趣旨と内容を説明してください。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 客観的には実行行為としては①他人の占有する②財物について③これを窃取(実行の着手)すること。(そして損害という結果発生と因果関係。) 主観面として、構成要件的故意に加え、「不法領得の意思」が必要と解する。何故なら、財産罪の本質が究極は所有権その他本権の侵害にあるところ、主観要件としては単なる占有侵害についての意思で足りず、本権者として振る舞う意思が必要。また現行法が占有侵害という点で共通する器物損壊罪に比べ窃盗罪の法定刑を重く規定しているのは、財物を利用処分しようという意思で侵害する場合、その利欲犯的性格が責任をより重くするといえるからである。 そこで「不法領得の意思」つまり権利者を排除し他人の物につき自己の所有物として振る舞い、その経済的用法に従いこれを利用または処分する意思が必要。

    解説

  • 8

    殺害後奪取の意思を生じ、死者が生前有していた財物を窃取することは窃盗罪となるか。(死者の占有)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 窃盗罪における「占有」とは事実上の支配をいうところ、死者には占有の意思も、財物への現実的な支配も観念できない。よって死者の占有は認められないと解する。しかし法益保護の点妥当でなく、かかる場合には規範的にみて死者の生前の占有を侵害したとして窃盗罪235条が成立すると解すべき。 すなわち被害者が生前有した占有は、死亡させた犯人との関係では被害者の死亡と時間的・場所的近接範囲内にある限り刑法的保護に値する以上、犯人が被害者を死に至らしめてことを利用し財物を奪取したという一連の行為を全体的に評価し奪取行為は窃盗罪となると解する。(殺害行為に無関係な第三者はかかる評価ができず占有離脱物横領罪が成立するにとどまる)

    解説

  • 9

    窃盗罪の客体は他人の占有する財物でなければならない。では雇い主と社員のように上位者と下位者で占有が競合しているとき誰に占有があるか問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 刑法上の占有は原則として上位者に属し、下位者は事実上の支配を有していても単なる監視者ないし占有補助者にすぎないと解される。 なぜなら刑法上の占有は事実上の支配をいい、占有の意思と占有の事実から成り立つところ、上下主従関係ある場合通常は下位者の占有が上位者の占有の意思に従属する立場にあって下位者の占有の意思が認められないからである。 もっとも支配人・番頭のように下位者であっても上位者との間に高度の信頼関係があり、現実に支配している財物についてのある程度の処分権がゆだねられている場合には、占有の意思が認められる以上下位者に占有を認めるべき。

    解説

  • 10

    244条親族盗用例が適用されるには、行為者と誰との間に親族関係が必要か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点244条の法的性質について可罰的違法性が存在しないとか、正当行為の期待可能性が欠け責任阻却されるなど、犯罪自体不成立とする説がある。 しかし刑の免除とは有罪判決の一種であり、犯罪が成立しているのは間違いない。思うに同情の法的性質は一定の財産犯の統制は家庭内の処理に任せるという思想に基づいて処罰自体を阻却する、人的処罰阻却事由と解する。そしてかかる考えからは占有者か所有者であるかに関わらず、第三者を巻き込んだ以上もはや刑の免除を認めるべきではない。 よって親族関係は行為者と目的物の所有者および占有者の間に存在しなければならない。

    解説

  • 11

    暴行・脅迫を加え反抗抑圧状態が生じた後、財物奪取の意思が生じて財物を奪取した場合、成立する犯罪は?強盗罪か窃盗罪か。(事後的奪取意思)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 確かに行為者の討伐性の高さからすれば236条強盗罪を認めるべきとも言える。しかし暴行脅迫を手段として財物を奪取するという因果関係を要求する以上、かかる強盗罪の犯罪類型を重視すれば暴行・脅迫に手段性が認められない以上強盗罪の成立はみとられず窃盗罪が成立するのみと解する。 ※奪取意思が生じても、その後かかる意思に基づき新たな暴行・脅迫を加えた場合強盗罪が成立する。その暴行・脅迫はそれ自体が反抗抑圧状態を形成するに十分なものである必要は無く、先行行為によって生じた反抗抑圧状態を継続させるに足る者で良いと解する。

    解説

  • 12

    236条2項、強盗利得罪について、不法原因給付物のように民法上保護されない利益も「財産上不法の利益」にあたるか。売春の代金を請求してきた女性を暴行・脅迫し支払いを免れる行為に236条2項が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに民法上保護されない利益でも財産秩序の維持のためには刑法上保護に値する。さすれば不法原因給付物でも原則「財産上不法の<利益>」として強盗利得罪において保護されると解する。 しかし強く公序良俗に反するような利益、つまり刑法上の保護にすら値しないような利益については「〜」にあたらないというべき。売春の代金もこれにあたらない。

    解説

  • 13

    2項強盗罪(強盗利得罪)においては暴行・脅迫に基づく被害者の処分行為を必要とするか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 確かに利益の移転を明確化して既遂の時期を確定するためには処分行為を必要とする見解もある。 しかし強盗利得罪も強盗罪であり、被害者の犯行を抑圧し利益を得る犯罪。詐欺罪のような被害者の意思に基づく処分行為は予定されていないはずで不要と解する。 ただし利益の移転時期の確定のため、その判断については財産上利益が行為者または第三者に利益が法律上または事実上取得されたといえる事態が必要と解する。※債権者を殺し一時的に債権の支払いを免れただけでは利得をいえず、事実上債権行使される可能性がなくなったとか、著しく困難になった、長期間不可能になったなどの場合行為者は財産上の利益を得たと言える。

    解説

  • 14

    240条において求められる致死傷の結果は、強盗における暴行・脅迫手段から生じたものに限られるか。※例えば暴行・脅迫手段に関わらず被害者が逃走のとき怪我をした場合。

    補足(例文と訳など)

    • ちなみに240条の性格から、脅迫行為▶︎畏怖▶︎危険行動▶︎死傷結果という流れは経験上ありえ、脅迫行為も240条の原因行為に当たるというべき。

    答え

    • 思うに本罪は強盗の機会に人を死傷させるという刑事学的にきわめて頻繁に見られる事態をとりあげ特別に構成要件化したもの。かかる立法趣旨からして死傷の結果は手段としての暴行・脅迫から生じた者に限定する必要なく、強盗の機会に生じた、つまり時間的・場所的接着性を持って足りると解する。 しかし強盗の機会に生じたと言えればすべてを含めるとすれば広がり過ぎ、自由保障の点妥当でない。 そこで「強盗の機会になされた行為でかつ少なくとも被害者に向けられた強盗行為と、性質上通常密接な関連性を持つ行為により発生した死傷結果」について本罪の適用を認める、とする。

    解説

  • 15

    240条強盗致死傷罪につき実行行為の終了時はいつか、というか未遂の判断基準は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点強盗罪が財産犯であることからすれば財物奪取の有無を持って判断すべきとも思えるが、240条の趣旨は、強盗の機会に人を殺傷するという刑事学的きわめて頻繁に生じる事態を取り上げ構成要件化したことにあり、人身犯としての性格を重視し、死傷結果発生の有無を持って未遂を判断すべきと解する。 よって財物の奪取がなくとも、強盗の機会において死傷結果を生じさせた時点で240条強盗致傷罪が既遂となる。

    解説

  • 16

    強盗犯人が殺意を持って被害者を殺した場合240条後段が適用されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 240条後段が強盗罪の結果加重犯であることから殺意ある殺人を含まないとして、強盗罪と殺人罪の観念的競合、強盗致死罪と殺人罪の観念的競合とする説があるが、前者では殺意がある場合の方が刑が軽くなってしまうし、後者では人の死を二重に評価する点疑問。 思うに240条後段では強盗機会において人の殺傷と言う刑事学的きわめて頻繁にみられる事態を取り上げ構成要件化したものなので、人を殺害して財物を奪うという強盗の典型的態様が適用範囲から除外されるとは考えられない。また「〜によって」という結果的加重犯の慣用的用語が無いので結果的加重犯のみを規定したとは言えない。 そこで240条後段が、結果的加重犯たる強盗致死のほか、故意犯である強盗殺人をもあわせて規定したと解し、強盗犯人が故意に被害者を殺害した場合でも240条後段だけが適用されると解する。

    解説

  • 17

    事後強盗について構成要件は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①「窃盗」が(窃盗犯人)②財物を得てこれを取り返されることを防ぎ(窃盗既遂)逮捕を免れまたは罪障を隠滅するため(窃盗の既遂未遂を問わない)③暴行・脅迫したこと(準強盗であり、相手方の反抗抑圧に足りる程度が必要。判断は諸般の事情をできる限り拾う)

    解説

  • 18

    窃盗犯人でない者が犯人と意思疎通し、暴行・脅迫のみを共同したとき、その者の罪責は。法的性質と関連して問題となる(身分犯か)。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点事後強盗罪を窃盗罪と暴行罪の結合犯と捉え承継的共同正犯として考える見解がある。(窃盗を事後強盗罪の実行行為の一部と捉える)しかしこの見解では窃取行為後強盗の目的を持ったが暴行・脅迫に至らなかった場合でも事後強盗罪の実行行為の一部がなされたことになり(既遂となり)不都合。 思うに事後強盗罪は「窃盗」犯人という身分を構成要件要素とする身分犯。では真正身分犯か不真正身分犯か。 不真正身分犯トする説にたてば、事後強盗罪が暴行・脅迫の加重類型となるが、そもそも強盗罪は財産犯であり不当。 そこで真正身分犯であると解する。65条の解釈については1項2項の文言通り1項を真正身分犯、2項を不真正身分犯の規定と解する。さらに「共犯」には共同正犯も含む。(詳しくは総論)よって1項より、窃盗行為を行わず暴行・脅迫から加担した者でも、事後強盗罪の共同正犯として罪責を負う。

    解説

  • 19

    事後強盗において「窃盗の機会に」といえるには、その判断基準とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 時間的・場所的接着性をもって認めるとする説があるが、そもそも窃盗の機会内といえるには、窃盗現場、窃盗の継続的延長上にあるといえなければならない。場所的な距離があっても追跡体制がとられているなど、財物取り返し、逮捕の可能性が継続して存するのであれば、窃盗の機会継続性が認められ、かかる場合に行われた暴行・継続をもって事後強盗罪に問えると解する。 ※いったん逃走したが現場に引き返した場合でも、被害者等から容易に発見され財物を取り返され、逮捕されうる状況が消えたと言える状況なら窃盗の機会継続中とはいえない。

    解説

  • 20

    窃盗の決意を持って、もし見つかれば脅して逃げるため使おうと考え凶器を準備する行為は、強盗予備罪に当たるか。(237条、事後強盗的構成)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 238条において事後強盗を「強盗して論ずる」とした趣旨は窃盗犯人がその犯行が発覚した場合逮捕を免れるため暴行・脅迫をおこなうことが刑事が苦情頻繁に満たれる行為携帯であるため一連行為を全体的に観察してすべての点強盗と同様に扱おう、ということにある。 さすれば予備罪の成否も強盗と同様に扱い、237条の「目的」には事後強盗を犯す目的も含まれると解する。また実行行為が条件付きであるが故意は認められ主観面も充足する以上、強盗予備罪に当たると解する。

    解説

  • 21

    詐欺罪246条1項の構成要件は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①処分行為に向けた「欺罔行為」②被害者の「錯誤」③錯誤に基づく自己の財産の処分行為④財物の移転⑤財産上の損害 を生じさせること。(⑥因果的連鎖⑦故意の包摂)

    解説

  • 22

    釣り銭詐欺を詐欺の構成要件に当てはめてみてください。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 過大な釣り銭を渡そうとしていることを認識しながら黙って受け取っている、この行為に1項詐欺罪が成立しないか。 要件は①〜⑤。前カードを参考に。 まず不作為が①詐欺行為に当たるか。思うに不作為も〜。(総論参照)では釣り銭が課題であることについて告知義務があると言えるか。 客は店に釣り銭が過大であることを告知しなければ差額をそのまま得るがこれは民法上不当利得であり、信義則上告知義務があると解する。作為義務が認められ、作為の可能性容易性、同価値性をもって詐欺罪成立を認める。

    解説

  • 23

    無銭飲食が詐欺罪を構成するか。当初から代金を払う意志がない場合と、食べてから代金支払いを免れようと思いついたときとで考えてみてください

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 前:「飲食の注文行為」が詐欺に当たるか。この点これを不作為による詐欺と解する立場があるが、飲食店での注文は代金支払いを当然の前提としており、代金支払いの意志のない注文行為自体相手を「錯誤」に陥らせる積極的な行為であり、作為と解するのが素直。よって「欺罔行為」も観念でき、食物「財物」を提供することは「処分行為」による「財物の移転」といえる。1項詐欺罪が成立する。 後者:注文行為自体は故意をもたず実行行為とはいえない。では支払い無く外出する作為を「欺罔行為」と捉えるしか無い。(利益窃盗は不可罰 ここで問題となるのが外出を許した店の不作為が「処分行為」といえるか、である。確かに処分行為を認めるには処分意思が必要と解するが、処分の意思として明確な債務免除の意思表示を要求すれば利益窃盗は不可罰である以上処罰範囲が狭くなり法益保護機能が全うできない。 そこで「何らかの処分の意思」で処分行為を認めてよいと解する。つまり事後意思による無銭飲食については行為者の詐欺行為で錯誤に陥った者が代金支払いの一時猶予を与える黙示の意思表示があったと構成し「処分行為」と認める、行為者は期限の「利益」を手に入れる訳である。よって2項詐欺罪が成立。

    解説

  • 24

    後に支払うつもりが無いのに、自己名義のクレジットカードを不正使用し商品を購入した場合、246条1項詐欺罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 代金支払い意思・能力が無い者がクレジットカードを使用することは、クレジットカードを交付した信販会社、加盟店どちらへの詐欺となるか。 思うに加盟店はそもそも代金支払いの意思も能力も無い者についてその認識があれば信義則上当然に取引を拒絶すると解するところ、これを秘してクレジットカードを提示し商品購入を申し込む行為自体欺罔行為と言える。そして加盟店側は支払い能力・意思につき錯誤に陥り商品を交付するに至り、加盟店には処分行為が認められる。 そして加盟店は商品を引き渡し利用処分権限を失うのであるから財産上の損害も発生。商品交付の時点で詐欺罪既遂犯が成立すると解する。 ※代金を踏み倒す意思で信販会社にカードを交付させる行為につき、クレジットカードの財物性が問題となるが、記載署名と同一の署名のみで加盟店の商品を購入できる点現金と同様の機能を有し、「財物」に当たると解する。他の要件を認める。

    解説

  • 25

    誤振込された金銭につき、口座主がその誤振込の事実を認識していながらこれを引き出す行為について、詐欺罪が成立するか。窓口、ATMについて違いがあるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点郵便の誤配達と同様に開始占有離脱物横領罪の問題とする考えもあるが、現金の占有は実際銀行にある以上妥当でなく、詐欺罪の問題とすべき。また受取人に預金債権が成立するとする民事判例との統一性を重視し、受取人に払い戻し権限がある以上詐欺罪は成立しないとする説もあるが、刑法と民法は法目的、効果が異なる以上同一に解す必要は無い。 思うに銀行が払い戻しに応じた場合、銀行は振込依頼人と受取人との紛争に巻き込まれる恐れがあり、銀行にとっても払い戻し請求を受けた預金が誤振込による者かどうかは払い戻しに応じるか否か決する上で重要。よって誤振込があった場合その旨を銀行に告知すべき信義則上の義務を有すると解する。 よって誤振込の事実を知りながらこれを秘して払戻請求することは欺罔行為といえる。 ○窓口であれば、銀行員が欺罔行為により正当な払戻権限を信じ処分行為に至るため残りの要件を満たせば詐欺罪が成立する。 ○ATMは錯誤主体、処分行為主体として観念できない機械であるので、不法領得の意思をして窃盗罪を認定するしかない。

    解説

  • 26

    虚偽により財物を廃棄させ、これを拾得する行為は詐欺罪となるか。占有離脱物横領罪となるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 廃棄した行為が、その財物の放棄とみれば、所有者の所有を離れた以上、これを拾得すれば占有離脱物横領罪が成立するとも思える。 しかし殊更に虚偽の情報を吹き込み、所有者の支配可能な場所に財物を捨てさせ、これを見届けた上で取得している。これら一連の行為を全体として観察したとき、所有者の廃棄した行為は甲から虚偽を吹き込まれたことにより、純粋な放棄とは言えない。むしろ一連の行為は第三者が財物を何らかの形背取得することを事実上可能にする財産的処分行為をさせることに向け、当初から仕組まれた「欺罔行為」と解するのが自然。 よって1項詐欺罪を検討。(錯誤、財物の処分行為、財産上の損害)

    解説

  • 27

    欺罔行為(正当な職務行為を不正な者と嘘をつく)によって相手を錯誤に陥れ、贈賄罪にかかる財物の処分行為を行わせた場合、詐欺罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 198条贈賄罪似ついては「交付」画筆用。「交付」とは任意的交付である必要があるが、贈賄である点認識しながらあえて交付していれば任意的交付と言える。 かかる現金の交付について贈賄罪成立を認めれば、不法原因給付となり民法708条よりその返還請求は認められない。さすれば損害が無く、詐欺罪の構成要件にかけるのでは。 思うに民法は私人間の権利関係の調整が目的である一方刑法は法益保護に目的があるので、詐欺罪上の損害の有無は刑法的要保護性の見地から検討すべき。 詐欺罪は個別財産に対する罪である以上、財物の交付そのものが「損害」と解すべき(要件⑤完全否定・・・)

    解説

  • 28

    判例:商品について、真実と反する誇大な事実をもって売却したが、これが相当価格の販売であった場合、詐欺罪は成立するか。「財産上の損害」要件と関連して問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 文言上「財産上損害」の要件が読み取れないが、詐欺犯が財産犯であることから何らかの財産上の損害の発生が必要。個別財産への侵害を1項詐欺罪が罰する以上、この喪失を持って財産上の損害というべきとも思えるが、形式的に喪失があれば認めるとすれば処罰範囲が広すぎる。 欺かれなければ交付しなかった、のみならず交付の判断の基礎となる事情に錯誤があって初めて「財産上の損害」を認めるべき。 判例では「欺罔行為」の点、これを財産処分へ向かう基本的事項についての錯誤に陥らせ、その結果「財産上の損害」をもたらすものでなくてはならないとした。相当価格でも代金支払い自体、真実と異なる誇大な事実を告知し相手方を誤信させ金印の交付を受けた以上、「財産上の損害」の観念が必要と解する。

    解説

  • 29

    恐喝罪(249条1項)について、構成要件は。○債権者が債権弁済を受けるため債務者を恐喝して財物を交付させた場合恐喝罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①恐喝行為(相手側を畏怖させるに足る暴行・脅迫)②相手側の畏怖③畏怖による処分行為④財産の移転(⑤因果関係⑥不法領得の意思⑦故意) ○確かに債務の弁済として債務が消滅する以上、財物の交付による財産上の損害が認められず脅迫罪にとどまるとも思える。 しかし恐喝されなければ財物を交付しなかったはずで、財物に対する使用収益処分という事実的機能を行使する自由が失われたと言える。財産上の損害がかかる点認められ、恐喝罪の実行行為が観念できる。 では35条正当行為として権利行使として違法性が阻却されないか。違法性の本質が社会的相当性を逸脱した法益侵害にある以上権利行使が社会的相当と言えれば違法性は阻却される。 具体的には①権利範囲内(権利行使目的)②行使方法が社会通念上是認されるような場合は許される。

    解説

  • 30

    委託物横領罪252条1項の構成要件とは。横領における「占有」とはいかなる意義を持つか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①他人の物を②委託信任関係に基づき(占有離脱物横領との区別)③占有する者(真正身分犯)が④横領行為を行う事。⑤(因果関係)主観面では⑥不法領得の意思⑦故意が必要。 そして横領罪の本質委託信任関係を破壊する点にあり、かかる関係を害しうるような濫用の恐れのある支配力が重要。 よって横領罪における占有とは事実上の支配のみならず法律上の支配も含むと解する。(窃取からの保護を図る目的の窃盗罪では事実上の支配の保護で十分)

    解説

  • 31

    委託信任関係が盗品の保管に関する違法な物でも、刑法上の保護を受け、かかる盗品の横領は委託横領罪となるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 不法原因給付による金銭を着服しても民法上は返還請求ができないので「他人のもの」とはいえず、横領罪は成立しないのではないかとも思える。 確かに民法上保護されない不法原因給付物に刑法上横領罪による保護を与えるのは法秩序の不統一をもたらすおそれがある。 しかし民法は私人間の利益調整を主眼とする一方刑法は行為者の処罰可否を論ずるのであって、これを一致させる必要はない。さすれば民法上の所有権が無くとも、給付者に不法な両得行為に対して保護すべき利益があれば、横領罪の限りで当罰性が認められ「他人のもの」といえると解する。※賄賂資金とか

    解説

  • 32

    横領罪において不法領得の意思は要求されるか。いかなる主観を指すか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 横領罪は領得罪(窃盗、強盗、横領、詐欺)であり、不法領得の意思が必要と解する。横領行為とは占有物を不法に領得する、不法領得意思の実現行為という。 ではその内容とは。 思うに横領罪の本質は委託信任関係を破壊する点にある(よって本人のためにする目的では不法領得の意思は認められない)が、隠匿・毀棄目的でも委託信任関係の破壊は可能である。 よって横領罪における不法領得の意思とは、委託の任務に背いて、そのものにつき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいい、経済的用法に従った利用処分の意思は不要と解する。

    解説

  • 33

    甲が乙に売却した土地を登記する前にさらに丙に売却した場合横領罪は成立するか。丙が悪意なら共同正犯、教唆犯に問えるか。

    補足(例文と訳など)

    • ※善意の丙に、既に売却によって乙の所有となった土地を売却した行為は詐欺罪とならないか、思うに丙は悪意であろうと移転登記を経れば完全な所有権が取得できる以上、丙に財産上の損害は観念できず詐欺罪は不成立となるのが原則である。 しかし丙が事前に乙への売却の事実を知っていたなら売買契約を結ばなかったという特段の事情あれば、代金支払い自体に錯誤による処分行為、ついで財産上の損害が認められ、例外的に詐欺罪成立を認められると解する。

    答え

    • 未登記の場合も「横領」といえるか。思うに横領とは不法領得の意思の発現行為、つまり委託の趣旨に反し所有者でなければできない処分をなすことであり、二重に売買契約をすることは委託の趣旨に反する以上、「横領」に当たるとも思える。 しかし不動産売買においては民法177条より登記を持って初めて権利の得喪が確定するので、登記を本来の委任者に移すことが未だ可能な限り、横領行為として罰するのは行き過ぎと解する。 よって不動産売買については登記が移転され始めて横領になると解する、横領罪は不成立。(判例。普通に成立とする説もある) ○悪意であろうと177条より登記を得れば正当な所有権を丙は得られるので、民法上物権的保護を受ける丙を罰するべきでない。 しかし丙が背信的悪意者である場合、177条の趣旨である取引的安全に鑑み、その保護の範囲を逸脱しているといえ、登記をもって所有権を主張できない以上刑法上も可罰的違法性を有するといえ、共犯に問えると解する。

    解説

  • 34

    甲が乙に売却した土地につき、土地上に抵当権を設定する行為は横領罪として罰せられるか。これを丙に売る行為はカード33と異なるところがあるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①「占有」について、委託信任関係に基づく「濫用の恐れのある支配力」、よって法律上の支配を含み、登記をもつ甲には「占有」がいえる。 ②「他人の財物」:民法上の所有権を基礎に、刑法的要保護性の観点から判断。所有権に加え、乙が代金支払い済みならば刑法上の要保護性も高く、OK。 ③契約上の義務として所有家移転登記への協力が観念でき、保管義務もある。「委託信任関係」もOK ④「横領」行為については、抵当権設定行為の経済的重要性から、所有者でなければできない処分、つまり不法領得の意思の発現といえ、抵当権移転登記を得た以上横領行為といえる。 ○丙への売却については、横領罪の本質が委託信任関係の破壊にあるところ、先行行為の抵当権設定が横領としても委託信任関係が完全破壊されるとは限らない。抵当権設定は不動産の交換価値をすべて処分することと同義ではなく、処分されていない価値については関係が係属する。よって同一人による横領物のさらなる横領が観念できる。罪数は法上競合となる。

    解説

  • 35

    横領罪の既遂時期は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 横領は不法領得の意思の発現行為。よって不法領得の意思が表れたと言えればよい。 委託補完物の売却については、その売却の意思表示の時点が実行行為の着手といえると解する。

    解説

  • 36

    背任罪の構成要件は。他人のための事務処理者が自己占有下の他人の物を不法に処分した場合など、横領罪と背任罪はどのように区別すべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①「他人のために事務を処理する者」が②「自己・第三者の図利または相手への加害目的」で③「任務違背行為」を行い④「財産上の損害」を与えた場合 ○争いあるも、法定刑の違いに着目し行為態様によって区別するのが妥当と解する。すなわち権限の濫用が背任罪であり、権限の逸脱が横領罪と解する。(判例は本人の名義・計算なら背任、行為者のなら横領とする)なぜなら権限内で行動する限りは、たとえ権限を濫用しても一応本人にその効果が及ぶ以上、不法領得の意思の発現である横領行為とは言えないといえるだから。 権限内かどうかの判断は、原則として外形上、一般的・抽象的範囲内にあるか否かで決すべきだが、例外的に委託趣旨から絶対に許されない行為についてはたとえそれが外形上一般的・抽象的範囲内でも、実質的には権限逸脱行為に他ならないから。

    解説

  • 37

    Aに対して抵当権を設定した甲が、Aへの抵当権設定登記の前にBに抵当権を設定しその旨の登記も完了した場合のXの罪責。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 不動産に抵当権を設定した者が抵当権設定の登記に協力する行為は、①「他人のために」行う事務かどうかが問題となる。 確かに原則的には、かかる行為は自己の財産処理を完成する事務、つまり自分のための事務としての一面がある。 しかし抵当権設定の登記に協力する行為は主目的として、相手の債権保全のための事務であるので、「他人の」為にする事務といえる。

    解説

  • 38

    背任罪における実行行為「任務違背行為」とは、「財産上の損害」とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 背任行為を、法的代理権の濫用とする見解があるが、かかる見解では背任罪が成立するのは代理権の存する場合で、かつ対外関係に関する法律行為に限られることになり、狭きに失する。 また信義誠実の義務、信義則違反とする説もあるが、定義が抽象的なあまり処罰範囲が不明確であり妥当でない。 そこで、背任行為を「行為者が事務処理上有する権限を濫用することで本人に財産上の損害を与えるべき行為」を言うものと解する。 では「財産上の損害」とは。 思うに実社会では額面が同じでも債権と現金の価値は異なる以上経済的見地から判断すべきで、例えば「無担保で、弁済見込みのないものに金銭を貸し付けた場合」は「財産上の損害」にあたるといえる。(法的見地からすれば債権が残る以上損害なしとも思える)

    解説

  • 39

    盗品等の罪について、その保護法益は。条文の文言からは明らかでないので問題となる。盗品であることを知らず預かりのちにこれを知った時も盗品等保管罪は成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに、刑法が本罪を独立の財産罪として規定した趣旨は、盗品等に関する被害者の追及を困難にする行為につき、被害者の財産権を侵害するものとして処罰する点にあると解する。 もっとも、本犯との関係でみれば事後従犯的側面は否定できないので被害者の追及権を基本に、本犯の助長を防止する点にも趣旨がある。 よって本犯と盗品等罪犯の間に意思連絡、合意は必要なく、盗品であることについての意識があれば足りると解する。 ○後半について、上述の盗品等罪の本質より、本罪が継続犯であることから、保管行為の間法益侵害が継続、実行行為の終了は認められないので、知情後の保管につき保管罪が成立する。

    解説

  • 40

    盗品等の罪についての親族関係に関する特則、257条1項について誰と誰の間に親族関係が必要か。親から盗まれたものを有償で譲り受けた者が、息子に保管させた場合、息子の盗品等保管罪につき257条が適用されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点244条親族相盗例と同様、法は家庭に入らずの趣旨であるとして、盗品犯と本犯の被害者との間に親族関係が必要とする見解もあるが、盗品等に関する罪では本犯被害者と盗品犯人の間に親族関係があることは稀で、むしろ本犯と盗品犯の間に存在するのが通常。さらに244条を準用すればいいのにしていないから趣旨は別にあると解する。 思うに257条の趣旨とは、盗品等の罪は犯人庇護的側面があるところ、本犯の親族が、その家族間の情実より本犯の庇護的行為をなすことについて、正当行為の期待可能性が減少することから、処罰を阻却することを定めたものと解する。 よって親族関係が要求されるのは本反射と盗品犯人との間である。 ○後半について、①犯人庇護的側面から、たとえ盗品等罪の犯人相互間でも期待可能性の減少が認められる②文言上直系血族の間で「前条の罪を犯した者」に変わりない。よって盗品等罪の犯人相互間でも親族関係があれば257条1項の適用が認められる。

    解説

  • 41

    錯誤に基づく同意をもって人を殺した場合、同意殺人罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ○同意がある以上202条後段同意殺人罪が成立しないか。同意殺人罪が普通殺人罪より軽く処断されているのは保護法益主体である本人が自由な意思決定に基づいて生命を放棄しており、法益侵害の程度が小さいから。よって同意は通常の弁識能力を備えた者の自由かつ真意に基づく同意が必要であり、実質的に見て真意に沿わない重大な瑕疵といえる錯誤があればかかる同意とは言えず、そのような錯誤を利用して自己の意のまま殺害する場合普通殺人罪として論ずるべき。

    解説

  • 42

    錯誤に陥れ(偽装心中)自殺させた場合、いかなる犯罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ○教唆して自殺させたとして202条前段自殺関与罪が成立するか。自殺とは自由な意思決定に基づき自己の生命を断つことをいう。よって自殺といえるためには自殺意思が真意に基づいたものでなければならないし、自殺の決意にとって本質的事柄に誤信があれば自由な意思決定が奪われ真意に基づく自殺意思は認められない。 この点およそ死ぬことの認識がある以上本質的事柄の錯誤はなく、同期の錯誤に過ぎないのだから自殺意思が認められるとする説があるが形式的に過ぎ妥当でない。思うに実質的判断が必要である。 心中を信じたからこそ自殺決意に至ったのだから追死することは自殺意思決定の本質的事柄で、ここに錯誤がある以上真意性を欠く。自殺関与罪は不成立。 ○そこで殺人罪の間接正犯と評価できないか。 行為者が本人の行為を一方的に支配し道具として直接法益侵害をなしたと言えることが必要。欺く行為の内容、程度、自殺のための準備行為、本行為により経験則上行為者の意思通り本人に本人の生命を奪わせることが出来るものと言えればよいと解する。

    解説

  • 43

    暴行・脅迫と言えない程度の「嫌がらせ」については公務執行妨害罪95条が成立しないが、人の意思を制圧するに足りる「威力を用いた」として234条業務妨害罪を言えないか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 234条の業務、95条の公務にも何ら限定が無いことから公務が全て業務に含まれ、ある行為が双方の構成要件に該当する場合観念的競合とすればよいと説明する見解もあるが、公務に対する暴行・脅迫による妨害について95条234条両方の成立を認めれば二重の刑法保護を及ぼし妥当でない。 一方で公務が一切「業務」に入らないとする説もあるが、暴行・脅迫以外の妨害について公務は保護されず妥当でない。 そこで強制力を行使する権力的公務(警察活動)は偽計や威力による妨害を通常実力排除できるので95条公務執行妨害罪で暴行・脅迫から保護するのみで足りるから234条の「業務」として保護しないが、その他の公務については偽計・威力からも保護する必要があり、「業務」に含まれるとして234条の保護を及ぼすべきと解する。

    解説

  • 44

    放火罪の類型をざっと教えてください。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 108条は現住建物等放火罪。最も重く、人のいる(現住性要件)建造物等に放火する罪。109条も建造物等への放火を罰するが、非現住性→類型的に危険が小さく軽い。110条は公共の危険が生じたことを要件に建造物等以外への放火を罰する。 そして放火の財産への侵害という側面に着目し、109条(非現住建物等)110条(建造物等以外)には、それぞれ2項に「自己所有」という事情があれば財産という法益の保護必要性が小さくなるため更に罪が小さく規定されている。(非現住物建物等では公共の危険ない限り自己所有物への方かは罰せなくなる。建造物等以外はもともと。)108条では人がいる以上、人の身体・生命という最重要法益の保護必要が高まるため「自己所有」につき定めはない。

    解説

  • 45

    放火罪における「焼損」の意義とは。いつかかる罪が既遂になるかと関連して問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 3説ある。まず①判例(独立燃焼説):公共危険罪たることを重視、火が媒介物を離れ目的物に燃え移り独立して燃焼する状態に達したとき、既遂となるとする。②の修正はとりうるが有毒ガスの危険は放火罪の予定するものでなく「焼損」としない。 ②前田説(燃え上がり説+個別化説)①を、既遂時期が早すぎると批判。公共危険犯である本質に鑑みて建造物の重要部分が、全体に燃え広がる危険のある程度に炎を上げて燃えたことを「焼損」とする。不燃性の建材ならば、有毒ガスの発生による公共の危険や、可燃物の接触で燃え広がる程度に酸化、高温となることをもって「焼損」とし修正する。 ③効用喪失説:①批判として日本では木造建築が多く未遂を認める余地が少な過ぎ。「焼損」には目的物の損壊・毀棄という意義があることや、財産罪的性格に鑑み、火力によって目的物が本来の効用を失ったことをもって「焼損」とする。難燃性建造物についての結論が一番スムーズ。①②からは放火罪の刑の重さが公共犯たる性格に着目した結果であり、これを軽視してはならないと批判する。

    解説

  • 46

    108条にいう「現住」性について、その定義は。建物が複数ある場合、一体性をどのように解釈するべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず現住建造物とは人が起臥(きが)寝食の場所として日常使用している建造物、もしくは人の現在する建造物をいう。 ではかかる建造物と一体性を有する非現住部分に放火した場合に罪に問われるか。一体性が認められる基準とは。 この点延焼の可能性を判断基準とせず建造物の外観・構造・物理的接続性のみを判断要素とすべきとする説があるが現住~が非現住~より重く処罰されるのは現住~が人の身体・生命を侵害する危険性が特に大きいからであり、物理的一体性が認められても延焼の危険が全くない場合、身体・生命への危険が無いのだから一体性を否定すべきである。 ①現住部分への延焼可能性を考慮した物理的一体性②非現住部分と現住部分の機能的一体性を要素とし、構成要件該当性の問題であるので社会通念に則り建造物の一個性・一体性を判断すべき。①では専用部分が耐火構造になった集合住宅で非現住部分を独立の建造物とみて良いか②ではエレベーターや神社の社殿などが問題になる。

    解説

  • 47

    109条2項の故意には公共の危険が生じる認識が必要か。110条1項2項の故意はどうか。

    補足(例文と訳など)

    • 結果的加重犯的構成、延焼の認識との重複から未必の故意を招きかねない事、放火の意思があるのに失火罪でしかさばけない矛盾などから、構成要件要素とせず認識を不要とする説も強い。

    答え

    • 自己の建造物の焼損はそれ自体適法で公共の危険発生があって初めて違法となる以上、公共の危険発生は構成要件要素である。よって公共の危険発生の認識が必要。(延焼の認識との区別は、公共危険の発生は不特定・多数人の危険を感じる状態の認識、一方延焼の認識は実際に延焼する結果についての認識。) ○110条については、基本犯を器物損壊罪261条とする結果的加重犯とする説があるが保護法益が財産と公共の安全で異なる。110条の罪は独立犯で、公共の危険発生がなければ罰せない以上公共の危険が構成要件要素といえ、故意成立には公共の危険発生の認識が必要。 (延焼の危険の認識との区別は同様)

    解説

  • 48

    109条2項、110条1項2項で要求される「公共の危険」の内容とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点公共の危険を、108条、109条1項に規定する物(現住建造物、他者の非現住建造物)への延焼の危険に限定されるとする見解もあるが、建造物等以外の物への延焼でも、避難すべきとの危惧という心理状態を招きうる。 そこで公共の危険とは、かかる物に限定されず、不特定または多数の人の生命、身体、または建造物等以外の財物に対する危険も含まれると解する。 このように解しても一定程度以上の侵害の危険の規模を要するとすれば処罰範囲が不当に広がることはない。

    解説

  • 49

    155条159条文書偽造罪の保護法益は。そして「偽造」とは何を指すか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 保護法益は文書に対する公共の信用。すなわち文書の証拠としての機能が保護される。(スキャナー事例で後述するが、公共の信用に足る外観が前提の要件となる。)そしてかかる機能を本質的に害するのは、内容虚偽が存する場合でも責任所在を持って法的責任追及できるが、これすら不能にするという意味では、「文書の責任明示機能を害すること」である、と解する。(公務員による公文書偽造、医師の診断書偽造は信用が高い以上内容偽造を特別に処罰する156条160条) よって「偽造」とは名義人と作成者の同一性を偽ることをいう。名義人とは文書から一般人が認識する意思・観念主体。そして事務仕事で秘書などが書類を作成することを違法にするわけにはいかないので作成者とは、実際に文書に意思・観念を表示した者+<させた者>をいう。

    解説

  • 50

    文書偽造罪における要件として①事実証明に関する(公文書偽造では「公務員の作成すべき」)②「文書」を③「行使の目的」をもって④「偽造」することがあげられる ④③はいいとして私文書偽造の要件である①につき、その意義は。 自己の写真を貼付したが名義の異なる履歴書、入試答案について問題となるのは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①事実証明に関する文書とは、判例では実社会生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書とするが、文言があいまいで処罰範囲が広範に過ぎると解する。 よって処罰に値するという観点では社会生活における一定の重要性も、要求される。入試答案はかかる要件を満たし①といえる。 履歴書については個人の経歴証明書であり、社会生活において重要な、交渉を有する事項の証明文書といえる。④偽造について、自己の顔写真貼付があったとすれば保護法益の侵害がないとも思えるが、①にいう重要性から、名義を偽ることは作成者と名義人の同一性が認められず公共の信用を害し、偽造罪、行使罪は成立する。

    解説

  • 51

    他人の運転免許証の記載の写しを自分の免許証に貼付、イメージスキャナーで読み取らせ係員に表示、キャッシュカードを交付させた場合、問題となるのは。公文書偽造といえるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ④偽造といえるかが問題となる。人格の同一性を偽ったといえるためには前提として公共の信用が成立する必要があり、他人名義で作成された文書が一般人から見て真正に作成された物であると誤信させるに足りる外観が必要と解する。 公共の信用が保護法益であるため、行使態様も公共、一般人の信用に足るものかの判断要素となる。 つまりスキャナーを通せば貼付ただけの雑なつくりでも一見わからず、一般人の信用に足る外観を有しているといえ、前提として公共の信用が成立する。 さらに名義人(公安委員会)と作成人の同一性を偽っている以上④が認められる。 他の要件を満たせば罪が成立。

    解説

  • 52

    写真コピーについて②文書性が認められるか。名義人は誰なのか、④偽造といえるかと関連して問題となる。これをコピーする行為、行使する行為はそれぞれ文書偽造、偽造文書行使罪となるか。

    補足(例文と訳など)

    • 例えば、真正に作成された供託金受領書につき、記名捺印部分を切り取り、虚偽の内容を記入した供託書と共にコピー。写真コピー作成して行使。

    答え

    • ○昔は手書きの写しでは写し取るものの主観が介入する以上、信用性が乏しく「文書」として保護されないと考えられてきたが、技術進歩で「写真コピー」が登場、主観の介入する余地なく、原本の作成者の意識内容を直接表示し証明するものとして、公共の信用が生じ、保護に値する「文書」として認められると解する。 そして写真コピーの名義人とは、コピー作成者と同一として「偽造」とならないとする見解もあるが、文書偽造罪の保護法益が文書への公共の信用であるが、写真コピーへの信用は誰がコピーを取ったか、ではなく原本と同様の意識内容が正しくコピーされていることに向けられており、原本の意識内容主体=写真コピーの意識主体、名義人であると解する。

    解説

  • 53

    XがAから何の権限も与えられていないのに「A代理人X」という名義の売買契約書をBとの間で作成したときのように、代理名義が冒用された場合、名義人は誰で、誰と誰の同一性を偽れば罪となるのか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず④偽造の意義とその理由をのべる。 そこで代理名義でなされた文書の名義人はだれか。 この点当該文書の名義人を代理人Xととらえ、A代理人という部分が肩書きであり、肩書という文書の内容の一部を偽った無形偽造とする見解があるが、これでは代理・代表名義の冒用が処罰できず、かかる形式の文書が多く使われる現代社会では私文書偽造罪により公共の信用が保護しきれない。 これに対しA代理人Xという一体の名義を別個の人格と捕え、名義人として構成し、作成者Xと同一でないものとし、偽造罪成立を認める見解があるが、技巧的に過ぎるし、資格を冒用した場合尽く偽造罪を成立させ妥当でない。 思うに保護法益が公共の信用であり、代理名義の文書については、公共の信用は「文書の法的効果が本人に帰属する」ことに向けられるので名義人は本人となると解する。(名義人Aとの信用を、意識主体Xが本来の名義人であるとして裏切った。)

    解説

  • 54

    甲が実在の弁護士と同姓同名であることを利用して金銭をだまし取ろうと考え、請求者欄に「弁護士甲」と記入、自己の印鑑を持って報酬請求書を作成した。有印私文書偽造罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 弁護士でないのに、弁護士という肩書を冒用した行為は「偽造」にあたるか。 文書偽造罪の保護法益は文書への公共の信用であるが、内容虚偽があっても~(省略)よって「偽造」とは無形偽造、つまり作成者と名義人の同一背を偽ることをいう。そして作成者とは~、名義人とは~をいうと解する。 それでは甲が肩書きを冒用した行為は人格の同一性に齟齬を生じさせたといえるか。思うに肩書きのぼうようの場合、作成者の名が文書に表示されており、原則文書の内容を偽ったに過ぎないというべき。しかし文書の性質上肩書きが重要な意味を持つ場合肩書きを含め明下人をとらえるべきであり、その場合名義人と作成者の人格同一性に齟齬があるというべき。 本ケースでも、弁護士が業務に関連し報酬を受け取る請求書に弁護士の肩書が付いた氏名記載があれば、肩書を含めた甲によって作成されたことに公共の信用が生じ、作成者は弁護士でない甲、名義人は弁護士甲、であると考えるべき。よって~偽造に当たる。

    解説

  • 55

    被冒用者つまり名義人の同意がある場合、例えば替え玉受験の場合、文書偽造罪、行使罪は成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 替え玉受験事例ではまず①「事実証明に関する文書」といえるかをチェック。(前述) そして④「偽造」といえるか、偽造とは有形偽造をいい、これを処罰すれば足りる。なぜなら保護法益は~(省略)そこで入試答案の名義人と作成者が誰かが問題となる。 今回は同意がある以上、作成させた意識の主体、つまり作成人と、答案から意識主体と推測される名義人と不一致が無く、「偽造」と言えないのではないかとも思える。 しかしその性質上、本来的にその名義人自身による作成だけが予定されているような文書については、名義人の承諾があろうとも、他人がそのような文書を作成することは公共の信用を害するため、承諾は無効となると解する。 今回も入試答案が本来名義人の作成のみ予定される文書であり、名義人の承諾は無効となり、作成者はあくまでも替え玉であって不一致となるので「偽造」があったといえる。

    解説

  • 56

    例(虚偽公文書作成罪の間接正犯):建築係Aは、地位を利用して未だ着工していないX住宅の現場審査申請書に、建前の完了、屋根葺、荒壁の完了の旨虚偽の報告をし、上司の事務所長Yに提出、情を知らないYに記名捺印させ内容虚偽の現場審査合格所を作らせたとき、Aの罪責は。

    補足(例文と訳など)

    • ※まず157条列挙の客体に当たらず、公正証書原本不実記載等罪にはあたらない。

    答え

    • 作成権者でないAが公務員Yを欺罔し内容虚偽の公文書を作成させた点虚偽公文書作成罪の間接正犯が成立しないか。 まず同罪は作成権限ある公務員を主体とする真正身分犯であるが、身分なき者も身分ある者を道具としその行為を介して法益侵害をなしえるので真正身分犯に間接正犯は成立すると解する。 ○しかし157条では公文書の間接正犯的態様を定め、重要な文書に限り、また156条の法定刑よりも軽くなっていることから、法の趣旨として156条の間接正犯態様を不可罰とするのが原則といえる。 しかし157条は窓口業務における私人の申告という形態につきその誘惑的性格から軽く処罰する趣旨である。よって本問のように職務上作成に関与し申告という形態を取らずに内部で虚偽文書を作成させる行為には間接正犯を認めて良いと解する。 ※逆に言えば申告形態をとる私人が情を知らない公務員を利用し157条記載の公文書偽造をさせた場合は間接正犯が成立しない。

    解説

  • 57

    95条1項公務執行妨害罪について、構成要件は。「職務の適法性」が必要か。そしてその内容と判断基準は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①公務員に対して②その職務を執行しているとき、しようとしているとき③暴行または脅迫を加えること 条文上「適法性」という文言が無いが、例えば警察官が明らかに違法な活動に対して抵抗する行為を罰せられるのは不当であり、職務の「適法性」は書かれざる構成要件であって公務執行妨害罪が成立するためには職務の適法性が必要と解する。 そして適法といえるためには①一般的・抽象的職務権限内②具体的職務権限内③職務行為の有効要件である法律上の重要な条件・方法を履践していることが必要。 そして判断基準として公務員の主観、一般人の見解を考慮する見解があるが、前者はすべてが適法になりかねないし、後者も一般人の見解が定かでなく不当。 そこで裁判所が客観面に徹底して判断すべきと解する。そして判断基準時点は、裁判時におくとする説があるが、法律の要件・方式に従ったのに後に誤認逮捕と分かれば刑訴法上適法な逮捕行為を刑法上違法とし妥当でない。刑訴法との調和の観点から基準時は行為時とするべき。

    解説

  • 58

    血みどろのコスプレをしたAに、当該殺人事件につき捜査中の警察官Bが怪しく思い近づいたところ、驚いたAは逃走し、十分な嫌疑を抱いたBがこれを追走した。まったく身に覚えのないAは警察官のかかる行為を違法なものと誤信し抵抗した場合、かかる「職務の適法性」に関する錯誤は公務執行妨害罪の故意を阻却するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 職務の適法性は構成要件要素といえるか。(カード57参考)構成要件要素と解する以上、かかる認識なくして構成要件該当事実の錯誤として故意が阻却されると解すべき。 軽率に違法な職務と思って妨害した者についてもすべてかかる罪に問われないのは不当とも思えるが、職務の適法性は、規範的構成要件であり、裁判官と同程度の適法性の認識をもって規範の問題にはじめて直面する、とすべきではなく、素人的認識として適法と解していれば、故意は阻却されないのであって、かかる批判は当たらないと解する。

    解説

  • 59

    真犯人逮捕後、自らが犯人であると名乗り出る行為に犯人隠避罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • かかる行為が「隠避」に当たるか問題となるが、この点本罪の保護法益を犯人の身体の確保に向けられた刑事司法作用の保護とし、すでに身体の確保がある以上身代わり犯人の出頭は「隠避」にあたらないとする見解もある。 しかし思うに同罪の保護法益は身体の確保に限らず、広く適正な刑事司法作用を保護することにあると解する。さすれば身代わり犯人の出頭でも、真犯人の拘束を免れせしめ、ひいては捜査の円滑な進行を妨害する者であって、適正な刑事司法作用を害する危険は認められる。 よってかかる場合も「隠避」として犯に認否罪が成立すると解する。103条

    解説

  • 60

    偽証罪169条・証拠隠滅罪103条・犯人蔵匿罪103条につき、刑事被告人あるいは犯人は主体となりえない。なぜならそれらの行為につき正当行為の期待可能性がないからである。 では主体足りえない被告人あるいは犯人が第三者を教唆してこれらの罪を犯させた場合、教唆犯は成立するか。(61条)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点共犯の処罰根拠を、共犯者が教唆行為により正犯者を有責行為に誘い込み処罰される状態に陥れたこととする見解からは教唆犯が成立することになろうが、あらゆる犯罪は法益侵害・棄権の惹起により処罰根拠があることは変わらず、法益侵害と無関係に犯罪成立を認めるべきでない。 共犯の処罰根拠は、正犯者の実行行為をして法益侵害・危険の惹起を間接的に加工する点にあると解すべき(混合惹起説) この説に立ちながらも、他人を教唆した場合も被告人・犯人と同様期待可能性が無いこと、他人を介する教唆ならば間接的法益侵害で犯情が軽微なことを理由に否定する見解もあるが、他人に偽証させる行為は第三者に実行行為決意させる点でより可罰的、期待可能性がないとはいえないし、裁判官も本人より承認の陳述を信用しやすく、法益侵害はより重い。 よって偽証罪の教唆犯は成立する。 証拠隠滅罪・犯人蔵匿罪の教唆も他人を罪に巻き込んでまで自分の罪を免れるのならば期待可能性がないとは言えないので教唆犯が成立する。

    解説

  • 61

    ある刑事事件についての共犯者が、他の共犯者の刑事事件に関する証拠を隠滅した場合、証拠隠滅罪は成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 104条が自己の刑事事件移管する証拠隠滅を不可罰とした趣旨はかかる行為は期待可能性に乏しいからである。 さすれば共犯者と自己に共通利害関係がある場合もかかる趣旨が妥当するから、証拠隠滅は成立せず、もっぱら共犯者のためにする意思で行為した場合にのみ成立すると解する。

    解説

  • 62

    169条偽証罪における「虚偽」の意義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 客観的真実に反することであるとする説があるが、かかる見解では承認が自己の記憶に反することを言っているのに、事実内容を真実と信じ陳述した場合、故意が阻却され、過失罪が無い以上不可罰となる不都合がある。 思うに偽証罪の保護法益は国家の審判作用であるが、元来承認は経験した事実を自己の記憶のまま述べるべきであって、記憶に反する事実を陳述すること自体、国家の審判作用を害する抽象的危険と意思が含まれると解する。 よって「虚偽」とは承認の記憶に反することを言うと解する(主観説

    解説

  • 63

    収賄罪・贈賄罪はどのように類型化されているか、図を見て考えてみてください。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 参考:画像

    解説

  • 64

    単純収賄罪の構成要件は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①公務員が(真正身分犯)②その職務に関し(公務員が地位に伴い公務として取り扱うべき一切の業務。保護法益は職務の公正とそれに対する社会一般の信頼であり、これを害したというには公務員が何らかの影響を及ぼしうる職務をいう。)a具体的職務権限b一般的職務権限c職務密接関連行為すべて含む。不正な職務、不作為でも認められる。abなら将来の約束でもいいが、処罰範囲の不当拡大を避けるため蓋然性を要件とする。 ③「賄賂を」:職務に関連する不正の報酬としての一切の利益をいう(情交・天下り含む)が、対価性が必要。 ④「収受しまたはその要求、約束をしたこと」相手方の応諾は不要、約束を解除しようが違法性は阻却されない。⑤故意:職務行為の不正な報酬という認識が必要。

    解説

  • 65

    A受託収賄罪B事前収賄罪C第三者供賄罪D加重収賄罪Eあっせん収賄罪について、構成要件が単純収賄罪と異なるところを述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • Aでは①~⑤に加え、「請託」をうけて収賄することが必要。職務に関し一定の職行為を依頼され公務員が承諾したことが必要。(黙示でも良い) B①につき、公務員になろうとするものが真正身分。そして「公務員となった」事実が必要。地位につけなければ不可罰。 C③④について、第三者(当該公務員以外の者、主観は関係ない)に賄賂(職務行為の代償)を供与させ、または要求か約束をしたとき。 D①~⑤をみたし、⑥因果関係をもって、⑦不正な行為をしたこと、相当行為をしなかったこと。 E「公務員であったもの」が「在職中」「請託を受け」「不正行為をしたor相当行為をしなかったこと」をもって退職後、③④をみたすとき。 F②につき、他の行為に不正な行為or相当行為の不作為をあっせんする、したことの報酬として③④をみたすとき。

    解説

  • 66

    一般的職務権限を異にするほかの公務に転じた後、前の職務に関し賄賂を収受した場合、いかなる収賄罪が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに「その職務に関し」として賄賂の職務関連性を要求しているのは、かかる場合に初めてわいろ罪の保護法益である職務の公正と、そこへの社会の信頼が害されるからである。 さすれば過去にそのものが担当した職務に関して賄賂の収受がなされた場合、たとえ転職し職務権限が異なろうとも、公務員という地位が過去にあり、そして今もあり続ける限り、過去の職務及びそのものが将来担当する職務の公正と、社会の信頼は害されるというべき。 よって「その職務」とは自己の職務であれば足り、過去にそのものが担当していた職務を含み、一般的職務権限を異にするに至っても、そのものが公務員である以上単純収賄罪が成立すると解する。 (公務員の地位から離れた後の収賄は、事後収賄罪。)

    解説

  • 67

    収賄罪の一般的な構成要件である「職務に関し」の意義は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • わいろ罪の保護法益は~。さすればその職務を根拠として、公務として取り扱うべき一切の業務をいうと解する。 現に具体的に担当する業務はもちろん職務に当たるとして、具体的に担当が無くとも法令上その職務と同内容の権限が付与されている場合(地域課の掲示に刑事課担当事件に便宜を図ってもらう目的で~というケース)も含む。(一般的職務権限) さらに、職務をこきょに、当該公務員が事実上所管し執務すべき行為、つまり職務と密接な関連のある行為につき不正な利益が結びつく場合も、職務の公正とそれに対する社会の信頼が害されるのだから「職務に関し」といえ、罰せられると解する。

    解説

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