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刑法総論

カード 74枚 作成者: かずとし (作成日: 2014/10/23)

  • 実行行為①不真正不作為犯について、問題となること2つ、そしてその解決。

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教材の説明:

全部結果無価値にも触れたかったけどめんどくさいのでほとんど予備校通り行為無価値で、ロースクールで詳しくやってください

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  • 1

    実行行為①不真正不作為犯について、問題となること2つ、そしてその解決。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 構成要件が作為で決めた犯罪を不作為の形で実現すること。 これは罪刑法定主義に反しないか。法律なく処罰することになるし、そして不作為というのは作為よりも内容があいまいで、明確性の原則に反するように思える。 前者については、構成要件とは、法益保護目的に与えられた規範で、禁止規範としての形態だが、命令規範としての側面も有する。よって不作為の形も同一の構成要件に含まれ、法定されていると解せるので罪刑法定主義には抵触しない。 そして実行行為とは、構成要件の予定する法的侵害を現実化させる危険のある行為であるから、不作為も実行行為とできる。 後者について、確かにすべての不作為を実行行為とするのは、処罰範囲を不明確にし、もって構成要件の自由保障機能を没却する点問題がある。明確性の原則からのみではなく、類型的に不作為には可罰性が低く、作為の場合と同様に罰することは妥当でない。 そこで処罰されるべき不作為の限定のために作為義務のあるものに限って、実行行為性を認めることで解決されると解する。 具体的には、被告人の作為義務の存在、そしてその時点の状況からして作為可能性、作為の容易性を認めることが社会的に相当といえるかで判断する。

    解説

  • 2

    実行行為②作為義務の錯誤について、事実の錯誤として故意を阻却する結果となるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 作為義務についての法的地位が問題となる。何故なら、錯誤の対象が構成要件的要素の内容といえなければ、違法性、責任についての錯誤は何ら可罰性を阻却するものではないから。 作為義務を違法性の問題と解する見方もあるが、結果と因果関係のある不作為が全て構成要件に該当することとなり、作為義務を有する者の不作為のみ違法性を有することとなり、これでは違法類型としての構成要件の趣旨が損なわれる。 よってその法的地位は、構成要件該当性の問題と解する。作為義務がなければ、構成要件に該当する、とできる。 よって作為義務の錯誤とは、構成要件要素に関する事実の錯誤であり、故意を阻却しうると解する。 しかし作為義務は、法から形式的に認められるものでなく、裁判官のある程度の評価を伴う規範的構成要件要素と解される。 また故意が規範に直面しながらの反対動機形成可能性をもってしてあえて行為に及んだ道義的非難をその本質とすることから、反対動機を形成する可能性があるだけの、素人的認識として「しなければならない」という認識があれば、構成要件的故意は阻却されないと解する。

    解説

  • 3

    実行行為③間接正犯について、その成立要件とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 背後者が実行行為を行っているといえるか(→共同正犯→教唆犯など狭義共犯) 間接正犯は、実行行為者でないものに、実行行為者と同等の責任を負わせるもの。よって成立要件としては背後者の行為に直接行為と質的に異ならない実行行為性があることが必要。 具体的な問題としては、構成要件該当行為を行っていなくとも、主観的に他人を道具として利用していることで、行為者に実行行為性を認めることができるか。 そこで①主観的には、構成要件的故意、つまり反対動機形成可能性をもちながらの実行のほかに、他人を道具として利用し事故の犯罪を実現する意思。 ②客観的には利用行為により他人を一方的に支配、利用し構成要件を実現する現実的危険性を惹起したといえることが必要と解する。 正犯とは、実行行為を行うもの。そして実行行為とは、構成要件が定める法益侵害の、現実的・直接的危険性を持つ行為。さすれば他人の利用でも、①②を満たせばそのものが単なる道具であり、その道具を利用した行為自体が法益侵害惹起の危険性を持つことから利用者を正犯として評価できるのである。 具体的考慮要素(日ごろの言動への畏怖などの感情、命令に逆らえたか、自己図利意思の欠如、実行者本人の反対動機形成可能性)

    解説

  • 4

    実行行為④前カードによれば、被利用者に故意ある場合は間接正犯は成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 被利用者に犯罪事実についての故意がある場合、そのものは規範の問題に直面し反対動機を形成する可能性があるから(規範的障害が認められる)道具性は認められないとも思える。 しかしその故意が他の犯罪事実にあって、利用者が実現しようとした犯罪についての故意ない場合、利用者が実現した、実現しようとした犯罪について被利用者は道具に過ぎないといえる。 よって利用者に間接正犯が認められる。

    解説

  • 5

    実行行為⑤被利用者の過失行為をもって実現された犯罪について利用者に間接正犯が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 被利用者に過失がある場合、規範的障害が発生し、道具性が認められなさそうである。 しかし被利用者は利用者が実現しようとした犯罪事実については事情を知らず単なる道具のごとく一方的に支配利用されているに過ぎないので、間接正犯は依然成立するものと解する。

    解説

  • 6

    実行行為⑤被利用者が単なる道具を超えて、利用者と同一の犯罪について故意を有しこれを幇助する意思が認められる場合は、間接正犯が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 同一の犯罪の故意を有している場合、被利用者のレベルで規範的障害が認められ、道具性は認められないとも思える。 しかし被利用者が単なる機械的事務処理者であって、利用者に一方的に支配・利用される立場にある場合、道具性は観念できる。(上司の命令で、偽造文書と知りながら作成した者など) よってかかる場合に限り、被利用者に幇助的道具としての故意があっても間接正犯が成立すると解する。 ※被利用者は客観的には正犯としての行為を行っているように見えても、主観的には幇助意思をゆうするのみ(主犯の故意を欠く)なので幇助犯が成立。

    解説

  • 7

    因果関係①危険の現実化説による介在事情の処理についてのべよ。

    補足(例文と訳など)

    • 折衷相当因果関係説は、因果関係が、社会通念を前提とした行為類型たる構成要件該当性の問題であるが故に、条件関係を前提に、社会的相当性を、一般人の予見しうる事情及び行為者が特別に認識しえた事情をもって判断する考えである。 しかし、かかる見解は、因果の流れに混在する介在事情(行為後)、行為時の事情の処理において柔軟な基準を呈するものではなく、因果関係がとことん否定されてしまう。(硬直化しすぎてて事実を拾いにくい。大阪南港事件をチェック。) よって客観的事情の解釈に重きをおく。そもそもが馴染まない2説。

    答え

    • 因果関係の有無は犯罪実現の一般予防、特別予防の見地から、偶然的な結果を除外し、処罰範囲を正確に期するため、条件関係を前提に、行為に含まれる危険性が現実化したか否かで判断すべき。そしてたとえ行為後の介在事情があろうと、行為の危険性が現実化したという関係が認められる以上、その結果について帰責されても行為原則に反しない。(危険の現実化説) そして介在行為については①介在行為が元々被告人の行為によって生じていた危険性を上回る結果発生の危険を新たに生じさせていたか(いなければ、因果関係完全肯定できる)②生じさせているが、その介在行為が当初の被告人の行為によるものであった(高速道路侵入のケースなど、要考慮型)③当初行為より生じかつ現存する危険を上回り結果を発生させるだけの危険性を新たに生じさせ、かつ被告人の行為と独立している介在行為は、因果関係を完全に否定する。 (行為時の事情についてはカード9)

    解説

  • 8

    因果関係②結果無価値論=判断基底を客観事情におく、行為無価値論=判断基底を一般人の認識しえた事情、及び行為者の知る特殊事情におく、この違いは何か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 結果無価値論とは、法益侵害、またはその切迫した危険がある場合、これを処罰することが刑法の目的とする。かかる考えからは、結果が発生した当時に存しているすべての事情を因果関係の判断基底とする。 一方で行為無価値論とは、法益保護を目的とする点は同じだが、規範を提示し法益侵害の危険をも処罰することによって、実質的に法益侵害の事前防止を刑法の目的と考える見解である。これによれば、一般人が認識可能な行為時の事情は因果関係の判断基底に含めるべき。なぜなら、一般人が認識し得た以上、行為を思いとどまるように行為者に働き掛けることが法益侵害の事前防止に役立つから。また、行為者が特に認識していた事情も判断基底に含めるべき。なぜなら、法益侵害の事前防止の観点からは、かかる認識がある行為者に行為を思いとどまるように働き掛ける必要があるので。

    解説

  • 9

    因果関係③血友病患者を日本刀で切り付けた行為と血友病患者であり血が止まらず失血死したという結果との間に因果関係を認定する問題点は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ・相当因果関係説であれば、条件関係○、判断基底、一般人の予見は×、相当性も×で否定される。 折衷説から客観説・主観説のみの場合を否定することもできるし、答案としては十分。 ・危険の現実化説では、客観事情のみに着目する以上、被害者の特殊体質を、どちらの責任にするかという規範の問題になる。血友病患者が、その体質を前提に注意して生活を送るべきであったとするか、行為者に特殊事情のリスクを負わせるか。後者をとるのが通説。 介在事情と違い行為時の特殊事情は、危険の現実化について関連性をチェックすれば足りる。刀で切り付ける行為に内在する危険性として失血死という結果に現実化したとできる、とし因果関係を認めるのが妥当かも。

    解説

  • 10

    因果関係⑤折衷相当因果関係説の論拠を述べよ。※介在事情の処理はどのように行うか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず因果関係とは、原因と結果をつなぐものである。そして刑法上の因果関係は構成要件要素で、構成要件が社会通念に基づく違法有責行為類型であることから、条件関係の存在を前提に、原因となる行為から当該結果が生じることが社会通念上相当であると言えることが必要。 そしてかかる相当性の判断に当たっては、経験則上偶然でないものを判断の規定におくべきであるし、構成要件が責任類型であり、因果関係が責任非難の前提であることから、行為当時に一般人が認識しえた事情、及び行為者が特に認識していた事情を基礎にすべき。 ※ここで介在事情を処理しようとすれば、将来の事象がそもそも予測困難な物であることから、介在事情があろうと行為者が実際に発生したのと同じ法益侵害結果を招来させうる違法行為を行っている以上行為後の事情が行為者の行為に誘発されたと評価でき、法益保護の観点から、できる限り当該違法行為を行ったものに結果を帰責する。よって行為後の特殊事情(介在事情)が著しく突飛でなければ一般人の予見可能性を認め判断基底から外さずに考えるべき、と修正。

    解説

  • 11

    因果関係⑥教唆犯が、行為者の知らない特殊事情を知っていた場合、その特殊事情を基底として因果関係が成立する結果につき帰責できるか。血友病事例において、血友病たる事実を認識していた教唆者の教唆犯正否について因果関係を考慮するうえでの問題は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ※血友病事例は、危険の現実化説からは、血友病という特殊事情を柔軟に解釈し判断基底におき、その事情を知らない行為者の主観に関わらず因果関係を認め殺人罪を成立させる。 一方相当因果関係説をとるなら、一般人の予見可能性、行為者の特別認識を否定し因果関係は認めない。 後者の立場からは、行為者が未遂罪にとどまる一方、教唆犯が血友病につき認識していたつまり、教唆犯の主観からかかる事情を基礎事情としうるため、切創→死亡につき社会通念上の相当性をもって因果関係が認められ既遂犯を認定できる。 これは教唆犯の主観と行為者の主観が異なることで罪責も区別される点、客観説(結果無価値説)からは不当と非難される。しかし因果関係が行為者にある結果を帰責させるのが妥当かどうかという構成要件該当性の判断である(行為無価値)ことから、人の主観で異なるのは当然であって不当とは言えないと返す。

    解説

  • 12

    因果関係⑦(早すぎた構成要件の実現)眠らせる目的でクロロホルムを嗅がせ、崖から落とすという因果の流れを念頭にしていた、実はクロロホルムの量が過多で第1行為により死亡していた可能性があるとき、因果関係はどのように認定すべきか。

    補足(例文と訳など)

    • 判例がよくわからない、詳しくは未遂のところで(実行の着手時期を問題とする)

    答え

    • 当該行為により結果が生じることの意識がなくて故意が認められるか。形式的にみれば、第1行為(クロロホルム)については故意が認められず、第2行為(つき落とす)は既に第1行為の時点で結果が発生しているところ、法益侵害の現実的危険性を有する実行行為とはいえないことになる。 そこで第1行為と第2行為が時間的、場所的に近接している以上全体として一つの行為と見る。 ”既遂に至る客観的な危険性が発生した時点”で構成要件実現の意思があれば、「完全な行為反価値あるいは故意責任は実現されたのであり、当初の行為計画が維持され、別の新たな意思が生じていない限り、実行行為、故意ともに認められる。 そして因果関係も、客観的にみればクロロホルムで死ぬことが社会通念上相当として認められる。 因果関係の錯誤の問題になる。

    解説

  • 13

    因果関係⑧(遅すぎた構成要件の実現・ウェーバーの概括的故意)首を絞めて殺したつもりが、実は死には至っておらず、死んだものとして海岸に放置した結果、砂を吸引したことによって窒息した場合、因果関係はどのように処理するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 第1行為と第2行為を独立したものと扱い、前者を殺人未遂罪、後者を過失致死罪と扱い観念的競合or併合罪とする見解もあるが、客観的には別々の行為でも、第2行為が第1行為と時間的場所的に接着している限り殺人行為のいわば一過程とみるべきで、殺害行為に向けられた一つの人格的態度と評価でき、全体を一個の行為と解して一個の殺人既遂罪の成立を認めるべき。 一個の行為としては現実的危険性、結果が成立するが、因果関係が認められるか。(相当因果関係説)▶︎首を絞められ気を失ってから砂浜に運ばれることも一般人の予見しうるところで、基礎事情に加味し、首を絞めたことで砂による窒息死という結果が生じることは社会通念上の相当性が認められる。よって因果関係もOK。 因果関係の錯誤の問題へ。

    解説

  • 14

    故意責任①たとえばわいせつ物頒布罪における故意(38条1項)が認められるにはいかなる認識を要するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず、故意責任とは、構成要件という形で与えられた規範の問題に直面し反対動機を形成可能なのに、あえて行為に及んだことへの道義的非難である。よって、故意責任が認められる大前提として、規範、つまり構成要件事実の認識が必要である。 そしてわいせつ物頒布罪においてはわいせつ性のある文書等であることについての認識が必要と解する。 ○修正:しかし「わいせつ性」の認識は、その意味が定かでなく、単なる事実の認識であれば規範に直面しないこともあり得る。 しかし一般人に裁判官度同程度の法的認識を要求すれば法益保護の点不当であるし、一般人が知るような意味の素人的認識があれば規範の問題に直面しているといえるので、故意を認められると解する。(わいせつ性について錯誤があっても、違法性の問題となるに過ぎない。)

    解説

  • 15

    故意責任②行為無価値から導かれる形式的故意説にたいし、結果無価値から導かれる実質的故意説において、故意責任が認められる要件はどうなるか。

    補足(例文と訳など)

    • ヒント:行為無価値では内面を重視、故意責任は規範への直面を前提とするけど、結果無価値では規範が侵害事前防止の意味をもたないので、実際故意はどれだけの刑罰を下すかの指標の一部でしかなく、刑罰を下すだけの非難ができるといえるには、類型化された構成要件事実をピッタリ理解してそこに沿って犯罪をおかす必要はないってこと。

    答え

    • ※形式的故意説はまず規範となる構成要件事実の認識がなければ故意が認められないと位置づけ、処罰の間隙を埋めるため「素人的認識」で修正している。しかし前提としてかかる規範的評価は故意を形式的にとらえることを放棄していると言える。 そこで刑法の本質を法益侵害への刑罰と会する結果無価値からは実質的故意説が導かれる。故意犯が重く処罰されるのは国民の規範意識からみて、重い刑罰結果に見合うだけの非難が可能な主観的事情を有しているからなので、そもそも行為時に責任非難できるだけの認識を有すれば足り、一般人ならば当該犯罪類型の違法性を意識できる程度の事実認識があればよいとする。

    解説

  • 16

    故意責任③規範的構成要件の要素に錯誤があった場合どうなるか。1溺れた子供を他人の子供と思い立ち去ったが自分の子供だった2溺れた子供が養子であって助ける義務がないと思い立ち去った

    補足(例文と訳など)

    • 行為無価値で。

    答え

    • 1、2の事例ではまず殺人罪の不真正不作為犯の正否について検討。 そして作為義務に関する錯誤について故意が阻却されるのではないかが問題となるところ、○まず作為義務が故意の対象である構成要件事実であるかが問題となる。思うに作為義務を違法性段階で実質的・具体的にとらえるより構成要件に取り込み類型化し不真正不作為犯の成立範囲を明確化すべき。とはいえ作為義務の明確的な内容は確知し得ず、裁判官が評価して決せられる規範的構成要件である。 ○では規範的構成要件の錯誤は故意を阻却するか。 故意責任の本質が規範に直面し〜道義的非難であり、規範的構成要件要素は不明確であり裁判官と同様の認識を要求することは不当であるものの、属する社会における素人的認識を有すれば規範の問題に直面する以上、故意責任を課すことはできる。故に錯誤によってその認識を有さない場合、故意責任が阻却されると解する。1では作為義務の前提となる事実の認識がなく、素人的認識形成のチャンスがそもそもないので阻却、2では自分の子供に変わりなく救助という作為義務の素人的認識をもつはず。よって故意は認められる。

    解説

  • 17

    故意責任④刑法における錯誤を類型化してください。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず1構成要件的事実にかかる錯誤2違法性にかかる錯誤があり、1は①同一構成要件内の錯誤(具体的事実の錯誤)②異なる構成要件事実に跨がる錯誤(抽象的事実の錯誤)に分けられる。そして①にはⅰ客体(アと思って撃ったらイだった)ⅱ因果関係(銃に驚いて避けたら車にはねられた、弾が当たらず気絶しただけのアを死んだものと思い移動させた場所の水で窒息死した<ウェーバーの概括的故意>)ⅲ方法(弾がそれてイに当たった)、の錯誤がある。 ②はアと思って撃った(殺人罪の主観)がマネキンだった。(器物損壊罪の客観)というように主観と客観で犯罪が異なるとき。 その処理につき通説は法定符号説。事実と認識が異なっても構成要件内で一致する部分について故意責任を認めてしまう論。詳しくは後述。 2は誤想防衛、誤想非難。「急迫不正の侵害」がないのにあると思い込む、というケース。手段の相当性とその認識でさらに類型化される。

    解説

  • 18

    故意責任⑤法定的符合説とは。甲がAを殺害する意図で発砲したがBにあたりBが死亡した場合の殺人罪の成否と共に説明せよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①まず甲は殺意をもってAに対し銃を発射したものの結果が生じず、殺人未遂罪が成立。 ②Bに対して、実行行為、発砲行為で別人が致命傷を負うことについて因果関係が認められる。 しかしBに対する殺意を持たない以上、故意は認められないのではないか。方法の錯誤が故意を阻却するかが問題となる。(この点行為者の認識した犯罪事実と発生した犯罪事実が具体的に符合せねば故意が認められない(具体的符号説)とする見解もあるが、方法の錯誤と客体の錯誤を分けることが困難な場合がある(電話をかけ間違えて脅迫)し、未遂・過失犯規定がなければ方法の錯誤で法益保護がなし得なくなる。よって妥当でない。) 故意責任の本質は〜への非難。そして規範の問題は構成要件ごとに与えられている。よって同一構成要件内であれば具体的事実に錯誤があっても同じ規範に直面しているといえるので故意が阻却されないと解する。このケースでも殺人罪という同一構成要件内の錯誤であるから故意は阻却されない。

    解説

  • 19

    故意責任⑥一故意説、数故意説の意義は。どちらが適当か、根拠とあわせて述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 例えば甲がAへの殺意で、A,B2人の殺害という結果を招いたとき、複数の故意半が成立するか問題となる。一故意説は、一人を殺す意思であれば常に一個の故意説が成立にすぎないと主張する見解。しかしこの考えだと前述のケースではAに対する過失致死罪、Bに対する殺人既遂罪の観念的競合となるが、本来殺意を向けたAに過失犯を認めるのは疑問。また予定外の複数人を死亡させた場合(本文ではB,Cが死んだ場合)には誰について殺人罪を認めるべきか基準は存在しない。よって妥当でない。 思うに法定的符号説からは構成要件の範囲内で故意が抽象化されている以上、故意の個数は問題とすべきでなく、1個の故意で複数の故意犯を認めても、結局観念的競合より科刑上一罪にできるので責任主義にも反しない。 よって故意の個数は問題とすべきでない(数故意説)

    解説

  • 20

    故意責任⑦重い罪を犯す意思で軽い犯罪結果を実現させたとき、軽い結果につき故意を認められるか。

    補足(例文と訳など)

    • この点行為者の犯罪意思は発生した事実の中で実現しているので認識した内容と発生した事実とが構成要件を異にしていても少なくとも両者のうちで軽い罪の限度で故意犯成立を認める見解(抽象的符合説)がある。しかし犯罪の定型性を無視する以上罪刑法定主義の点から妥当でない。

    答え

    • 刑法38条2項では、軽い罪の意思で重い結果を発生させた場合重い結果につき故意を認めない点のみ規定しており、かかる場合の処理は明記なく問題となる。 思うに故意責任の本質は〜への道義的非難。そして規範の問題が構成要件ごとに区別して与えられていることから、同一の構成要件内であれば具体的事実に錯誤があっても規範の問題にあたるといえ故意は阻却されないと解する(法定的符合) よって原則異なる構成要件に跨がる錯誤は規範の問題に直面し得ず故意を阻却すると解する。しかし構成要件が重なっていれば、その限度で規範の問題が与えられるので、法益保護の観点からはその限度で故意犯成立を認めるべき。 ※そして重なり合いの判断基準は、構成要件が社会通念上法益侵害の危険性が高い行為を類型化したものであることから、保護法益、行為態様の共通性を基礎に社会通念上の重なり合いを判断すべき(実質的符合説)

    解説

  • 21

    故意責任⑧軽い罪を犯す意思で重い罪を犯した場合の問題とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 38条2項より重い罪につき故意は認められ得ない一方、軽い罪の故意に錯誤はなく、軽い罪の客観的構成要件該当性が問題となる。 たとえ異なるより重い罪を実現したとしても、その客観的構成要件の有無は実質的・規範的に解釈すべき。具体的には保護法益、法益侵害の態様、メルクマールの類似性を持って実質的にかさなり合うといえるか判断する。

    解説

  • 22

    故意責任⑨因果関係の錯誤は故意を阻却するか。(行為者の認識した因果経過と実際の因果経過が一致しなかった場合)

    補足(例文と訳など)

    • 参考:カード12,13

    答え

    • (通説)故意の成立には因果関係の認識は不要とする説もあるが、因果関係は故意の根拠となる規範の意識対象=構成要件要素である以上必要である。行為者が予見した因果関係と実際の因果的経過が相当因果関係の範囲内で符合していれば、かかる錯誤は構成要件的評価上重要なものといえず、故意を阻却しない。 (前田説)そもそも故意責任を問うのに因果関係は必要ない。もし必要とすれば、自己認識と異なる因果経過で故意が阻却され未遂犯として処罰することもできず不合理だから。故意が国民一般の規範意識による非難可能性なので(結果無価値)一般人の違法性意識に因果関係の認識は無関係である以上、故意成立に因果関係の認識は不要であると解する。

    解説

  • 23

    故意責任⑩(ヘルマンの概括的故意)覚せい剤輸入罪に問われた被告人に、「覚せい剤(種)」であることの認識はないが、「覚せい剤を含む、身体に有害で違法な薬物(類)」であるとの認識があった場合、故意を認めることができるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 素人的認識、の話に持っていかないように。決して「覚せい剤」は裁判官が判断する規範的構成要件ではない。 故意責任の本質は〜への非難。よって規範に直面し反対動機を形成できる事実認識が必要である。そしてかかる事実認識を高いレベルで求めては(明確な種の認識を求める)法益保護が図れないが、低すぎては(類の認識に少しでもかかれば故意を認める)人権保障に失する。 そこで同じ類でも、覚せい剤という重い種なら避けていたと認められるような特別の事情ない限り、「依存性の薬理作用を持つ人体に有害な薬物」という認識を持って、薬物事犯の反対動機形成可能な事実認識を認め、故意犯を成立させるのが妥当と解する。

    解説

  • 24

    過失①過失の体系的地位について述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • (従来では過失犯は責任の問題であり、構成要件該当性、違法性の段階では故意犯との間に本質的な違いがないとされてきた。過失の中核を予見義務違反に求め、注意すれば予見できたのに不注意で予見できず結果を発生させた心理状態が本質であり、故意犯と同様の責任を観念できるとした。 しかし法律上客観的に要求される注意を払ってもなお結果発生が回避し得ないものであれば違法性自体観念し得ないはずだし、偶然・不可抗力による結果も因果関係の範囲内にあれば構成要件に該当する違法な結果とせざるを得ず、構成要件、違法性論の趣旨が没却されてしまう。) 規範の事前保護機能を重視する行為無価値からは、規範を乗り越える故意と、過失では社会的相当性からの逸脱の程度も違うし、実際別個の構成要件で規定されている。過失を行為態様の問題として把握、違法性の問題とし、さらに過失は一般人の立場からの客観的注意義務違反として類型化できるので、構成要件の問題として把握すべき。よって過失も故意と並んで構成要件の主観要素、主観的違法要素であるとともに、責任要素でもあると解する。

    解説

  • 25

    過失②過失を認める要件とは。

    補足(例文と訳など)

    • こっちを覚える

    答え

    • まず過失犯、つまり「必要な注意を怠」ったといえるには何が必要か。過失犯の本質と関連して問題となる。 思うに過失は、責任の問題に限らず、構成要件・違法性の各段階で問題になると解する。何故なら違法性の本質は結果無価値(法益侵害)につきず、行為無価値を包摂する以上、故意と過失とでは有責度合が異なるはずであるし、実際別個の構成要件で規定されており、構成要件は違法有責行為類型である以上、故意と過失は当然に異なる行為類型を予定していると介されるから。つまり過失は故意に比べ社会的相当性からの逸脱の程度が低く、過失において重視すべきは予見可能性の存在を前提に結果回避のために必要かつ適切な行動をとらなかった、結果回避義務違反と介すべき。

    解説

  • 26

    過失③過失犯成立の本質を結果回避義務違反として、その前提となる予見可能性の判断は誰を基準に判断すべきか。そして予見可能性を要求される範囲はいかに解すべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ○まず構成要件該当性のレベルでは一般人の能力を基準に解すべき。なぜなら過失は構成要件要素であり、その性質上客観的見地から判断すべきだから。※一般人とは、行為者と同様の社会的立場にある通常人をいう。 そしてその対象としては責任主義から抽象的危惧感では足りず、具体的なものが必要。その程度は、予見可能性が結果回避義務を導く以上一般人を結果回避へ動機づける程度の具体的予見可能性が必要かつ十分と解する。 ※さすれば自動車運転過失致死のケースでは当該行為で人の死傷を生ずることがあり得るという予見可能性で足り、特定人の死傷予見可能性は不要。

    解説

  • 27

    過失④過失犯の成立には因果関係への予見可能性が必要か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • <25より>過失があるというためには結果発生についての危惧感のみでは足りず、具体的な構成要件該当事実の予見可能性が必要と解する。さすれば、構成要件的結果のみならず構成要件要素としての因果関係についての予見可能性も必要と解する。 もっとも具体的因果関係の全部分、科学的因果法則についての予見可能性まで必要とすれば、構成要件要素として求められる客観性から一般人の能力を前提に判断する以上過失を認めることが困難となる。そこで一般人が結果回避へ動機づけられる程度に因果経過をなす事実について予見可能であれば足りると解する。「結果発生に至る因果関係の基本的部分についての具体的予見可能性」が必要。

    解説

  • 28

    過失⑤過失犯成立における例外「信頼の原則」とは何か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 他人が予期された適切な行動に出ることを信頼するのが相当と言えるとき、かかる他人の不適切な行動が信頼を裏切って発生したときにこれと相まって法益侵害結果を発生させても、過失犯には問われないとする原則。 現代の高度産業社会において保護法益を侵害する危険を有するが有益な行為を認める必要があり、そのような行為では侵害の危険の予見可能性が常に存する以上過失犯が必ず成立し、もってかかる行為を萎縮させかねない以上、注意義務は産業発達を阻害しない程度に類型化しこれを客観的注意義務と捉えこれに違反する場合のみ過失があると考えるのが妥当だから。 そこで①社会的有用性②他人の適切な行動への信頼③信頼の客観的相当性を条件として、予見可能性があろうとも客観的注意義務違反はないとして過失犯が不成立と解する。

    解説

  • 29

    過失⑥監督過失について、結果回避義務違反の中核となるのは。信頼原則の適用はあるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 監督者の地位にあるものの過失を問題とする場合、結果回避へ動機づけられる程度の具体的予見可能性を認められたとして、結果回避義務の内容としては、結果が発生しないように物的・人的設備を整備することによって安全体制を確立するという注意義務を尽くすことをいい、これを怠れば結果回避義務違反とし過失責任を問われると解する。 そして監督地位が多数ある場合であっても処罰範囲が広がりすぎないよう、かかる作為義務を負うものの不作為のみを結果回避義務違反と捉えるべき。作為義務を負うのは、危険にされされるものの法益保護が依存する者をいうと解する。 では信頼原則によって監督者を保護できないか。できないとすれば予見可能性自体はあるが部下の地位からは考えられない不適切な行動への安全体制を組まねばならないし、上下の関係であっても相互協力、信頼関係は認められるのだから、信頼原則の適用があるというべき。

    解説

  • 30

    違法性①違法性の実質をどう解すか。

    補足(例文と訳など)

    • また結果無価値と行為無価値が問題となるところ。この2つが対立するのは①違法性阻却事由の原理②主観的違法要素の必要性(故意・動機)③主観的正当化要素 について

    答え

    • 刑法の機能を国民の法益を守ることととらえ、違法性を法益侵害への刑罰と客観面に捉えるのが結果無価値の考え。結果無価値から導かれる法益侵害説は、未遂を処罰するため「法益侵害とその危険」を違法性の本質とする。 一方で刑法の機能を社会倫理的秩序の維持にもあるとし、違法性の実質を社会倫理規範違反ととらえる行為無価値は、徹底すれば法益侵害がなくとも、違法性を認めることになりかねない。 社会的に有用であるが危険な行為を認める必要性のある現代社会では、法益侵害の危険性のみで処罰すべきでない。 そこで行為無価値に結果無価値の考えを取り入れ、法益保護、社会倫理秩序維持という2つの機能を認め、違法性の実質は社会倫理規範に違反する法益侵害惹起と捉えるのが規範違反説。法益侵害の結果または危険のみならず行為の社会的相当性逸脱へも価値判断をなすのである。

    解説

  • 31

    違法性②傷害罪における相手方の同意について、構成要件該当性の問題となるか、違法性阻却の問題となるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • (結果無価値は)法益を処分したとして構成要件該当性を阻却するという考えもある。しかし窃盗罪の場合「窃取」という文言に被害者の意思に反する意味が含まれているから同意で構成要件該当阻却されるだけ。また思うに被害者の承諾のもと傷害行為が行われても、なお傷害という観念が消えるものでない。 そこで傷害罪における同意は違法性阻却事由。ではいかなる場合に阻却するのか。 思うに刑法の機能が法益保護に加え社会倫理秩序維持にあることから、違法性の実質とは社会倫理規範に反する法益侵害を惹起することをいい、結果無価値のみでなく行為無価値も含む。 よって被疑者の同意がある場合、行為態様の面でも、社会的相当性が認められれば社会的相当行為として違法性が阻却される。 具体的には①被害者の処分可能な個人的法益であること②同意能力ある者の真意に基づくこと③行為時の同意の存在④同意の外部表明⑤行為者の同意認識⑥行為態様の社会的相当、をもって同意に基づく傷害行為の社会的相当性が認められ違法性が阻却されると解する。

    解説

  • 32

    違法性③危険の引き受け(被害者が、加害者側の行為の危険(したがって、自己の法益が侵害される危険)を認識しながら、その行為を許容している場合)が違法性を阻却するのはどんなときか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 刑法の目的=〜+〜、よって違法性実質は社会倫理規範に違反した法益侵害にある。さすれば被害者が危険を引き受けた場合でも、社会的相当性を有する場合違法性が阻却されると解する。 具体的には①引き受け対象行為そのものに社会的相当性がある②被害者が結果発生の危険性を認識・予見していた③真意に基づいて被害者が危険を引き受けたことが認められれば、社会的相当性を持ってい法制が阻却される。

    解説

  • 33

    違法性④医師ががん患者の「命の危険があっても、患部の切除をしないでほしい」という希望を聞いていたにも拘らず、手術に臨んで幹部をみると切除すべき状態であったのでがんの転移を防ぎもって患者の命を救うため適切な手術により患部切除を行った。罪責は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 傷害罪が成立するか問題となる。 まず患部を切除し生理機能に障害を与えたので傷害罪の構成要件は満たす。 (この点治療行為に構成要件該当性を認めない考えもあるが、治療行為の内容は多様で、生命・身体の安全への危険をはらむ以上治療行為正当化は違法性段階で実質的に検討すべき) ○では正当行為35条として違法性が阻却されないか。思うに違法性の本質は社会的相当性を逸脱した法益侵害。よって治療行為に社会的相当性があれば違法性は阻却される。①治療行為の相当性②治療目的③患者本人または保護者の承諾、をもって違法性阻却が認められると解すべき。

    解説

  • 34

    違法性⑤自救行為(法律上保護に値する利益を犯された者が、法律上の適式な手続を踏んで、国家機関の救助を待っていては、回復が不可能または著しく困難となる場合に、自力でその回復を図ること)は違法性阻却事由とならないか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず自救行為が問題となるとき、法益侵害が終わっている以上正当防衛、緊急避難が成立しないのでここを頼るしかないことを言わなければならない。 ○思うに刑法は法益保護を目的とするが刑罰を科すことは強力な人権制約でありできる限り避けるべき。(謙抑性)そこで法益侵害回復を国家機関が行う余裕のないとき補充的に詩人が侵害された法益の回復のため法益侵害行為を行うことは社会的相当性の範囲で、35条正当行為を根拠に違法性が阻却されると解する。 一方安易にこれを認めては国家機関の救済を軽視し実力行使を許容することになり妥当でないので、正当防衛・緊急避難要件を考慮し、社会的相当性を認める要件として①権利への侵害②被害回復の緊急性③自救の意思④自救行為自体必要かつ相当であること(補充性、法益権衝)

    解説

  • 35

    違法性⑥正当防衛は36条1項で「罰しない」と規定するため、これが違法性阻却事由と解されるところ、成立要件を検討してください。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 刑法の機能は、法益保護のみならず社会倫理秩序維持にもあると解する。よって違法性の実質は、社会倫理規範に違反する法益侵害をいう。したがって違法性が阻却されるには行為の社会的相当性が必要。 正当防衛でいえば法秩序の侵害の予防または回復を国家機関が行う余裕がないときに補充的に私人に許された法益侵害行為である以上「法の自己保全」として社会的相当性が認められなくてはならない。 そして36条明文より具体的要件は、状況要件として①急迫性②不正の侵害③自己または他人の権利防衛目的、行為要件として①やむを得ずにした(相当性はココ、あと必要性)②防衛の意思(この要件の要否は争いあり)

    解説

  • 36

    違法性⑦相手方の襲撃を事前に知って迎撃態勢を整えた上で防衛行為を行った場合「急迫」性要件を欠くのではないか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 「急迫」性の要件を欠き、正当防衛が成立しないと示した判決もあるが、そもそも急迫性とは法益侵害の危険が切迫していることをいい、その判断は客観的観点から定められるべき。 防衛を行った者の主観と結びつけて理解すべきではない。 ただし積極的に相手を返り討ちにしてやろうという加害意思が認められる場合、防衛の意思を欠くとして正当防衛が否定されるのでは▶︎防衛の意思の要否・内容の話へ

    解説

  • 37

    違法性⑧防衛の意思は正当防衛成立要件として必要か。必要としてその内容は。

    補足(例文と訳など)

    • ※結果無価値からは不要とする。

    答え

    • 36条1項の「防衛するため」の解釈と関連し、正当防衛の成立には防衛行為が防衛の意思を持ってなされることが必要か、問題となる。 思うに刑法機能は〜。よって違法性の本質とは社会倫理規範に違反する法益侵害の惹起であり、行為無価値まで含むもの。よって正当防衛は「法の自己保全」として社会的に相当な行為として違法性が阻却されると解す。そして社会的相当性を考察するには行為態様のうち行為者の主観をも問題とすべき。 よってこれを基礎付けるものとし、主観的正当化要素としての防衛の意思が必要と解する。 そして正当防衛は、緊急の危険に対する反射的・本能的なものである場合も多く、その防衛の意思の内容は具体的な防衛対象の把握を要せず、急迫不正の侵害を意識しつつそれを回避しようという一介の心理状態で足りると解する。

    解説

  • 38

    違法性⑨対物防衛は成立するか。例えば、犬を散歩させていた飼い主に故意過失なく(飼い主の主観による侵害主体の切り離し)犬が急に暴れ、これによって侵害を受けた者が反撃し犬を殺したとき、動物傷害罪(261条)の構成要件を満たすも、正当防衛として違法性を阻却されないか、問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず飼い主に故意・過失がなければ、飼い主に対する正当防衛が成立しない。そこで犬の襲撃に対する正当防衛は成立しないか問題となる。 ①この点正当防衛の成立要件「不正」を違法と捉え、動物の行為を違法とできない以上正当防衛成立を否定する見解もあるが、「不正」=違法と捉えることは妥当でない。「不正」とは違法性阻却の根拠となる社会的相当の判断基底となるべき事実だからである。 動物の行為も法益を侵害しうる以上、正当防衛は可能で、動物の行為も「不正の侵害」足り得ると解する。 よって対物防衛を認める。 ②(否定説)36条「不正」とは法秩序違反、つまり違法と同義であるが、違法とは〜、規範が人間に向けられる以上人間でないものに違法性は観念できず〜、よって認められない。

    解説

  • 39

    違法性⑩防衛行為の結果が異なる客体に及んでしまった場合、方法の錯誤として故意を異なる客体についても認めうるので構成要件該当性は認められるものの、違法性は阻却されないか。 例えば甲が日本刀で切り掛かってきて、石を投げて反撃したところたまたま乙に当たり傷害を負わせた場合。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点行為者が主観的に正当防衛の認識で行為を行っているので、誤想防衛の一種として処理する見解がある。しかし正当防衛として行われたにも拘らず結果行為が違法となるのは妥当でない。そこで緊急避難が成立しないか。(37条1項本文) 防衛行為者は侵害者に反撃しつつ、第三者に結果を生ぜしめ「現在の危難」を回避したといえ、さらに防衛の意思をもって、「やむを得ずにした」、つまり危難の回避としての意思と共通すると解する。 よって防衛者には37条1項本文より緊急避難が成立すると解する。 ※ちなみに投げた石が日本刀を壊したとき。器物損壊の構成要件は抽象的錯誤の問題として該当性を認められるが、違法性阻却はどうすべきか。この点日本刀という財産につき甲の法益として「正」なるものであるので緊急避難とする見方もあるが、防衛者側の事情によらず正当防衛を認めないとするのは不当。モノも第三者の不正な侵害行為の一部として「不正」なものと解し、正当防衛を認めるべき。

    解説

  • 40

    違法性⑪自招侵害:Xは日頃から嫌っていたYに罵声を浴びせ挑発したところYが殴り掛かってきたので、Xは反撃しYに全治3週間の怪我を負わせた。Xの罪責は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 違法性の実質は社会的相当性を逸脱した法益侵害の惹起であるところ、急迫不正の侵害・防衛の意思という正当防衛の要件を満たしていても、社会的相当性を欠く場合実質的違法性は認められ、正当防衛による違法性阻却は認めるべきではない。故に自ら正当防衛の状況を招いているような場合、過失により傷害を招いたり、予想外の重大な法益侵害を伴う侵害行為がおこったりするなど相当性の枠をさほど逸脱しないといえない限りは原則的に社会的相当性を欠くといえ、正当防衛の成立は認められないと考えられる。 本文では挑発によって侵害を招き、Yの侵害行為も予想の範囲内にある通常の者といえるので、正当防衛は成立しない。

    解説

  • 41

    違法性(責任)⑫過剰防衛:違法性阻却事由として正当防衛には、「やむを得ずした」行為として相当性が求められるが、これを逸脱する場合でも、刑の減軽または免除が36条2項において認められる理由は。(過剰防衛の法的性質) 誤想過剰防衛に36条2項が準用されるかを考えるとき問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点過剰防衛の刑の任意的減免の根拠を急迫不正の侵害に対して防衛行為をすることで「違法性が減少」するからとする見解は、急迫不正の侵害の客観的存在なくして誤想過剰防衛に36条2項の準用はできないとする。 しかし過剰防衛で刑が減免されるのは、むしろ緊急状況下における恐怖、驚愕、狼狽から責任が減少することにある。よって正当防衛と異なり急迫不正の侵害の実在は必要なく、誤想過剰防衛においても緊急状況下におけるかかる主観がある以上、責任が減少するとして36条2項を準用すべきと解する。

    解説

  • 42

    違法性(責任)⑬ABの殺人罪の共同正犯(60条,199条)においてAに積極的加害意思があるがBになく、Bのみ過剰な防衛行為を行った場合、Aにも36条2項が適用されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まずA自身に過剰防衛が成立するか。(行為の過剰性は客観要素で、共犯者全員に帰責されるべき、よってAも過剰性を問われる)この点過剰防衛が成立するためには、反撃行為の必要性・相当性以外の要件が満たされる必要がある。しかし積極的加害意思は防衛の意思、つまり反撃行為の社会的相当性を否定する。そしてBに防衛の意思があろうと、防衛の意思は主観的正当化要素であり、行為者個別に考慮すべき。よってAには過剰防衛が成立しない。同様にAの積極的加害意思もBには影響を与えずBに過剰防衛が成立する。 ○では共犯者のBの過剰防衛の効果は及ばないか。 前カードの通り過剰防衛の刑の任意的減免の根拠は責任現象にあり、責任が主観要素である以上行為者ごとの個別に検討すべきであるので他の共犯者に影響しない。よってBの過剰防衛の効果はAに及ばない。

    解説

  • 43

    違法性(責任)⑭急迫不正の侵害がないのにあると思って法益侵害をした場合、そもそも侵害がない以上正当防衛成立要件を欠く(36条1項)ので違法性阻却は認められない。では責任故意が阻却されないか。 そして誤想過剰防衛、つまり行為の相当性・必要性も認められない時、責任故意の認定はどうなるか。

    補足(例文と訳など)

    • ※故意には①構成要件該当事実の認識(規範を構成する要素をきちんと認識しているか)②違法性に関する事実の認識(規範に直面しているといえるか)③違法性の意識(規範に直面したが正しい答えを出したか)のレベルがある。 急迫不正の侵害を誤想し正当防衛として行ったのなら原則責任故意が阻却される。しかし過剰性という違法性基礎があればが阻却されない

    答え

    • 思うに故意責任の本質は規範に直面し反対動機が形成可能であるにも関わらずあえて行為に及んだことへの道義的非難。さすれば故意責任をとうには反対動機を形成できるほどの事実認識が必要である。 そして行為の違法性を基礎付ける事実の認識があれば反対動機を形成できる以上責任故意を認められると解する。 この点急迫不正の侵害を誤信している行為者は行為の違法性を基礎付ける事実認識を欠くといえ、責任故意が阻却されると解する。(責任阻却事由) ○誤想過剰防衛では、行為の過剰性につき認識あれば行為の違法性を基礎付ける事実を認識しているといえるので、責任故意が阻却されないと解する。 (カード41より)もっとも過剰防衛についての責任減少説の趣旨は誤想過剰防衛にも及ぶ以上36条2項が準用される。ただ通常の誤想防衛が、過失犯の余地を残す以上、これより刑を軽くすべきでないので刑の免除は認めるべきでない。刑の減軽のみ認められる。

    解説

  • 44

    違法性⑮緊急避難の本質とは。犯罪行為を強要された場合、かかる犯罪は緊急避難が成立するか。(息子を誘拐された父親が身代として犯罪行為を強要された場合)

    補足(例文と訳など)

    • 緊急避難の成立要件は①現在の危難②やむを得ずした(補充性)③生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった(法益権衝)④避難の意思

    答え

    • 37条1項本文では「罰しない」とされているが、(この点期待可能性(規範に直面しても正しい行為を期待できるか)認められないとして責任阻却事由とする説があるが、緊急避難行為は違法性をもち、緊急避難行為への正当防衛が認められることになり不当。)「他人の」ための緊急避難を認めること(他人のためだったら自分は緊急状態にないから期待可能性が認められるはず)、法益権衝を求めることからも(対照利益の大きさは期待可能性に関係ない)違法性阻却事由と解する。 ○そこで避難行為として犯罪を行うことの違法性が阻却されるとすれば、「不正」でなくなるので相手方には正当防衛成立の余地がなくなり不当とも思えるが、侵害を転嫁される第三者も緊急避難で対抗できるし、被強要者の避難について補充性・法益権衝要件を厳格に解せば第三者の利益は不当に害されない。よってこの場合も緊急避難成立は認められる。

    解説

  • 45

    責任①原因において自由な行為:39条1項より心神喪失者の行為は罰しないとされるが、自己をことさらに心神喪失状態に陥れ犯罪を実現した場合にもこれを認めたのでは法益保護を全うできない。これを処罰できないか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 責任本質は行為者への道義的非難であり、規範に直面しつつあえて行為に及んだ点与えられる。さすれば責任能力とは行為の是非を弁別しこれに従い行動を制御する能力といえる。(非難可能性) ○では行動制御として責任能力が求められるのは実行行為時であることから、責任能力の具備が問題となるのは実行行為時である。よって原因において自由な行為を罰するには、実行行為性を責任能力のある原因行為に認めるほかない。 そこで原因行為が後の心神喪失状態にある自己を道具として利用するもので犯罪的結果発生の現実的危険を有する場合規範的に原因行為を実行行為と評価できると解する。

    解説

  • 46

    責任②原因において自由な行為について、責任能力の存在と実行行為の同時存在原則に固執し間接犯的構成をもって非難する説を紹介した。 これを批判し、結果行為説を説明せよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 前説の批判として、心神喪失後の殺人を狙って飲酒した行為を実行行為とすれば未遂罪が飲酒した瞬間成立してしまい妥当でない。 この批判への反論として飲酒行為には定型性がないので実行行為性を認められないとして不都合はないとするも、 定型性を要求すれば逆に故意犯の場合原因において自由な行為を認める範囲が非常に狭くなり妥当でない。 ○そもそも責任の前提として責任能力が要求されるのは責任能力ある段階で意思決定に基づき犯罪を実現しているときに初めて非難できるから。さすれば結果行為時に責任無能力であろうと原因行為時の責任能力ある状態での意思決定実現過程である以上完全な責任を問える。 要件として①原因行為から結果行為までの故意の連続②原因行為ー結果行為ー結果に因果関係が認められること。

    解説

  • 47

    責任③過失犯においても原因において自由な行為の理論が適用されるか。 例えば酒を飲めばメイデイ状態に陥り他人に危害を加える性癖をもつ者が今回は大丈夫だろうと飲酒したが、やはり責任無能力状態になって他人に障害を負わせたとき、39条が適用され刑が免除されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 過失犯が成立するためには過失犯の実行行為、過失行為の時点で結果予見可能性および結果回避義務違反が存在する必要がある。 責任無能力の状態に陥って他人に危害を加えることがないよう飲酒を差し控えるべき義務を結果回避義務として構成すれば、原因行為時に予見可能性・結果回避義務が認められる。 よって注意義務に違反して飲酒した場合、その原因行為を過失行為と認められる。原因行為の時点で過失犯成立要件が満たされている以上原因において自由な行為の理論によるまでもなく過失犯が成立する。

    解説

  • 48

    責任④故意の要件として行為者が自己の行為の違法性を認識していることが必要か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①違法性の意識はそもそも犯罪の成否に無関係とする見解があるが、権威主義的に過ぎる。 ②そこで責任主義を徹底し違法性意識がなければ故意が認められないとする見解もある。しかし厳格故意説は規範意識が鈍麻した常習犯、確信犯の処罰に困難がある。 故意責任の本質は規範に直面し反対動機が形成可能であったにも拘らずあえて行為に及んだ点に強い道義的非難が与えられることにある。 規範に直面しながらあえて違反することと、規範に直面して正しい答えを出せたはずが誤った答えを出してしまった場合、「規範に無関心な人格態度」の点で同様の非難が可能であり、違法性の意識は故意の要件ではないと解する。 もっとも違法性の意識の可能性すらない場合、非難可能性はないので、違法性意識可能性が故意の要件と解する。(制限故意説)

    解説

  • 49

    責任⑤制限故意説から責任阻却事由とされる違法性の意識の可能性すらない場合とはどのようなときか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • そして違法性の意識の可能性がない場合とは、違法性の意識を欠くことに「相当の理由」があるということ。そしてその場合とは行為者にほかに行為の違法性を検討する機会がなかったといえることが必要。具体的には確立判例・所轄官庁の公式見解・法規解釈適用を職務とする公務員の公の言明に従った場合。

    解説

  • 50

    未遂・予備①実行の着手の有無はいかに判断すべきか。 強姦致傷の成否(強姦自動車に連れ込む時に怪我させた)や、事後強盗致傷の成否において、窃盗罪の実行の着手が認められるかという形で問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①構成要件該当行為を行うことを持って実行の着手と解する説があるがポケットからピストルを取り出して人を射殺する場合どの段階で殺人の行為の一部を行ったか判断することは形式的に困難。これでは予備と未遂の区別も付けられず不当。 ②法益侵害結果が一定程度に達した時点で実行の着手を認める見解もあるが、未遂の成立に必要な実行の着手が本体の実行行為と区別され妥当でない。 ③そこで結果発生の現実的危険性を有する行為をもって実行行為の着手をいうと解する。

    解説

  • 51

    未遂・予備②不作為犯の実行の着手はいつ認められるのか。原因において自由な行為についてはどうか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 未遂犯が処罰される根拠は構成要件的結果発生の現実的危険を惹起するから。不作違反の実行着手時期は結果発生を防止すべき法律上の作為義務が認められる者が義務違反、不作為を持ってかかる危険を惹起したときに認められる。 ①結果発生の危険が既に生じているとき、作為義務違反の時点(行為者が危険を認識したとき)で実行着手を認める。②不作為で結果発生の危険が生じるときは現実的危険の発生時点で実行着手を認める。作為義務が事前に潜在的に発生しており不作為によって義務違反が問題になる、という構成。 ○原因において自由な行為の実行着手時期も形式的に判断するのでなく具体的事案で構成要件的結果発生の現実的危険惹起をもって認める。①不作為犯、過失犯について原因において自由な行為を適用するときは原因行為時、故意の作為犯について適用するときは結果行為時をいうと解する。

    解説

  • 52

    未遂・予備③早すぎた構成要件の実現について、以前もやったけどクロロホルム事件の解き方を。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 昏睡(第1行為)投棄(第2行為)があり、第1行為に実行の着手を認める方向でいくのが通説。 未遂犯の処罰根拠より法益侵害の現実的危険性惹起をもって実行の着手が認められるが、外形上同じ行為でも計画内容等行為者の主観で行為の持つ危険性が異なる以上、行為者の計画も法益侵害の現実的危険性判断資料に加えるべき。 計画①▶︎②で、第1行為は第2行為を確実かつ容易に行うため必要不可欠性が認められる。そして①に成功すればそれ以降の殺害計画を行う上で傷害となる特段の事情は存在しなかった。時間的・場所的に接着し、密接な行為であり第1行為で既に殺人への現実的危険性が認められる。よって第1行為の時点で実行の着手が認められる。 結果発生、因果関係が認められる。あとは故意について因果関係の錯誤を処理すればよい。

    解説

  • 53

    未遂・予備④中止未遂について、43条但書きより刑の必要的減免が規定されている根拠は何か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①中止未遂を寛大に扱い、犯罪の実行着手に及んでも中止する途を魅力的にすることで完成を未然防止することを根拠と解する見解があるが中止未遂規定を知る者にしか効果がないのが難点。 ②また結果発生の具体的危険性が減少することを根拠とする見解もあるが、実行行為後結果発生防止のため真摯に努力してもほかの原因で結果発生が阻止された場合中止未遂成立を否定せざるを得ず妥当でない。 ③そこで自発的に中止を決意した行為者の態度、中止行為に現れた結果発生防止に向かっての行為者の真摯な態度によって非難可能性が減少することを根拠にしていると解する。(責任減少説)

    解説

  • 54

    未遂・予備⑤中止未遂犯成立の要件として「自己の意思により」中止したことが必要だが、その意義とは。(主観要件)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 責任減少説からは、悔悟・同情など講義の後悔に基づく必要があるように思えるが、行為者自身の任意の中止である限り積極的な後悔によらなくても自らの意思で中止した以上非難可能性が減少し責任減少を認めることが可能。 そこで「自己の意思により」とは当該行為者の認識を基準とすれば犯行継続が可能であったにも拘らず行為者が自由な意思決定により中止する場合を意味すると解する。(主観説)(フランクの公式:たとえできるとしても欲しなかった場合)

    解説

  • 55

    未遂・予備⑥中止未遂成立のための中止行為として何が要求されるか。中止行為と結果不発生には因果関係が必要か。(結果が発生すれば未遂犯はまず成立しない。)(客観要件)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 責任減少説の立場からは、行為者が結果発生防止のため真摯な努力をしたと認められることが必要と解する。 具体的には実行行為終了前ならば実行放棄の不作為で足りるが、終了後は結果防止の作為が要求されると解する。 ○では実行行為の終了時期が問題となるが、行為が主観と客観の統合であるため主観面、客観面を基準に決するべき。具体的には客観的に実行行為を継続する必要性、可能性があり、その認識が行為者にある場合は着手未遂、それ以外なら実行未遂と解する。 ※実行行為が終了するときとは、実行行為で既に結果が発生しつつあり実行行為をもはや継続する必要がない場合、継続不可能な場合、または継続可能でも行為者がそれを認識していない場合。 ○中止行為とは無関係に結果が不発生となった場合中止未遂が認められるか、因果関係が必要か問題となるが、思うに結果発生阻止のための真摯な中止行為を行っている以上責任減少が認められ、寛大な処分を認めるべき。よって因果関係は不要。

    解説

  • 56

    未遂・予備⑦不可罰である不能犯を、未遂犯と区別するにはいかなる判断基準を用いるべきか。弾の入っていないピストルの引き金を引く行為について殺人罪未遂が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 結果無価値の立場からは①行為時に判明した全事情を基礎に②純客観的に危険性を判断する見解が導かれるが、すれば結果不発生の場合純客観的にみれば常に危険の発生はない以上未遂犯処罰があり得なくなる。 思うに不能犯と未遂犯の区別基準となる実行行為性の有無は構成要件該当性の問題、そして構成要件は社会通念上の違法行為の類型であるので、該当性判断は一般人の見地から社会通念に従いなされるべき。もっとも行為は主観と客観ん野統合であるから行為者の主観も考慮すべき。よって①一般人が認識し得た事情および行為者が特に認識した事情を基礎に②一般人を基準に危険性の有無で判断すべき。 ①一般人はピストルに弾が入っていると認識するはず②そして弾が入っている認識を基準にすれば引き金を引く行為は一般人を基準にすると人の死を引き起こす危険性ある行為といえXには殺人未遂罪が成立する。

    解説

  • 57

    ☆未遂・予備(共犯)⑧予備罪の共同正犯、狭義共犯が成立するか。○殺害目的で毒薬を調達したが偶然他の原因で対象者が死亡した場合、他人のために毒薬を調達した者に予備罪が認められるか。毒薬を売った者について予備罪の幇助犯が認められるか。

    補足(例文と訳など)

    • まず前提として予備罪の多くが「〜の罪を犯す目的で」と規定されることと、予備罪の趣旨が本来既遂犯を目指す実行の準備行為を罰する目的で当該既遂犯の構成要件を時間的に修正したことにある以上自己の犯罪目的でなければ予備罪は成立しない。よって他人のための準備行為は予備罪に問われない。

    答え

    • 予備行為を共同してなしたとして予備罪の共同正犯が成立しないか。共同正犯成立には「実行」を共同する必要あるが、予備行為は実行着手前の行為であって共同正犯が成立し得ないのではないとも思える。 しかし予備罪はそれぞれの本条について構成要件化されているし、43条の「実行」を60条の「実行」と同義に解する必要はない。よって予備行為にも予備としての実行行為性が認められると解する。故に予備罪の共同正犯が認められる。(判例に同旨) この点構成要件的結果の実現意志がない場合、予備罪が自らの犯罪実現目的なくして認められないため、○のケースでは共同正犯不成立ではないか。 しかし自ら基本犯を犯す目的がなくとも、目的ある者の予備行為に加功した場合共同実行の意思、事実が存在するし、65条1項「共犯」に共同正犯が含まれるため、非身分者の加工として予備罪の共同正犯が成立しうる。 ○予備罪の実行行為性が認められる以上幇助犯も観念できる。また予備に懲役がつく以上64条から教唆・幇助犯成立も退けられない。

    解説

  • 58

    未遂・予備⑨予備行為をしたが、基本犯を実行行為開始前に中止したとき、予備の中止による刑の減免を認められるか。 前提として予備行為は実行着手前の行為なので、「着手して」とある43条但書きは直接適用できない。

    補足(例文と訳など)

    • 事後強盗においてナイフを用意していたが中止したときは予備罪の成立自体論点になる、反対説はこれが法定されていない窃盗の予備罪を罰することになり、罪刑法定主義への違反をいうが、予備行為が目的とするのは暴行脅迫にあり、全体についての準備行為を事後強盗の予備と構成する以上単なる窃盗の予備行為を処罰するのは質的に異なり罪刑法定主義に反しないとする。

    答え

    • 予備の中止を認めなければ、例えば強盗の予備をしたが実行の着手に至らなかった場合には予備罪として237条より刑は免除されないのに、実行の着手に至ってこれを中止した場合中止未遂として43条但書きからかえって刑の免除を受けうることになり。刑の権衝を失する。 思うに中止未遂が寛大な処分を認めた根拠は中止により行為者に対する非難可能性が減少する点にある。そして実行の着手を任意に中止した場合も責任は減少するというべきで、予備罪から基本犯の実行着手に至るまでの中止も43条但し書きが準用され刑の減免があり得ると解する。 では減免の基準は予備罪の刑か、基本犯の刑か。思うに既に予備行為は終了している以上予備刑はさらに減軽すべきでなく、原則既遂犯の刑を基準とすべき。ただし既遂犯の減軽後も予備刑より重い場合予備刑を基準とすべき。

    解説

  • 59

    共犯①共犯はなぜ処罰されるのか、根拠を述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 刑法の法益保護機能からすれば処罰根拠は法益侵害、その危険の惹起にあるといえる。しかし自由保障の点からは構成要件論を貴重とすべきで、単に法益侵害、その危険惹起のみで処罰されるべきでなく、構成要件を満たす正犯の実行行為を通じて法益侵害・危険を惹起する必要がある。 つまり共犯の処罰根拠は正犯実行行為を通じ間接的に法益侵害・危険を惹起する点に求められる(混合惹起説)

    解説

  • 60

    共犯②共同正犯の本質とは。異なる構成要件にまたがり共同正犯が認められるかの場面で問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 60条「共同して犯罪を実行」の意味が共同正犯の本質と関連して問題となる。○思うに60条が共同正犯は「すべて正犯とする」として一部実行全部責任を認めるのは、形式的には二人以上の者の行為が特定の構成要件をに実現したこと、実質的には共同実行行為が相互の利用補充関係の下犯罪を惹起するに至ったことをもって行為の一部のみを実行した者にもすべての責任を追求できるからである。 さすれば「共同して犯罪を実行」とは特定の犯罪を共同して行うことで①共同実行の意思②共同実行の事実の存在が必要と解する。 ○そして共犯者において共同実行の意思や事実が異なる構成要件に該当するときであっても、構成要件の共同実現が処罰根拠である以上、保護法益など構成要件が実質的に重なり合う限度で共同正犯成立を認められると解する。

    解説

  • 61

    共犯③狭義の共犯、つまり教唆犯、幇助犯を認めるには、正犯が一定の行為を行ったことを要するか。(では正犯について構成要件該当性・違法性・責任・処罰条件の具備が必要か)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 共犯①より共犯の処罰根拠は正犯の実行行為を通して間接的に法益侵害・危険を惹起する点にあるので、共犯行為のみでは法益侵害危険性に乏しく独立して罰するに値しない。 よって正犯者の実行行為を待って初めて可罰性が付与されると解する。(共犯従属制説) (正犯に犯罪の成立要件すべての具備を求める説もあるが、責任は行為者への非難であり、行為者ごとに個別的に判断されるべきであるし共犯は正犯を通じた〜に処罰根拠があることがあれば正犯の構成要件該当性、違法性をもって足りると解すべき。61条1項では「実行させた」とのみ規定されており妥当。)

    解説

  • 62

    共犯④過失犯に共同正犯が認められるか。例えばXとYが工事中崖の上から石を落としたところこれに当たりZを死なせたが、どちらの落とした石に当たったのか不明であるとき、業務上過失致死罪の共同正犯が成立するか、という問題。

    補足(例文と訳など)

    • 個別には因果関係が不明な以上不可罰となるところ共同正犯の成否が問題となる。 共犯②にいう共同正犯の本質より①共同実行の意思、②事実が認められるかが問題となる。

    答え

    • では②共同実行の事実について、過失犯でも実行行為性を認められるか。現代社会では危険性を伴うが社会的に有用な行為が多く存在し、社会的に要求される注意義務を尽くせば違法と評価すべきでなく、過失は客観的注意義務違反として構成要件該当性の段階(違法と決めない)で検討すべき問題と解する。よって過失犯も実行行為性を持ち、共同が可能と解する。 ②ただ過失犯は無意識に基づくことを基本とし、共同実行の意思は認められないとも思える。しかし共同正犯に一部実行全部責任が認められるのは共犯者相互の利用補充による犯罪結果実現の点、過失犯についても二人以上の者が共同行為をするにあたり相互補充による結果回避義務が認められる。そしてかかる義務違反は相互利用補充による犯罪実現といえる。そして共同注意義務に共同して違反する行為を行う意志を持って共同実行の意思といえ、②も満たす。 そして共同行為者各自に責任過失(非難可能性)が認められれば、過失犯の共同正犯が成立する。

    解説

  • 63

    共犯⑤結果的加重犯について、加重部分についても共同正犯を認めることはできないか。例えば傷害致死について、傷害の意思しか持たない共犯者Aに傷害致死の部分まで共同正犯の成立を認めることができるか。

    補足(例文と訳など)

    • 少なくとも傷害罪の共同正犯は成立することもいわなくていけない。

    答え

    • この点責任主義を徹底し、結果的加重犯を故意犯と過失犯の複合とし加重結果に過失まで要求する見解があるが、これでは傷害致死罪の法定刑が傷害罪と過失致死罪の法定刑より重いことを合理的に説明できない。 思うに結果的加重犯はもともと基本犯たる故意犯の中に重い結果を生じさせる高度の危険性が内在するところ、これを特別に類型化し重く処罰することを定めたのであって,当該内在危険性が予想の範囲内で現実化したといえる場合、つまり基本犯行為と重い結果に相当因果関係がある場合、重い結果について、基本犯の意思しかない共犯者に責任を問うても責任主義に反しない。 よって基本犯の共同行為と重い結果に相当因果関係があれば結果的加重犯の共同正犯が認められると解する。

    解説

  • 64

    共犯⑥片面的共同正犯、つまり共同意思が共同行為者の一方にしか認められない倍にも共同正犯が認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 省略。共同正犯の本質(共犯②)から要件を導いて、共同実行の意思が欠け相互利用補充関係が無い以上成立しない、とする。

    解説

  • 65

    共犯⑦承継的共同正犯① 甲は強盗の手段として暴行・脅迫を単独で行ったが、その後通りかかった乙が事情を把握し、財物の奪取を共同した。共同正犯は成立するか。甲が被害者を殺害し、その後乙が財物奪取に参加したとき乙に強盗殺人罪の共同正犯が認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 共犯②より60条「共同して犯罪を実行」とは、①共同実行の意思および②共同実行の事実が必要と解する。 先行者の実行行為にに後行者が途中から関与した場合、関与前には共同実行の事実が認められない以上関与後の刑事責任にしか問えないとも思える。 しかし孝行者が先行者の実行行為および結果を自己の犯罪結果実現手段として積極的に利用する意思のもと利用したのであれば、相互利用補充関係が認められる以上共同実行の事実を認め孝行者に関与前の刑責を問えると解する。 強盗罪は手段としての暴行・脅迫と財物奪取が一体となった犯罪であり、孝行者が先行者の暴行脅迫によって作り出された反抗抑圧状態を利用する意志を持って財物を奪取したのであれば共同実行が認められ孝行者も強盗罪の共同正犯となると解する。 ○強盗殺人罪も結合犯である以上、殺害結果を利用した乙には共同正犯が成立しそう。しかし強盗殺人は殺人という行為の重大性と強盗の機会に殺人が生じる内在の危険性に鑑み、特別に構成要件が規定されており強盗と殺人の結合は弱く実質的には一罪と言い難い。よって乙は殺人行為を共同実行したと評価できない。

    解説

  • 66

    共犯⑧承継的共同正犯② では、甲が他人の財物を窃取した後、通りかかった乙が甲とともに罪証隠滅・財物取り返しのための新たな暴行、積極的行為に出たとき、乙は事後強盗罪の共同正犯となるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 事後強盗の未遂・既遂は財物奪取行為で決まることからすれば窃取行為も実行行為の一部として、承継的共同正犯と扱うのが相当とも思えるが、暴行・脅迫行為が生じて初めて事後強盗となる以上やはり窃取自体は実行行為に入らない。よって乙は途中から関与したとは言えず承継的共同正犯と扱うべきでない。 ※窃盗犯人という立場を一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係たる特殊の地位・状態たる「身分」と捉え事後強盗を身分犯とする。そして不真正身分犯とすれば事後強盗を暴行・脅迫の加重類型とする点、財産罪と生命・身体への罪の違いを無視し妥当でないので、真正身分犯。65条1項の適否につき、「共犯」に共同正犯が含まれるかの問題になる。(非身分者でも身分者と共同し真正身分班の保護法益を侵害できるし、文言上も共同正犯を除外していないので、含むとして事後強盗罪の共同正犯を認める。)

    解説

  • 67

    共犯⑨共謀共同正犯の成否、つまり殺人の謀議を主宰し各人の役割および実行計画を策定したが殺害行為に参加しなかったものに共同正犯として正犯としての罪責が問えるか。

    補足(例文と訳など)

    • ※間接正犯について、命令内容の抽象性などから被利用者の恣意によって道具性が認められなかった場合、次に共謀共同正犯の成立を検討する。 そしてかかる実行行為を行った者が未成年であった場合でも、カード61より共同正犯の成立には、正犯の構成要件該当性、違法性で足り、有責性を必要としないため、責任無能力者として責任阻却する未成年者との共同正犯も認められる、とする。 ※そして共同正犯が否定されれば、狭義の共犯の考慮に移るのが基本。

    答え

    • 共同正犯がすべて正犯とするとして〜根拠は利用補充関係の下特定の犯罪を実現する点。すれば、実行行為を分担しなくても、他人の行為を相互に利用補充することは可能であるので①謀議をなし②その謀議に基づいて犯罪を実行する意思のもと③共謀参加者のうち誰かが実行すれば、共謀共同正犯が成立すると解すべき。

    解説

  • 68

    共犯⑩未遂犯の教唆犯が認められるか。また未遂に終わらせるつもりが予期に反して結果が発生した場合どう処理すべきか。(甲が致死量に満たないと信じた乙の持つ毒物につき、乙にAにこれを飲ませ殺害するよう教唆したときAが死んでしまった場合)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず教唆犯は61条1項に「実行」とあることから正犯について実行行為性が認められなければならないとも思える。 しかし未遂についての規定43条における「実行」と全く同様に解する必要は無いはずであるし、未遂罪が各本条に並んで構成要件化されている以上、未遂についても別に実行行為を観念できると解する。 ○といっても、教唆犯ははじめから未遂に終わらせるつもりで供さしており結果発生の認識が無い以上、教唆犯として処罰するに足りる故意が認められるか。 思うに教唆とは他人を唆し犯罪実行の決意を生じさせ、もって法益侵害・危険を惹起する点可罰性があるので、その故意も自己の教唆行為で被教唆者が実行行為に出ることの認識で足りると解する。 さすれば初めから未遂に終わらせる意思で教唆しても、実行行為に出ることの認識が欠けない限り未遂犯の教唆犯が成立すると解する。 ○後半については、既遂教唆には結果認識が必要と解するが、未遂教唆の故意で既遂教唆の結果を生じさせた以上、法定的に重なり合うので、主観に対応した客観的事実、つまり殺人未遂罪の教唆犯が成立する。

    解説

  • 69

    共犯⑪不作為によって正犯を助けた場合、かかる不作為が従犯として処罰されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 幇助犯62条1項にいう幇助とは、実行行為以外の行為によって正犯の実行を容易にする行為を言うところ、法律上正犯の犯罪を防止すべき法的義務を負う者がその義務に反し正犯の実行を容易にすることは考えられる。 よって不作為の従犯も認めるべき。ただし不作為は日常的に行われる者なので、自由保障の点から処罰範囲の不当な拡大を防ぐため①作為の容易性・可能性②作為義務の存在③不作為と作為による幇助の同価値性を要件とすべき。

    解説

  • 70

    共犯⑫片面的従犯、つまり幇助者が被幇助者、正犯との意思連絡なしに幇助の故意で一方的に幇助行為を行い被幇助者がかかる幇助行為の認識無く実行行為に及んだ場合従犯が成立するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに従犯の「幇助」とは〜、さすれば正犯の幇助行為の認識がなくとも正犯の実行行為を容易にすることは客観的には可能であり、片面的従犯も幇助の要件を満たしうる。また62条の法文からも行為者と従犯との意思連絡を必要としないと解するのが自然。 よって片面的従犯は成立しうるが、例外として精神的に犯行を容易にするような精神的幇助の場合、正犯の幇助行為の認識は必要と解する。

    解説

  • 71

    共犯⑬65条の構造をどのように把握すべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 1項では「犯人の身分によって構成すべき犯罪」、つまり真正身分犯(身分が構成要件)、2項「身分によって特に刑の軽重があるとき」とは不真正身分犯(身分が刑の加重要件)の、それぞれ成立と科刑についての規定と解する。 この点1項は真正身分犯・不真正身分犯を通じて共犯成立に関する規定であり2項を不真正身分犯の科刑についての規定賭する見解があるが、文言上無理があるし犯罪成立と科刑を分離すべきでない。 ※業務上横領罪は「占有者」という真正身分と「業務上」という不真正身分の複合身分によって成立するため、共犯関係においては「業務上の占有者」で業務上横領罪、非占有者には占有者の身分につき65条1項が、業務上の身分については2項が適用され、占有者の身分のみ認められる。252条1項単純横領罪が成立。実質的に重なり合う単純横領罪の範囲で共同正犯が成立。

    解説

  • 72

    共犯⑭間接正犯の意思で、客観的には教唆行為を行っていたとき。例えば甲が情を知らない乙を利用し丙に毒物を注射させこれを殺害しようとしたところ、丙が当初より甲の意図に気づきながらそのまま実行し丙を殺害した場合甲の罪責は。 途中で気づいたときはどうか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 乙は情を知っており道具と言えないので間接正犯が成立しない。 では間接正犯の主観で、客観面では実行の決意を生じさせ教唆犯結果を発生させているので教唆犯が成立しないか。間接正犯の故意をもって教唆犯の故意を言えないか問題となる。 故意責任の本質は〜への道義的非難であり、規範が構成要件として国民に与えられる以上、認識と結果が構成要件内で一致する限度で発生した犯罪事実の構成要件的故意が認められると解する。(法定的符合説)間接正犯の方が行為支配性が強いものの、間接正犯の故意は他人を道具として自らの目的である犯罪を実現する意思であるので、他人を唆して間接的に犯罪を実現する意思である教唆犯の故意の範囲では構成要件的評価として一致する。故に間接正犯の故意は教唆犯の故意を包摂するので、教唆犯の限度で故意が認められる。よって甲には殺人既遂罪の教唆犯が成立する。 ○途中知情では間接正犯の実行着手が認められるが、知情の時点で因果の流れが切れ因果関係が否定されるので殺人未遂罪(間接正犯)が成立。客観で教唆が成立するとする見解があるが間接正犯の実行行為が認められる以上不当。

    解説

  • 73

    共犯⑮上のケースで教唆の意思で間接正犯結果が生じたとき、つまり唆したつもりが乙がその意図に気づかず道具として行動していた場合はどうか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 間接正犯の故意がないので38条2項間接正犯罪責は問えない。 では殺人罪の教唆犯は成立するかについて、法益侵害の危険性の程度において、客観的には間接正犯の方が行為者に恣意が無い以上教唆を上回り、甲は教唆犯の結果も生じさせたと評価できるので教唆犯が成立する。

    解説

  • 74

    共犯⑯共謀関係からの離脱が認められるには何が必要か。実行着手前、実行着手後に分けて考えよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに共同正犯が「すべて正犯とする」とし一部実行全部責任を認めた根拠は二人以上の者が相互利用補充関係の下特定の犯罪を実現する点にある。 さすれば実行の着手前であればかかる利用補充関係、具体的には物理的、心理的因果を切断すれば離脱を認めてよいと解する。①離脱の意思表明②他の共犯者の認識をもって切断を認めてよいと解されるが、首謀的立場、武器供与のような物理的因果を与えた場合、③これらの影響力の解消がなければ離脱は認められない。 では実行着手後であればどうか。いったん実行行為が始まれば結果発生に向けて因果の流れは進む。この因果性を断ち切るには着手前に比べより要件を厳格に解すべき。そこで①他の共謀者への離脱意思表明②残余共謀者の了承③他の共犯者の実行行為を阻止、共謀に基づく法益侵害結果の阻止のための努力が必要と解する。これらが認められれば残余共犯者が実行行為を継続して結果を惹起しても当初の共謀に基づかないとして離脱を認めるべき。 ※また離脱で未遂といえ、中止犯の要件を満たせば中止犯成立させられる。

    解説

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