zuknow learn together

新しい教材を作成

行政法

カード 85枚 作成者: かずとし (作成日: 2014/10/23)

  • 法律の留保の原則とは。そしてその行政法における限界とは。

解説面  クリックしてカードを裏返す

アプリをダウンロードして、このコンテンツを学習しよう! AppStore / Google Play

教材の説明:

詳細はありません

公開範囲:

公開

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1

    法律の留保の原則とは。そしてその行政法における限界とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 公法・私法二元論:行政分野を権力or非権力で二分し、両者は異なった手続きに服するだけでなく、実体法上も異なる解釈原理に従うとする考え。 警察・租税など公法分野(権力)は法律による授権なしに行政に権力性、公益優先性を与えるとするが、国民主権の下では権力源はあくまで国会であって、行政権は個別具体的な法律の規定なしに国民に優越しえない。 よって法律の留保の原則:「法律による行政」の原理が導かれる。つまり行政活動は根拠法規なくしてなしえず、法律に則り行うことを前提としているとした。 ○では法律の留保が適用される行政活動とは。思うに、自由保障の点からすれば、経済規制、建築規制など個人の権利を制約し義務を課す侵害的な行政には法律の根拠を要求すべきだが、生活保護、公園設置など国民の便宜のための給付行政については、行政の自由度、裁量を広く解する方が国民の利益に資すると解する。よって侵害行政にのみ法律の留保が及ぶ。(侵害留保説)

    解説

  • 2

    「法律による行政」に信義則を適用できるかについて、①公示と異なる課税処分、②行政計画の変更による私人の不利益における問題を述べろ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①まず課税処分について、信義則は民法1項に定められた法の一般原理であって、適用余地があると解する。とはいえ要件は、租税法律主義(憲法84条)が及ぶ租税法領域において納税者間の平等・公平が要請される以上慎重に解すべき。その要請を無視してもなお納税者の信頼を保護せねば正義に反するといえる、つまり①税務官庁による公的見解表示(信頼対象)②信頼と、信頼に基づいた行動③表示と異なる課税処分④経済的不利益発生⑤納税者に帰責事由がないこと、これらを満たさねばならない。 ②行政計画の変更について、損害を被った私人に不法行為責任を負うか。 この点行政計画は社会経済的実情の変更について柔軟な見直しを必要とし、かかる可能性を前提に、事業を開始すべき。よって不法行為責任は原則生じないが、いかなる場合も損害を受忍させるのは不公平。そこで①行政から私人に特定行政計画に基く特定活動を促す具体的な働きかけをなし②それを動機になした活動が当該計画の長期間継続を前提とし③計画変更によって社会観念上看過できない積極的損害を及ぼし④行政が補償など代償的措置を講ずることもなければ、信頼関係を不当に破壊するものとして私人に不法行為責任を負うと解する。

    解説

  • 3

    農地の買収によって生じる行政法上の法律関係、もしくは租税滞納処分としての差押対第三者の対抗関係に民法177条は適用されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 公法・民法二分論からは、適用が無いとされたが、行政法上の法律関係を具体的に規律する行政法規が整備された今、実定法の具体的解釈が必要。したがって、行政法上の法律関係に民法177条が適用されるか否かは、当該法律関係を形成する行政処分の根拠法の趣旨や、仕組みに即した解釈によって決定すべき。 判例:この点農地買収処分について、民法177条の適用がなく、真実の所有者でなく登記簿上の名義人に対してなされた買収処分を違法とした。 これはかかる処分が公法上行為であるため民法適用を排除したようにも思えるが、判例は自創法の仕組み、つまり不在地主の農地買収を目的とし、所有者が不在であることを買収要件としているため、真実の所有者、つまり地主に対し処分を行わなければ目的が達成されないとして、この判断をなしているのであって、公法・民法二分論の表れとは言えない。 租税滞納処分も同じく根拠法の趣旨、仕組みに即した解釈が必要。 この点租税滞納者への差押について国は民事執行における差押債権者と類似し、公法上の債権だからといって国が司法上再建すあより不利益な扱いを受ける理由はなく、租税滞納処分でも強制執行手続きと同様に解し、177条の適用があると解する。

    解説

  • 4

    会計法30条により国への債権は5年の消滅時効期間にかかるとされるが、国の安全配慮義務違反に基づく公務員の損害賠償請求権もかかる時効にかかるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず、会計法30条が給付目的の国の権利及び国に対する権利に5年の消滅時効を定めた趣旨は、国の権利義務を早期に決済する必要があることなど、行政上の便宜が主である。さすれば、会計法30条規定は、行政上の便宜を考慮する必要のある金銭債権であり他に時効期間の特別の定めないものに適用すると解すべき。 安全配慮義務懈怠による公務員の生命・身体への侵害によって損害を公務員に与えた場合、かかる発生は偶発的なもので行政の便宜を図る要請は小さいので会計法30条は適用すべきでない。 また国が義務者でも、損害賠償義務は公平の原則に従う点私人間相互の場合と目的、性質を異にすることなく、民法167条1項が適用され10年の消滅時効になると解する。

    解説

  • 5

    行政法規違反の法律行為は民事上の効力を否定されるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 判例:行為を規制する行政法規が、強行法規(効力規定)であればそれに違反する法律行為は無効であるが、それが取締法器であればそれに違反する法律行為は有効。 →しかし強行法規、取締法規を判別する基準が必ずしも明確とは限らないので定型的判断は困難。 ○そこで「個々の行政法規の趣旨・目的、取引の安全、当事者間の公平・信義」などを総合考慮し、個々の取引関係ごとに個別具体的に民事上の効力を判断すべき。 ※運送業の無許可営業は、無許可営業への非難可能性に比べ、運送というサービスを提供してしまった業者の報酬請求権を無にし取引相手方の債務を消滅させることは公平の原則に照らし妥当でないので、契約を有効と解する。

    解説

  • 6

    公物の取得時効による所有権取得は可能か。162条が公共の物にも適用されるか、明文ないので問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 国有財産法18条1項:行政目的に供される公物は、本来公用または公共の用に供する財産であって、これを妨げるおそれのある公物の管理および処分を制限するとともに、私権の設定を禁止している。 よって私権の原始取得を認める取得時効はかかる趣旨に反し認められない。 しかし公物であっても永続する事実状態の尊重という時効の趣旨は妥当するし、私人による平穏かつ公然な占有が及んでいれば客観的に公物たる性質を失っているはず。 そこで効用が黙示的に廃止されたといえる場合には、その後の時効取得を認めるべき。 そして公物の効用が黙示的に廃止されたといえるには①長年の間事実上公の目的に供されず放置され公物としての形態・機能を完全に喪失し②その物の上に平穏かつ公然の占有が係属したが③実際上公の目的を害さず、もはや鉱物として維持すべき理由がなくなったといえることが必要と解する。

    解説

  • 7

    通達を契機にした課税処分をなすことは租税法律主義(憲法84条)に反しないか。その他の問題は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず通達の内容が法の正しい解釈に合致するならば法の留保をクリアし、かかる通達を契機として行われるようになった課税処分でも、当該課税処分は通達による課税処分ではなく法律に基づく処分といえ、租税法律主義に合致する。 しかし通達の内容が法解釈としてただいくても、成文法に基づく従来の解釈、慣行を変更することは許されるか、①慣習法に違反しないか②慣行への国民の信頼を害さないか③法的安定性を害さないか、という問題はあり、違法となる余地がある。

    解説

  • 8

    処分性とは何か。そしてその判断基準とは何か。通達に処分性は認められるか。(通達の取り消し訴訟は、処分性という訴訟要件を満たすか)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 取消訴訟対象となる行政訴訟法3条2項における「処分」とは公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成、または範囲を画定することが法律で定められていることをいう。 よって処分性の判断基準とは①公権力性の有無②個別具体的な法的地位変動の有無をもって、個別法の仕組み解釈から立法者意思を考慮すべき。(③紛争解決の要請として第三者効を有する処分性を肯定すべきか) 通達についてみると、通達は行政の一体性を保持する観点で上級行政庁から下級部に発せられる命令で、これのみで②国民の法的地位変動をもたらすものでない。よって②をもって処分性が否定され、通達の取消訴訟は提起できない。

    解説

  • 9

    行政計画に処分性が認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 判例:駅周辺土地計画整理事業を計画、認可を受けて市が決定広告する。①は認められたが、②はかつては計画自体が具体的な権利変動を伴わず否定された。 しかしH20判例においてA事業計画の決定で区域内の者の権利への影響が一定の限度で具体的に予測できB換地処分が行われC実効的な権利救済には計画の段階で取り消し訴訟提起を認めなければ、より被害を大きくするといえるならば、処分性を認めるべきとした。

    解説

  • 10

    事実行為(法律的見解の表示)に処分性は認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 例えば、S54.12.25判例 税関長の輸入申請拒否通知という行政行為は、①は満たすものの、②について、法的効力をもつものでなく、法的効力を発生させる要件に過ぎないため、認められないとも思われるが、実質的に通知を契機に輸入が出来なくなる以上、法律上の効果として評価すべき。

    解説

  • 11

    条例制定行為に処分性が認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 判例(私立保育所廃止条例制定行為への取消訴訟):①は認められるが、②について、原則立法作用は特定の国民の具体的な権利義務の範囲を画定するとはいえない、抽象的な物であって認められない。処分性を否定した。 しかし「制定後の個別的行政執行を経ることなく(その条例制定のみで)特定の権利義務に変動を生じさせると認められるような」場合、行政庁処分と同視できるといえ、例外として柔軟に処分性を認めるとした。(③より認める手もある。)

    解説

  • 12

    許可と特許とはいかに異なるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 許可とは本来だれでも享受しうる個人の自由を、公共の福祉の観点より予め一般的に禁止し、個別の真正に基づいて禁止を解除する行政行為。そして特許とは本来私人の自由に属さないような特権、特別の能力を私人に与える行政行為をいう。 しかしかかる区別は理論上の者で、その文言からは一義的に図るべきでなく、個々の法律の仕組みに照らし個別的解釈をなす必要がある。(運転免許は許可にあたる) 「許可制」はそのもとで本来自由であるはずの行為が法令で規制されているに過ぎないので、許可を与えるか否かの行政庁の裁量は狭くあるべきで、許可を経ていない行為は法律上当然無効とは言えない。他方特許については全くの裏である。 よって逆に言えば、行政庁に認められる裁量の範囲、及びかかる行政行為なくして行った行為の効力をもって、区別の基準とできる。

    解説

  • 13

    行政行為の効力を4つあげよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①公定力②不可争力③執行力④不可変更力 ①違法な行政行為も、当然無効と認められる場合を除き、正当な取消権限を持つ行政機関による取消ない限り有効なものと扱う効力。根拠は、取消訴訟の排他的管轄(立法者が取消訴訟を特に設けたのは、処分に何らかの違法があるとき専らこの手続きの利用を想定したためと考えられることから、取消訴訟でないと行政行為を争えない、②もここから)。趣旨は行政目的の早期実現と行政上の法律関係安定にある。 ②一定期間を過ぎれば(取消訴訟の期間制限)私人側から行政行為の効力を争えなくなること。趣旨は行政上法律関係の早期安定。 ③行政行為の内容を行政権自ら実現できる効力。趣旨は行政行為内容の早期実現と裁判所の負担軽減である。 ④審査請求への裁決など、争訟裁断的性質を持つその他行政行為についてのみ認められ、一度行った行政行為について処分庁はもはや自ら変更できない効力。 趣旨は行政上の法律関係の早期安定。

    解説

  • 14

    国家賠償請求訴訟において、公務員の行った行政行為の違法性を主張することは、公定力に抵触しないか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 公定力に抵触するとすれば、国賠請求をするにしても予め取消訴訟を提起し、行政行為の違法性を画定することによって公定力を覆すしかなくなるので問題となる。 この点、公定力は行政行為の法的効力にかかる問題で、国家賠償請求訴訟において争われるのはかかる行為の有効性ではなく、金銭賠償を認める前提としての行政行為の違法性にすぎない。 よって国家賠償請求訴訟において行政行為の違法性を主張することは、公定力に抵触せず、取消訴訟による違法性の確定を前置する必要はない。

    解説

  • 15

    行政命令違反によって刑事責任を問われて起訴された物が刑事訴訟において、かかる命令の違法・無効をもって無罪主張することは、公定力に抵触するか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 公定力に抵触するのであれば取り消し訴訟により違法を画定する必要がある。 この点予め違法性を確定する必要があるとすれば、被告人は罪を犯したから処罰されるのでなく、取消訴訟において勝訴できなかったことによって処罰されることにもなりかねない。更に取消訴訟の出訴期間を経過すれば、かかる命令の無効をもって刑事責任を逃れる術が失われることになってしまう。 つまり、刑事責任という重い責任を問う刑事訴訟の得失からして、公定力との抵触はそもそも論じるべきでない領域というべき。 よって刑事訴訟において行政命令の違法無効を主張し無罪主張するに、取り消し訴訟による違法性確定は必要ない。

    解説

  • 16

    不可変更力に反した新たな裁決は効力を持つか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 裁決長がいったん下した裁決を取消、新たに裁決をやり直したなどすれば、新たな裁決は先に裁決の不可変更力に反し違法となるのが原則。 この点、違法な行政行為でも、違法が重大かつ明白でなければ、公定力が働いて有効となるところ、不可変更力違反はかかる重大かつ明白な違法とは限らないので、新たな裁決にも公定力が発生、権限ある国家機関によって取り消されるまで効力を有すると解する。

    解説

  • 17

    段階的な行政行為において、後続処分の取り消し訴訟における違法事由として先行処分の瑕疵を主張できるか。(違法性の承継が認められるか。)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点、仮に後続処分の取り消し訴訟において先行処分の違法性を自由に争えるとすれば、先行処分取り消しの出訴期間制限潜脱になり、行政訴訟法14条の趣旨を没却する。よって原則違法性承継は認められず、後続処分取消訴訟で先行処分の瑕疵は主張できない。 しかし国民の権利保護の観点より後続処分展開を一切拒めなくなるのは妥当でない。そこで①先行処分と後続処分が一連の手続きを構成し②2つ合して一定の法律効果発生を目指していると言える場合、先行処分は後行処分の準備に過ぎず、例外的に違法性承継が認められ後続処分取消訴訟において違法事由として先行行為の瑕疵を主張できる。 ※先行処分に重大かつ明白な瑕疵が認められ無効と言えれば、無効な行為を前提に後続処分がなされる以上違法性承継の問題を論ずるまでもなく、後続処分の違法事由となる。

    解説

  • 18

    取消訴訟に依らず行政行為の瑕疵によって行政行為が当然無効となる場合はどんな場合か。(重大明白説)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政行為の公定力より、その瑕疵は原則、取消事由に過ぎない。 しかし公定力の根拠は取消訴訟という訴訟類型を特に設けた立法者の意思として、行政行為に瑕疵がある場合、専ら取消訴訟が想定され、その利用なくして瑕疵を争えないとしたことにある。 さすれば、行政行為が取消訴訟の排他的管轄に服するのは、取消訴訟を経ることで無効となり得る、というレベルの話に過ぎない。よって行政行為に取消訴訟を経ないでも無効とできるような重大な瑕疵がある場合、取消訴訟の排他的管轄に服さないと考えられる。 ただ、国民が各自の判断で重大な瑕疵の有無を判断することとなれば、その判断が各々異なり、行政法秩序の安定を害することになりかねない。 そこで行政行為が無効とされるには瑕疵の存在が客観的に明白であることも要求される。かかる点を満たせば、行政行為の有効性への国民の信頼は生じないため、行政行為を無効としても法秩序の安定を害さず不測の損害を与えないからである。 よって重大かつ明白な瑕疵があれば、無効事由たる瑕疵となると解する。

    解説

  • 19

    課税処分について、取消訴訟を経ずに当然無効とされる要件は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 明白性要件の趣旨は行政行為が当然無効と扱われることで行政行為を有効と信頼した第三者を保護することであり、瑕疵が明白ならかかる信頼が生じないので、これをもって当然無効と認めるとした。 ただしそもそも行政行為の有効性を信頼する第三者保護の考慮が必要ない場合は明白性の要件は不要と解する。例えば課税処分は、課税庁と非課税者との間にのみ存在し第三者保護必要はないので重大な瑕疵だけで大丈夫。(補充性要件説)

    解説

  • 20

    行政行為の要件不足という瑕疵は、その後の事情の変化によって当該要件が充足された場合、かかる瑕疵が治癒されたとして行政行為の効力を維持することが得切るか。(瑕疵の治癒)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政行為に適法要件を欠くといった瑕疵がある場合、行政行為は取消、または無効とされ、行政庁はかかる行政行為をなす必要が依然あれば最初からやり直すのが原則である。 しかし事情の変化によれば当該行政行為をできるだけ維持する方が一からやり直すより効率的で、私人の側にとっても必ずしも酷でないという利益情況が存することがあり、かかる場合まで原則を貫くのは無意味であり行政経済に資さない。 ただ「法律による行政」の原理との調和から、あくまでも限定的に、「手続をやり直してみても処分の内容の変更が全く期待できず、単に二度手間になるにすぎないような場合」に限定して認められるべきである。

    解説

  • 21

    ある行政行為が違法ないし無効であっても、別個の行政行為としてみれば瑕疵が無いといえるとき、かかる別個行政行為として有効にあつかうことができるか。(行政違法行為の転換)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 原則、瑕疵があれば、取消または当然無効で、行政庁として最初からやり直すのが原則。 しかしその瑕疵が事情の変化によって非難するに値しないものとなった場合にまでこの原則を貫くのであれば、行政行為の不必要な繰り返しとなるだけであり、行政経済の観点から好ましくない。 そこで、「法律による行政」との調和から、限定的に、「当初の行政行為と転換後の行政行為との間に目的、要件、効果、手続について同一性があり、転換が相手方利益を害することが無い場合」限定して認められると解する。

    解説

  • 22

    処分理由の付記が求められる処分の適法性が争われている取消訴訟において、行政側が「理由の差し替え」をなすことは許されるか。

    補足(例文と訳など)

    • →理由の追完が許されるか カード44

    答え

    • 理由の差し替えとは、同一行政行為について、行政庁が余分時に示した処分理由とは異なる処分理由への変更で適法性を維持することをいう。 問題について、取消訴訟の訴訟物は処分の違法性一般。処分理由は攻撃防御方法の範囲であり、行政側は口頭弁論終結時まで処分が適法であることにつき一切の法律上、事実上の根拠を主張できるはず。また理由付記制度の趣旨は行政の恣意抑制機能と国民の争訟便宜機能(対象明確性)にあるところ、処分理由が具体的に処分時に示されていれば趣旨は実現されているといえる。よって理由の差し替えは原則許されるはず。 しかし処分の同一性が失われもはや別個の処分として再構成していると言わざるを得ないような場合(処分の実質が変化してしまう場合、公務員の懲戒処分理由)、理由付記制度の趣旨に反し、認められないと解する。 また不利益処分であれば、これは聴聞・弁明手続の対象となるが、その手続段階で示されていない理由への差し替えも、当事者への不意打ちになり、聴聞・弁明手続きを定めた法の趣旨に反するので許されない。

    解説

  • 23

    法律に明文の根拠なくして、行政庁による行政行為の職権取消は認められるか。認められるとすればどのような制限にかかるか。

    補足(例文と訳など)

    • 職権取消は、自身による解決という法律安定性、専門性があること、から行政庁に広く認められ、取消訴訟のように、公定力、不可争力による制限を受けないが、不可変更力は当然かかる。

    答え

    • いったんなされた行政行為の職権取消は、特に授権的行政行為の取消の場合、名宛人等に不利益を与える危険がある。 この点行政行為の職権取消は、「原始的瑕疵のある行政行為を取消し、瑕疵のない状態に回復する行為」であって、法令に明文の根拠がなくとも、「法律による行政」の原理に符合し、職権取消は許されると解する。 しかしいったん行政行為が行われればそれを基礎に新しく法律関係が形成されていくので、無条件にこれを取り消すことが出来るとすれば、行政行為を信頼した相手方等の利益を害することになりかねない。よって行政行為の職権取消の可否は、取消を行うことにより守られる利益と、影響を受ける相手方の不利益を比較衡量して決するべき。

    解説

  • 24

    法律に明文の根拠なくして、行政庁による授益的行為の撤回は認められるか。

    補足(例文と訳など)

    • 撤回とは、行政行為に①新たな事由(義務違反、公益上の必要性等)が発生した場合に、②将来にわたりその効力を失わせるためにする行政行為。 取消と違い、行政行為後の事由をもって効力を失わすことができる。また行為後の事由であるが故に、遡及効は認められない。また監督行政庁による職権取消は可能だが、撤回は処分庁にしか認められない。(後述)

    答え

    • この点、受益的行為の撤回は、相手方に対しては侵害的行為そのものであり明文の根拠を必要とする見方もある。 しかし「法律による行政」の原理からすれば、許認可権を与えられた行政庁は、義務違反者の許認可を撤回する権限も当然有している以上、採用できない考え。 そもそも行政行為の撤回は後発的事情により行政行為の将来の効力を除去する行為で、目的は公益的合成の回復。 そして行政上の法律関係は事情の変遷に伴い、常に公益的合成を有する必要がある。 よって行政庁は法令に明文の根拠なくして受益的行為の撤回をなしうる。 もっとも授権的行為がいったん行われればこれを基礎に新しく法律関係が形成されていくため、撤回に伴って相手方の信頼保護が必要である。 よって比較衡量。

    解説

  • 25

    監督行政庁、つまり上級行政庁は、下級行政庁が行った行政行為の撤回権をゆうするか。職権取消の場合と比較して論じろ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点、撤回は処分権限と表裏一体の関係にある、つまり処分をなした以上、後に公益適合性を見極めるも、処分庁の役割であるといえるのであって、撤回は許認可権限を与えられて下級行政庁=処分庁の義務ないし権限といえる。 また上級行政庁は監督権に基づき撤回命令、職権による取消を発動できる以上、行政目的は達成でき、特段不都合はない。よって撤回権を有さない。 一方、取消し対象になる行政行為は違法か不当かのどちらかなので、処分庁に対してある行為を取消すよう命じるより、直ちに取消しをした方が速やかに違法または不当な状況を解消できる。 徹底した監督を行う上でも、監督行政庁が取消しができた方が望ましいとも解する。 よって現在の通説、行政行為の職権取消しは、監督権限の中に含まれ、監督行政庁は明文の根拠がなくても行政行為を取消すことができる。

    解説

  • 26

    (授権的)行政行為の撤回によって生じた私人の不利益について、補償が必要か。

    補足(例文と訳など)

    • 例えば、卸売市場の敷地内の使用許可を受けて飲食店を営んでいた者に、卸売市場拡張の必要から、使用許可が撤回された。

    答え

    • 私人に対し本来の使用目的外での行政財産の使用を許可した後でかかる使用許可を撤回した場合など、たとえ利益衡量によって私人の被る不利益に反対利益が勝っていたとしても、撤回の名宛人となる私人にとっては撤回によって使用許可により得られた権利を失うという経済的不利益を被る以上補償が必要とも思える。 この点、かかる使用許可は目的外使用許可という形で、行政財産本来の用途を害さない限りで例外的に認められたもの。よってかかる使用許可は、公益の必要が生じれば使用できなくなる内在的制約を含んでいることが前提であり、かかる制約が現実化したとしても補償の問題にはならない。 ※例外として使用許可に際し私人が対価を支払っており償却していない場合、使用許可について別段の定めがある場合など特段の事情あれば、撤回により生じた損失は内在的制約の範囲を超えるものを含むことになるので、例外的に補償を必要とする。

    解説

  • 27

    付款の意義と、限界について述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 附款とは、行政行為の効果を制限するため行政庁の意思表示の主たる内容に吹かされた従たる意思表示。 ①条件②期限③負担④撤回権 法律の規定による画一的な処理要請に対して、具体的な状況に応じきめ細やかな弾力性のある対応を可能にする。 ではその附款はどのような場合に、どのような内容で許されるのか。 まず行政行為の根拠法に附款を付すことが出来る旨の規定があれば、法律の許容があるので当然に附款を付すことができるが、もちろん根拠法の規定に違反しない範囲で、である。 附款を許す規定が無くとも、行政庁に裁量権が付与されていれば、不可を付すこと自体裁量権行使の一体といえ、その範囲で附款を付すことが出来ると解する。 ただその内容は、裁量権行使の一般的制約に服する。(根拠法規の目的内、法の一般原則たる平等原則、比例原則に従う事)

    解説

  • 28

    行政裁量とは何か。そして行政裁量に対する司法的統制が考えられるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政裁量とは、立法者が法律枠内で行政機関に認めた判断余地をいう。 伝統的な学説ではこれを「自由裁量」と「覊束裁量」に分け、自由裁量は「何が行政目的で、公益に適合するかの裁量」であって、当・不当の問題にはなっても違法の問題は生じないと解され、司法審査権が及ばないとした。 しかし、法の支配の下、自由裁量行為であっても司法審査が全く及ばないとすべきでない。よって行政訴訟法30条で、自由裁量行為であっても、裁量権の逸脱・濫用について違法とされうることが明示された。 その結果現在では上記のような行政裁量の区別が相対化し、個々の行政処分に対する裁判所の審査密度の問題となっている。具体的には、裁量権が認められるとしても、①どのような点に裁量が認められるか②認められる裁量の広狭・程度はいかなるものかを行政行為の根拠法令の法的構成の具体的解釈により明らかにすることを重要としている。

    解説

  • 29

    裁量統制手法として、裁量権の逸脱・濫用(行政訴訟法30条より違法、取消事由)を判断するためいかなる審査ができるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 従来:裁量処分の結果に着目し実体法的な違法の有無について審査。A事実に基づいているか「事実誤認」B根拠規定の目的、平等原則、比例原則など法の一般原則に抵触していないかどうかなど「目的・動機違反、信義則違反、平等・比例原則違反」 新たな裁量統制手法:裁量処分に至る行政庁の判断形成過程の合理性について審査する「判断過程審査の手法」や、実体法的審査と別に、処分庁が履践しなければならない事前手続きを経たかどうかに着目して審査する「手続的審査の手法」といった新たな裁量統制の手法を用いる判例が現れている。

    解説

  • 30

    裁量処分の前提となる「事実認定についての誤認」を裁量審査の基準とすることについて問題は。(マクリーン事件)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政行為は正しい事実認定が前提にあるべきで、事実認定に誤認があれば裁量処分には裁量権の逸脱・濫用があるとされ、違法。 マクリーン事件:旧出入国管理令に基づく在留期間更新の判断に関する法務大臣の裁量権限を認めつつ、判断基礎とされた重要な事実に誤認があることなどで当該判断が全く事実の基礎を欠く場合裁量権の逸脱・濫用があったものとした。 →「全く」事実の基礎を欠いて処分することは通常考えられないので、事実誤認の判断基準として有効に機能しないのではないかという批判ができる。

    解説

  • 31

    目的・動機違反を裁量権逸脱・濫用と解する論理は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政庁の裁量権行使は、根拠法の趣旨・目的に沿ってなされる必要がある。なぜなら行政裁量が認められるという事は、立法者が具体的な場面における法適用の判断権限を行政機関に授権していることを意味し、かかる授権の趣旨・目的=根拠法の趣旨・目的だから。 よって根拠法の趣旨・目的と異なる目的・動機による裁量処分は、裁量権の逸脱・濫用があったものとして違法と解する。 判例:個室付浴場の開業を阻止することを主たる目的・動機とした児童遊園の設置認可処分が、行政権の著しい濫用であり違法であると判断した。

    解説

  • 32

    信義則違反を裁量権逸脱・濫用とする論理は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 信義則は民法に規定があるとはいえ、法の一般原理である。そして「法の下の行政」原則からすれば、行政上の法律関係においても適用可能。よって裁量処分についても、かかる事実関係の下国民の信頼を裏切り損害を与える場合、信義則違反を理由に裁量権の逸脱・濫用として違法とされる場合があると解する。 判例:「短期滞在」の在留資格による在留期間の更新申請不許可処分の適法性が争われた事案において、本件処分以前に「日本人の配偶者等」の在留資格による在留期間の更新申請を、本人の意思に反して「短期滞在」に変更する旨の申請があったものとして取り扱った以上、信義則上、在留期間の更新を許可したうえで、被上告人が従前の「配偶者等」の在留資格をゆうするか否かの公的判断を受ける機会を与えるべきであったとして、在留資格変更の経緯を考慮しないでされた本件処分は違法と判事した。

    解説

  • 33

    平等・比例原則違反を裁量権逸脱・濫用とする論理は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①平等原則は、同一条件の下では同一に取り扱うべきとする原則で、憲法14条1項から認められる。例えば特定の個人を言われなく差別し不利益な扱いをする裁量行為は平等原則に反し、裁量権の逸脱・濫用として違法となる。 判例:食糧管理法違反事件 ②比例原則:達成されるべき目的とそのために取られる手段との合理的な比例関係を要求する原則。憲法14条1項および13条に由来し、わずかな不正に裁量によって不相当に過酷な処分をすることは比例原則違反として裁量権逸脱・濫用で違法。 判例:免停事由で免許取り消ししたケースで、以前の免停満了から1年以内であること、他の違反歴などをもって適正な裁量権の行使として適法とした。 平等原則違反・比例原則違反とも違反状態が存在しているだけでは不十分、かかる違反状態が「社会観念上著しく妥当を欠く」程度に至っている場合にのみ取消事由となるといえる。

    解説

  • 34

    新しい裁量審査基準としての「判断過程審査」について、その定義、有益性、具体的方法を述べよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 定義:行政裁量への司法的統制の一つで、裁判所が裁量処分(結果)に至る行政庁の判断形成過程の合理性について審査する手法。 有益性:高度の政策的判断、科学技術上の判断を要する活動では、裁量処分の結果にのみ着目した従来の司法審査密度は希薄にならざるを得なかったが、判断形成過程の適法性に着目すれば、より濃い審査が可能となる。よってこのような領域で真価を発揮する。 具体的審査方法:行政庁がなすべき具体的比較衡量・価値衡量の場面で、考慮すべき要素・価値を正しく考慮したか、考慮すべきでない事項を考慮したり、過大評価していないかという観点から審査。 判例:日光太郎杉事件 巨杉群に代表される周辺環境保全必要性VS自動車道路整備拡充の要請 の調和について、尽くすべき考慮を尽くさなかったことを持って判断形成過程の瑕疵とし、違法とした。

    解説

  • 35

    行政指導に法律上の根拠は必要か。※その限界は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点相手方の活動を規制することを目的として行われる行政指導について(規制的行政指導)は、実質的には権力的規制がなされるのと変わりないとして、法律の根拠を必要とする見方もある。 しかし法律の根拠を必要とすれば、法律の不備、欠陥を補って臨機応変に行政需要に対応できるという行政指導のメリットが失われる。 そして行政指導は相手方の任意協力を前提とする事実行為であることからも、(規制的行政指導を含め)行政指導に法律根拠は不要であると解する。 ※相手方から指導に従う意思がない胸の表明がなされた場合、指導継続は違法となると解するが、相手方の主観的意思において、行政指導が相手方の拒絶、反発を説得する役割もある以上、単に拒絶意思を示したのみで継続を許さないことは行政指導の意義を失わせる。 そこで相手方が行政指導にもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明している場合、指導に従う意思がない旨の表明がなされたといえ、不協力が社会通念上正義の観念に反するといえるような特段の事情ない限り、行政指導の係属は違法となる。

    解説

  • 36

    行政指導に対して抗告訴訟をなすことが出来るか。(行政指導の処分性について)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 「処分」とは、行政行為のうち、直接に国民の権利義務を形成、または範囲を画定することが法律上認められているもの。 行政指導はこの点、相手方の任意の協力を求めて行政目的を達成しようとする事実行為であって、その性質上処分性は原則認められない。 もっとも行政指導の根拠法令の仕組みを解釈し、当該行政指導で直接国民の権利義務が形成されまたは範囲確定があるといえるような場合、処分性が認められ抗告訴訟対象となり得ると解する。

    解説

  • 37

    行政指導を「公権力の行使」(国家賠償法1条1項)として、行政指導によって被った損害につき国家賠償請求できるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政指導は相手方の任意協力を前提とする事実行為に過ぎず、問題となる。 この点については「公権力の行使」の意義が問題となる。 国家賠償制度は、公務に起因して損害を被ったものを救済することを究極の目的とする制度で、文理に反しない限り広く解することが国賠法1条1項の趣旨に合致する。もっともいくら国または公共団体の作用でも、一般の私人と同等の立場で行う経済活動まであたるとかいするのは文理に反するので認められない。 また2条にいう公の営造物の設置・管理の作用は、含める必要がない。 よって国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」とは国または公共団体の作用のうち、純粋な私経済作用と国賠法2条にいう公の営造物の設置・管理の作用をのぞくすべての作用をいう。 よって行政指導はそのどちらにもあたらず、「公権力の行使」に当たり、国家賠償請求できると解する。

    解説

  • 38

    違法な行政調査によって収集された資料に依拠した事実認定を前提として行われた行政行為は有効か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政調査の瑕疵によって続く行政行為も違法の瑕疵を帯びるか。 行政調査は一般的には行政側の資料収集として行われる活動で、本来行政行為とは独立した活動。よって行政調査が違法である場合、かかる調査を基礎にして行われた行政行為は原則違法とならないものと解する。 もっとも、行政調査と行政行為は一つの過程を構成している以上、適正手続きの観点から、行政調査に重大な違法が存在するときは、例外的にその調査を基礎にして行われた行政行為は違法となる。

    解説

  • 39

    行政庁が法律が行政上の強制徴収手続きを定めている公法上の金銭債権について、かかる手続きに依らず、裁判所に民事上の強制執行手続きを求めることが出来るか。

    補足(例文と訳など)

    • 例えば農協組合連合会が農協組合に有する共済保険料及び賦課金債権(行政法上強制徴収NG)を保全するため、農協組合が組合員に有する共済掛け金(行政上強制徴収OK)に代位し、かかる債権の支払いを直接組合員に支払い請求をなす民事訴訟を提起する、など。

    答え

    • この点、法律が行政上の強制徴収手続きを定めた趣旨は、行政庁に特権を付与することに過ぎないとすれば、行政庁は特権を放棄して民事上の強制執行手続きを求めることが出来るとも思える。 しかし法律が行政上の強制執行手続きを定めたのは、かかる趣旨にとどまらず、行政庁が強制徴収手続きという簡易迅速な手続きを利用することで、裁判所の負担を軽減する趣旨も有すると解する。 さすれば、行政庁がこれに依ることなく民事上の強制執行手続きを選択することは許されないものと解する。(バイパス理論)

    解説

  • 40

    条例に基づく中止命令を発したのち、これに従わない私人に対して民事訴訟を提起できるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 判例は、国または地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対し義務履行を求める訴訟は、法規の適用の適正な意思一般公益の保護を目的とするもので、自己の権利利益救済のためではない、として「法律上の争訟」(裁判所3条1項)にあたらず許されないと判示した。 しかし、「法律上の争訟」を自己の権利利益の保護救済を目的とするものに限定することは、行政上の義務履行確保の手段が不十分な現行法の下妥当でない。 また行政行為に対して名宛人たる私人が提起する「取消訴訟」は法律上の争訟となり許されるにもかかわらず、行政側から義務履行確保のため行政主体が提起する訴訟は法律上の争訟に当たらないとする解釈はバランスを欠く。 ○そもそも法律関係に関する具体的紛争が生じ、それが法令適用により終局的解決が可能であれば、それは最終的に裁判所で解決されるというのが司法国家の原理原則である。したがって行政上の義務履行確保を求める訴訟も法律上の相称に当たると解する。

    解説

  • 41

    公表制度(義務の不履行、行政指導への不服従があった場合事実を公にすること)の問題点と、救済手段は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 公表制度の趣旨は、国民への情報提供と共に、公表されるものへの義務履行確保にある。 問題点は、対象者の社会的信用低下等深刻な不利益を与えかねないことにあって、かかる不利益は事後回復が困難であるので、「事前の」救済手段が必要。 ①まず事前の救済手段として、公表に関する手続整備がある。具体的には公表前に直接の利害関係者に意見書提出を認めるなどの手続き立法が考えられる。 ②また公表自体は処分性のない事実行為であって直接取消訴訟で争えないが、公表の前提となる義務賦課行為の取消訴訟を提起し、同時に行訴法25条2項にいう執行停止申立をなすことが考えられる。 ③また行政指導への不服従に対する公表については、実質的当事者訴訟により、行政指導へ従う義務の不存在、公表を受ける地位に無い事などの確認訴訟を提起することも考えられる。 (④民事上では、人格権侵害を根拠に差止めの訴えを提起) もちろん、事後であっても、かかる不利益を及ぼされた以上、公表対象者は国家賠償法に基づく損害賠償請求ができる。

    解説

  • 42

    行政手続法8条、14条によれば申請に対する拒否処分、不利益処分などの行政行為には理由を提示しなければならないが、その内容はいかに詳しく述べる必要があるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点、行政手続法8条、14条の趣旨は、処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申し立ての便宜を与えることにあり、かかる趣旨からすれば、要請される理由提示の程度は、いかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して当該処分を下したのか、提示理由自体から了知できなければならない。

    解説

  • 43

    取消訴訟段階で理由の追完が許されるか。

    補足(例文と訳など)

    • 参考:カード23

    答え

    • 理由の追完とは行政行為を行うのと同時の理由提示が義務付けられている場合に、理由の提示がなかったり不十分である時、事後に理由を補充して瑕疵を治癒させることをいう。 では取消訴訟が提起されたのち理由の追完は許されるか。 まず理由付記制度の趣旨は、抗告訴訟における私人の便宜を図ること、そして行政庁の慎重かつ合理的判断を担保することにある。 この趣旨に鑑みれば、取消訴訟段階になっても追完が許されれば、処分時には不十分な理由であっても付記すればよいことになり、行政庁の判断の慎重・合理性を担保しようとした法の趣旨が没却する。 よって取消訴訟段階に入っては、行政庁はもはや理由の追完をなすことは許されない。

    解説

  • 44

    では、許認可等の申請にある瑕疵が補正可能な不備であるのに、補正を求めず、拒否処分をなすことはできるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行政手続法7条は、申請者に対して補正を求めるか、拒否処分をなすか、選択的に規定しており、行政庁裁量を認めているため問題となる。 この点行政庁が補正を求めれば①手数料の再納付が不要②申請に要する書類を再び準備するコスト省略③先願の順位、申請期間を遵守したという点がそのまま認められる、というように申請者に対して補正を求めれば申請者に利益になるし、行政手続法は申請者の権利利益保護を目的とする以上、補正可能な不備については申請者に補正を求めることはかかる趣旨に合致する。 よって、かかる不備について、行政庁が申請者に補正を求めることなくただちに拒否処分を下すことは裁量権の逸脱として違法となると解する。

    解説

  • 45

    (不利益処分の名宛人による)文書開示請求に基づく開示決定処分について、かかる決定によりプライバシー侵害、営業秘密の公開という不利益を受ける第三者は、開示決定について取消訴訟を提起できるか。 (開示決定については行政手続法27条1項より、行政不服審査法により不服申立が制限されており、問題となる。)

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 思うに行政手続法27条1項(聴聞手続が法定手続を満たす限り、プロセス各段階について不服申し立てはできない)の趣旨とは、不利益処分の名宛人が聴聞手続き後の最終的な審査請求、取消訴訟において中間的付随的処分の違法を争える以上、手続きの遅滞、行政事務負担の点からかかる処分に対して不服申し立てを禁止したことにある。 とすれば、本問の開示決定は中間的付随的処分に留まらず、最終的な処分といえ、かかる趣旨は妥当しない。 また取消訴訟で開示決定を争えないとすれば国家賠償で争うしかなく、救済として不十分である。 ゆえに文書開示によって不利益を受ける第三者は開示決定の取消訴訟を、提起できると解する。

    解説

  • 46

    行政手続の適正手続4原則とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①告知・聴聞 行政手続法15〜29〜②文書閲覧 18③理由の提示 8,14④処分基準の設定・公表 5,12 ①事前に相手方に処分内容・理由を知らせ言い分を聞くこと。趣旨は処分の適法性・妥当性を担保し国民の権利利益保護を図ること。 ②聴聞に際して処分相手方が事案に関する行政側の文書等閲覧すること。趣旨は処分理由を基礎付ける証拠を把握し聴聞段階で的確な意見を述べさせ聴聞を実質化する点。 ③行政処分の際処分書に理由を付記し相手方に知らせる。趣旨は処分庁の慎重・合理的判断の担保と、不服申し立ての便宜を図ること。 ④趣旨は当事者に予測可能性を与えるとともに、行政決定の恣意・独断を防ぐ点にある。

    解説

  • 47

    弁明手続きにおいても、文書閲覧は認められるか。行政手続法31条が同法18条を準用しておらず問題となる。

    補足(例文と訳など)

    • ※弁明手続きは、比較的不利益度合の小さい行政処分(許認可等の停止処分、業務改善命令)に関する手続きで、仕組みは聴聞手続き(許認可の取り消し、名宛人の地位剥奪など不利益度合が大きいので、聴聞の方が意見陳述の機会、可能性が大きい)と変わらない。

    答え

    • この点、処分をしようとする行政庁が、その根拠となる資料を明らかにしなければ処分の名宛人が十分な防御をなしえないという点、弁明手続きも聴聞手続きと同様であり、解釈によって弁明手続きに18条を準用し、これを認める見解がある。 しかし聴聞手続きは相手方に特に重大な不利益を与える処分に対して行われる手続であり、弁明手続きに対してまで、かかる重大性に基づく保障を及ぼすのは、処分迅速性、手続簡便性の点妥当でない。 よって解釈によって弁明手続きに行政手続法18条を準用することは妥当でなく、文書閲覧は認められないと解する。

    解説

  • 48

    行政処分に至る手続きに違反があった場合、かかる瑕疵は処分の取り消し事由、もしくは無効事由となるか。

    補足(例文と訳など)

    • ※46で前述したが、行政手続法27条によって、手続を満たす限り、聴聞における質問時間が短いとか、難癖をつけ行政処分進行を遅延させられることを防ぐため、聴聞の各段階への不服申し立てはできない。

    答え

    • この点判例は個々の行政手続について、それが手続きの公正さ自体を確保するための手続か、それとも処分の内容の適正を担保するための手続きかに分け、前者ならば手続きの瑕疵のみで取消事由・無効事由とする傾向。 しかし行政手続法が施行された以上、行政庁はその行為義務として法定された手続に従わなかった以上、後続する処分の取消し・無効自由となるのが原則であるといえる。 具体的には前述した法定された行政手続きの適正4原則について瑕疵があれば、原則として処分の取消事由または無効事由となると解する。

    解説

  • 49

    (ここから訴訟法分野)行政法の訴訟類型として何があるか。

    補足(例文と訳など)

    • 行政訴訟とは別に、行政行為に対する不服申し立てという方法がある。これは裁判所でなく行政庁に直接その行政行為の見直しを求めるもの。

    答え

    • ①抗告訴訟(法定外抗告訴訟もある)a取消訴訟(処分/裁決)b無効等確認訴訟(予防/補充)c不作為の違法確認訴訟d義務付け訴訟(仮~)e差し止め訴訟(仮~) ②当事者訴訟:実質的/形式的 ③民衆訴訟④機関訴訟 ○訴訟選択としては「原告の利益の実現」に資するものを。 ○処分性の無い行政行為には抗告訴訟が立てられないので②を考える。 ○出訴期間も、抗告ー取消訴訟は厳しく、期間制約にかかればかかる規定を準用しない無効等確認の訴えを選択。 ○処分の段階についても、未だなされていない処分には差止めの訴えが実効的。ただし実質的当事者訴訟であれば、行政処分以外の処遇上の不利益についても追及でき、反復継続性・累積加重性の点、より有利であるのでケースバイケース。 ○請求拒否処分などは取消訴訟+義務付けの訴えを併合提起 ○仮の救済は、判決を待つ間に利益の救済が出来なくなってしまう時に用いる。

    解説

  • 50

    取消訴訟の原告適格について行訴法9条には明文あるものの、不服申立適格のありかについて、行政不服審査法4条1項においては「不服がある者」の意義が明文なく問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 行審法1条1項では法の趣旨として「簡易迅速な手続きによる国民の権利利益の救済を図る」ものとしており、行審法は主観争訟、つまり私人の権利利益に関する紛争を解決するため立法化されたもの。 さすれば行政不服審査法上の不服申し立て適格も、同様に主観争訟である取消訴訟の原告適格と同様に解すべき。 行政訴訟法9条1条につき取消を不服申立てに読み替え、当該処分により自己の権利もしくは当該処分又は裁決へ不服申立てするにつき法律上の利益を有する者、すなわち当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され又は、必然的侵害の恐れがある者をいうと解する。 ※法律上保護された利益=行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることで保護されている利益。本来目的が公益実現である場合に私人が享受する利益は反射的利益として区別される。

    解説

  • 51

    行政事件訴訟法と行政不服審査法を区別する意義とは。

    補足(例文と訳など)

    • (行政救済法にはかかる行訴法、行審法と、国家賠償法の3つがある。)

    答え

    • 行政不服審査法は誤った行政処分などを行政側に見直してもらう手続きを定めた法律。手続きとして「不服申し立て」。行政事件訴訟法は誤った処分などを裁判所に取消しなどしてもらう手続きを定めた法律。手続きとして「取消訴訟」などがある(抗告訴訟)。誤った行政処分などがあったときに、不服申立てを選ぶか取消訴訟を選ぶかは、法律で例外もあるが、原則自由。 不服申立は審査機関が行政庁で手続きが早くて無料。取消訴訟は審査機関が裁判所で審査が厳格になるために、手続きが遅くて訴訟費用が必要。通常は費用のかかる取消訴訟より不服申立を利用する。(取消訴訟は法による行政の原則の下強制力を判決効として与えることにメリット)不服申立は「審査請求」と「異議申立」の2種類。行政不服審査法の定めは不服申立ては原則的には、審査請求をするべきとされる。異議申立ては上級行政庁などがない場合に、直接行政処分をした行政庁に対して不服申立てを行うこと。具体例として、市民税・県民税の賦課(行政処分)について不服があるときは、異議申立て。審査請求は行政処分をした行政庁や不作為庁以外に行う不服申立て。不作為庁の場合は、異議申立て・審査請求どちらでも自由に選択できる。

    解説

  • 52

    職権探知主義(当事者の弁論に拘束されず職権により審査側の自由裁量をもって事実の探知および証拠調べを行う立場。弁論主義と対立する考え。)について行政不服審査法27条、30条において職権証拠調べが認められているものの、法全体の趣旨として職権探知主義は認められるか。

    補足(例文と訳など)

    • 不服申し立てへの対応に職権探知主義が妥当するか、という話。

    答え

    • まず①行政不服審査法の趣旨として、「国民の権利利益の救済」に加え「行政の適切な運営を図ること」があげられており、行政救済のみならず、行政統制も含まれている、さすれば公益実現の為行政庁は積極的に事実を調査すべき。 ②また、ⅰ処分庁は弁明書の提出義務が無くⅱ審査請求人の閲覧請求権も処分庁提出の文書に限定されておりⅲ審査請求人の口頭意見陳述も耐震構造にはなっていない。これらの事に鑑みれば、行政不服審査法は審査庁の職権探知主義を肯定しているとみるのが相当。

    解説

  • 53

    行審法33条2項より、不服申立ての中の、審査請求(処分庁でなく、上級の審査庁にする申立)についてその審理における閲覧請求権の対象は「処分庁から提出された書類その他の物件」である。 この中には33条1項より行政庁が任意で提出した書類等に加え、28条より審査庁が職権で収集した書類等まで含まれるか。

    補足(例文と訳など)

    • 出しようがない論点なので多分もう出ない。

    答え

    • この点閲覧請求権が不服申立人の手続き防御を十分に尽くさせるための手段であることを重視し、審査庁が28条より職権収集書類まで含むとする見方がある。 しかし①「処分庁から提出された」とある以上文理解釈からは導けないし、②審査庁が処分庁以外から収集した物件の証拠開示について同法に明文ない事、③48条が33条を準用しておらず異議申立て(処分庁にする申立)には閲覧請求権自体保障されていない事からして、(②+③)審査請求人または参加人の手続き的防御を尽くさせるという発想は閲覧請求権には及んでいないと解する。 さらに④33条の主眼が処分庁の物権提出権の保障にあるあることからすれば、申立人と処分庁との対立構造の限度で、申立人の手続き的権利を保障した者に過ぎない。よって閲覧請求権対象は処分庁が任意に提出した者に限られ、審査庁が職権で収集した書類等は含まれない。

    解説

  • 54

    原処分主義とは何か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 原処分の取消し訴訟と、(原処分への不服申立て棄却)裁決の取り消し訴訟どちらも提起できる場合、裁決取り消し訴訟においては原処分の違法を主張できず、裁決固有の瑕疵のみ主張しうることをいう。(行訴法10条2項)その趣旨は原処分の取り消し訴訟と裁決の取り消し訴訟において審理判断事項の重複を避け、もって手続の迅速を図るため原告の主張できる違法事由を制限することにある。 かかる主義に立てば、全部棄却判決を受けたものが更に訴訟を提起して原処分に内在する違法を主張する場合は原処分取り消し訴訟を提起するしかなくなる。

    解説

  • 55

    課税処分に対する不服申立てにつき、かかる処分の一部取消し裁決がなされ課税額が減額された場合、なおこれに不満がある者は原処分主義の適用を受けず取消訴訟を争えるか。(一部取消裁決の取消訴訟において原処分の瑕疵を争えるか。)

    補足(例文と訳など)

    • 処分の存続=原処分主義の適用、つまり裁決について言いたい瑕疵=原処分から続く固有の瑕疵ならば原処分主義適用。

    答え

    • そもそも一部取消裁決は、量的に可分な物の一部の効果を失わせる性質であって、かかる裁決においては、原処分の一部が取り消されていようが、取り消されなかった部分については申立(審査請求)却下の採決がなされている以上、原処分が存続しているといえる。 さすれば、一部取消裁決がなされた場合における、取り消されなかった部分における違法は原処分に内在する違法といえ、依然として審理判断事項の重複の危険がある以上、原処分主義の適用があるといえる。 よって原処分につき取り消し訴訟を提起しなければ原処分の違法は争えないと解する。

    解説

  • 56

    修正裁決、例えば営業免許取り消し処分が、有期営業停止処分に変更された場合(行審査法40条5項)かかる裁決に不服がある者は原処分、裁決いずれに取消訴訟を提起すべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点、修正裁決は原処分の取り消しかつ新処分であるので、その内容の瑕疵については裁決という新処分に内在するものとして採決への取り消し処分をなすべきとする見方もある。 しかし処分権限発動の審査(新処分)と、処分の種類・量定の選択審査(修正裁決)は区別すべき。 後者の段階でなされる処分の法律効果修正は前段階の処分を前提とするもので新処分を構成するのは妥当でない。 そもそも修正裁決は、処分権者(処分庁)の権限発動の意思決定そのものを承認し、処分権者が選択した処分の種類、量定についてその適法性、妥当性を審査し上級行政庁の裁量から意思決定の「内容」に変更を加えることであって、原処分は当初から修正裁決による修正通りの法律効果を伴うものとして存続していたといえる。 よって修正裁決の瑕疵=原処分固有の瑕疵といえ原処分主義が妥当、修正裁決に不服のあるものは原処分について取り消し訴訟を提起すべき。

    解説

  • 57

    行訴法にいう取消訴訟について、処分性とは。

    補足(例文と訳など)

    • 繰り返し、カード9らへんをチェック。

    答え

    • 取消訴訟対象となる行政訴訟法3条2項における「処分」とは公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成、または範囲を画定することが法律で定められていることをいう。 よって処分性の判断基準とは①公権力性の有無②個別具体的な法的地位変動の有無をもって、個別法の仕組み解釈から立法者意思を考慮すべき。(③紛争解決の要請として第三者効を有する処分性を肯定すべきか)

    解説

  • 58

    取消訴訟の原告適格について、行政訴訟法9条1項にいう「法律上の利益」を有する者について、かかる文言の解釈は。そして2項の意義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 裁判所判断に客観的基準を与え、関係者の法的安全性を保障するために、「処分の根拠法規が保護する利益」をいうと解する。 よって「法律上の利益を有する者」とは当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害される恐れがある者をいう。また特定人の権利保護規定でなくとも、当該処分を定めた行政法規の意思として、不特定多数の具体的利益を専ら一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の具体的利益として保護する趣旨を含むと解される場合、かかる利益についても「法律上保護された利益」にあたるといえる。 そして2項では、処分の相手方以外の第三者について「法律上の利益」をゆうするか否かの解釈指針を明示し、実質的に原告適格の範囲拡大しているといえる。

    解説

  • 59

    住民団体や、消費者団体など、多数人の共通利益を保護利益として法律上または事実上代表する団体が、取消訴訟を提起できるか、原告適格が認められるか。

    補足(例文と訳など)

    • ※日本では消費者保護法において団体訴訟らしいものが認められているが、差し止め請求をなしうるにすぎず、取消も、賠償請求もできない。

    答え

    • ①個々人が原告適格を有しているとして、団体自体に原告適格を認めるべきか。確かに訴訟の一本化による訴訟経済保全、また団体が有する訴訟進行に必要な専門知識の活用、また個々人の少額損害をまとめ規模の不利益を解消、泣き寝入りを防ぎ行政救済を有効化する点などの利点から、団体に原告適格を認める見解もあるが、団体が敗訴した場合でも、既判力は構成員に及ばず、依然として構成員個々人の同一損害についての出訴が妨げられず、紛争解決の実効性が失われるので、許されないと解する。②また個々人全員に原告適格は認めがたいが、共通利益をゆうする団体といては原告適格が認められないか、についても明文の規定が無い限り、かかる形での団体訴訟の肯定は困難である。 よって団体訴訟は原告適格を認める余地が無く、提起することはできない。

    解説

  • 60

    取消訴訟における狭義の訴えの利益(行訴法9条1項)とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 当該処分を取り消す実際上の必要性といい、かかる訴えの利益が認められなければ取消訴訟自体却下される。 原告適格が当該原告が訴訟追行する正当な資格をゆうするか否かという原告の主観的事情に関する問題であるのに対し、狭義の訴えの利益は、具体的な周囲状況という客観的側面から、当該訴訟を維持、追行する法律上の利益を探る。 よってその訴訟要件の有無は、判決言渡時処分が取り消し判決によって除去すべき法的効果を有しているか、処分を取り消して回復される法的利益が存在するかで判断する。

    解説

  • 61

    取消訴訟の狭義の訴えの利益は行訴法9条1項括弧書によてば、処分の効力が失われた後でも回復すべき「法律上の利益」があれば失われない。では名誉・瀋陽が害される恐れがある場合はかかる場合に当たるか。

    補足(例文と訳など)

    • 判例:最判S55.11.25は免停処分の記載された免許証を所持することにより名誉等侵害される可能性が継続しても、これを事実上の不利益であって狭義の訴えの利益を否定した。H21.2.27では優良運転者である旨の記載が事実に反してなされない事について、教義の訴えの利益を肯定した。

    答え

    • この点について取消訴訟は違法な処分の法的効果により原告の権利利益が侵害されている場合、その法的効果を排除することを目的とする訴訟で、事実上の効果の排除は目的でない。 よって「法律上の利益」とは法律上の権利ないし法律上保護される利益に限定される。すなわち名誉・信用を害される恐れのような事実上の影響については回復すべき「法律上の利益」があるとはいえない。

    解説

  • 62

    取消訴訟にいう狭義の訴えの利益について、建築確認に基づく工事が完了した後、かかる建築確認への取消訴訟は認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 判例最判S59.10.26 ①建築確認は工事を適法に行うことが出来るという効果を持つのみ②工事完了後の検査、違法建築物の是正命令については建築物や敷地の状態自体の適法性を基準とし、建築確認の適法性は工事を完了した時点でもはや問題とならない③是正命令の発令は行政裁量に委ねられ、建築確認を取り消したとして、是正命令を発する義務が発生するわけではないので、取消によって回復される法律上の利益は存しないというべき よって建築工事が完了すれば、建築確認の取り消し訴訟については狭義の訴えの利益は失われるとした。

    解説

  • 63

    競願関係(ある利益処分を巡って複数の者の申請が競合し、そのうちの一人に対して利益処分がなされれば、それ以外の他者にとって自己の申請が拒否されることが必然となる場合。不可分申請)にある場合、例えばAに免許が与えられ、よってBの申請が拒否された場合、Bは①Aへの免許処分取り消しを求める②B自身への申請拒否処分の取り消しを求める、という方法が考えられるが、②の方法をとることは適法か。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • Bが勝訴して自らへの拒否処分が取り消されたとしても、Aに対してすでに有効な免許が付与されている以上Bに免許を受ける余地がないので、Aの免許処分を先に取り消さない限りBは自身への拒否処分取り消しを求める狭義の訴えの利益(行訴法9条1項括弧書)はもはや失われるのではないか。 しかし競願関係がある場合、その一方への拒否処分と他方への免許処分は表裏一体の関係にあり、本来は一体として扱わなければならない性質のもの。 よって行政庁は競願関係にある一方の処分が取り消し裁決により取り消されたならば改めて競願関係にある処分全体をやり直すべきであり、(行訴法33条2項)取消訴訟の結果によっては一方に与えた免許を取り消して他方に免許を付与する可能性がある。 よってBには新たに免許を受ける余地がないとは言えず、自己の拒否処分の取り消しを求める利益は認められ、②の方法をとることも可能である。

    解説

  • 64

    取消訴訟において、違法を判断する基準時はいつか。処分後事実状態の変動、法令の改変があり取消訴訟の口頭弁論終結時においては、適法・違法の判断が異なってくる場合があり得、問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点、取消訴訟は行政処分の適法性を事後的に審査する訴訟であり、また口頭弁論終結時を基準とすれば裁判所に口頭弁論終結時まで行政処分の効力を存続させるべきか否かの判断権限を与えることになり、行政処分の適法性に関する行政庁の第一次判断権を侵害しうる。 よって処分の時点を基準に判断すべき。

    解説

  • 65

    取消訴訟の訴訟物が行政処分の違法性一般であり、原告は処分についての一切の違法事由を主張できそうであるが、行訴法10条1項より「自己の法律上の利益に関係のない違法」を主張できない。 ではいかなる主張であればかかる違法の主張といえるのか、文言解釈せよ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点行訴法10条1項の趣旨から検討すべき。取消訴訟は原告が行政処分によって被った、もしくは被る危険のある権利利益の侵害の救済を目的とする主観争訟である。よって仮に原告が自らの権利利益に関係のない違法事由を主張することを認めればかかる趣旨に反する。 よって「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは、行政庁の処分に存する違法であって、原告の権利利益を保護する趣旨で設けられたのではない法規に違反したに過ぎないものをいう。 よって原告の権利利益を保護する趣旨で設けられた法規に違背した旨の主張であれば許されると解する。

    解説

  • 66

    取消訴訟判決を得るまでの間に執行停止を裁判所に申し立てすることはできるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 取消訴訟を提起しても、原則として処分の効力、執行、手続続行は停止されない。(行訴法25条1項執行不停止原則)その趣旨は、行政の円滑な執行の確保と、国民による濫訴の弊害を避ける点にある。 もっとも翻案判決までの間に、不利益な状態が係属したり現状が不利益に変更されることを防止する必要がある場合もある。そこで行訴法25条2項により、一定要件化で執行停止が認められる。 ①本案訴訟の係属②重大な損害を避けるため緊急の必要があることが積極要件。そして③公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ④本案について理由がないと見えることが消極要件となる(25条2項、4項) ※かかる要件は一定の相関関係にあり、例えば執行停止を認めた場合の公益への影響が軽微であれば(③にいう影響)、要件を認めるには②の損害も重大なものである必要はないと解する。 なぜなら執行停止をすべきか否かの判断は、原告の暫定的な権利利益救済の必要性と行政処分の目的の早期実現の要請とをいかに調和させるかという観点から行われるべきだから。

    解説

  • 67

    無効確認訴訟について、行政法36条後段では「処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することが出来ない」ことを訴訟要件としているが、かかる補充性要件の意義は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することが出来ないもの」の意義を、行政行為の無効を前提とする当事者訴訟または民事訴訟に還元できないものをいうとして厳格に解する見解があるが、無効確認訴訟の許容範囲は極端に狭くなり、行政救済に失する。 そこで、無効等確認訴訟とは、出訴機関の制約のない取消訴訟としての実質を有することを重視し、紛争解決機能の面から解釈すべきであることから、「」とは行政行為の無効を前提とする当事者訴訟及び民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認訴訟の方がより直截的で適切な争訟形態であるものをいうと解する。

    解説

  • 68

    行政訴訟法36条で定められた無効等確認訴訟の原告適格とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • ①「処分又は裁決に続く処分により損害を受ける恐れのある者(主観要件1)」②「処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者(主観要件2)」③「処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することが出来ないもの(補充性要件)」を除く。 このうち消極要件③は①②にかかるのか。 この点条文の文言を重視し③が①②両方にかかるとする見解があるが、一元説によれば①処分又は裁決に続く処分により損害を受ける恐れのある者であるにも関わらず③現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することが出来る場合無効等確認訴訟を提起できず、国民救済の点妥当でない。 よって③は②のみにかかり、①の要件のみ満たしている者も訴えが提起できるとする二元説が妥当。よって①のみの「予防訴訟」としての無効等確認訴訟を認められる。

    解説

  • 69

    不作為の違法確認訴訟はいかなる場合に認められるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 私人が行政庁に対して法令に基づく申請をしたにもかかわらず行政庁が処分又は裁決をしないことの違法確認を求める訴訟。(行訴法3条5項) その趣旨は、不作為とあっては処分又は裁決が存在しない以上取消訴訟をもって救済することは不可能であり、かかる申請人を救済することにある。 要件は①法令に基づく申請に対し②相当な期間内に③何らかの裁決をしないこと(行訴法3条5項)④(原告適格)処分又は裁決の申請者(行訴法37条)であって、①について、新政権は法律の明文で規定されている必要なく、法令解釈上原告の申請権が認められれば良い。②について正当化する特段の事情ない限り、処分をなすのに通常必要とする期間を基準にこれを経過すれば違法。④については、現実に申請をしていればよく、その手続適法、不適法は問わない。

    解説

  • 70

    差止訴訟とは、その要件とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 差し止め訴訟とは行政庁が一定の処分又は裁決をなすべきでないのにこれがなされようとしている場合、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを裁判所に求める訴訟(行訴法3条7項) 訴訟要件は①一定の処分又は裁決がなされることで②重大な損害が生ずる恐れがあり③その損害を避けるため他に適用な方法がないとき(行訴法37条の4第1項)④差し止めを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起できる(第3項) ①裁判所の判断が可能な程度に(なされうる処分又は裁決が)特定されていること②重大な損害は、処分後取消訴訟の提起と執行停止の申し立ての手段をとっても十分な救済が図れない場合に認められると解する。「損害の回復困難性」「損害の性質・程度」「行政処分・裁決の内容及び性質」も考慮事項とする(37条の4第2項)③その損害を避けるため他に適当な方法があるときでないこととは、第三者への民事訴訟提起が可能であっても否定されるものでない。④また法律上の利益の有無の判断は取消訴訟の原告適格を実質的に拡大する趣旨で設けた行訴法9条2項(処分の相手方以外の第三者)

    解説

  • 71

    義務付け訴訟について、いかなる類型があるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 義務付け訴訟=行政庁が一定の処分又は裁決をすべきであるにもかかわらずこれがされない場合、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命じることを裁判所に求める訴訟(行訴法3条6項) まず①同項1号「行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」に、かかる処分をすべきことを命じる非申請型と②同項2号「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにもかかわらずこれがされないとき」に、処分又は裁決をすべきことを命じる申請型(不作為の無効等確認訴訟と併合提起すべき。)の2つに分けられる。 そして申請型には、さらにⅰ「当該法令に基づく申請又は審査請求に対し応答の期間内に何らの処分又は裁決がされない」ときの不作為型(行訴法37条の3第1項1号)ⅱ「当該法令に基づく震災又は審査請求を却下しまたは棄却する旨の処分又は裁決がされた場合」の拒否所運型(行訴法37条の3第1項2号)である。

    解説

  • 72

    仮の義務付けの要件とはなにか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず、平成16年改正前の行訴法では義務付け訴訟自体法定されていなかったので裁判所によりかかる訴訟携帯が解釈で認められても、仮の救済手段が欠けていた。そこで義務付け訴訟の法定と共に仮の義務付けの制度が行訴法37条の5に法定された。 要件は37条の5第1項より①義務付けの訴えの提起があった場合で②義務付けの訴えにかかる処分又は裁決がなされないことで生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり③本案について理由があると見えることが必要。 また消極要件として、第3項に④「公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがあるとき」は仮の義務付けはできない。 解釈で言うと、②の「緊急の必要」とは、処分・裁決がなされないことで生じる損害が、原状回復ないし金銭賠償による填補が不能、もしくは社会通念上相当に困難とみられる程度に達し、かかる損害の発生が切迫し、社会通念上これを避けねばならない緊急の必要がある場合をいう。

    解説

  • 73

    実質的当事者訴訟とは何か。いかなる場合に用いるべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 実質的当事者訴訟とは行訴法4条後段にいう「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」。その趣旨は国民と行政主体との多様な法律関係に応じ、処分性の認められない行為でも、その行為に起因して具体的紛争が生じ司法的審査に欠けるほどの紛争の成熟性が認められる場合(確認の利益とか)、かかる当事者訴訟を受け皿にして国民の権利利益の実効的救済を図ることにある。 通達等、行政内部の意思決定や、行政指導には処分性が認めがたく、かかる訴訟形態を利用することで、通達や行政指導などに起因して生ずる法的義務の不存在確認の訴えという救済手段がとれるようになった。

    解説

  • 74

    国家賠償法1条1項の責任性質と関連して、国または公共団体の公務員による一連の職務上の行為過程に国民へ損害を与えた場合、加害公務員、加害行為の特定を要するのか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず同項の責任性質として、根拠を危険責任とし、本来的に国または公共団体が負う責任とする見解(自己責任説)があるが、同項が故意、過失といった公務員個人の主観的要件充足を通じ国に対する賠償請求権を認め、また同条2項が国に加害公務員への求償権を認めているなど、代位責任的な法律構成をとっている以上、本来加害公務員が負うべき責任を代わって負う物と解する。(代位責任) さすれば、加害公務員、加害行為は損賠責任発生の根幹として特定が必要と思われる。 しかし主体が明らかであるのに、個別の特定がなされないことを理由に賠償責任を否定することは国民救済を否定する。 そこで特定の程度を緩和し、①国又は~による一連の行為のいずれかに行為者の故意・過失による違法行為がなければ被害が生じなかった(条件関係)②それがどのこういであるにせよ被害につき国または公共団体が賠償責任を負うべき関係が存するとき、は一連の行為につき責任を負うべき主体が明らかである以上、加害者、加害行為の特定なくて国賠法1条1項の責任を逃れるとは言えない。 (判例は一連の行為すべてが職務上の行為に当たる場合に限定している。)

    解説

  • 75

    国賠法1条1項「公権力の行使」の意義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 国家賠償制度の究極の目的が公務により損害を被った国民の救済にあるから、分離に反しない限り広く解するべき。 ただ国または公共団体の作用であっても、一般の私人と同等の立場で行う経済活動まで含めるのは文理から離れるし、公の営造物設置・管理の作用は国賠法2条に規定があるので含める必要がない。 よって純粋な私経済作用と、国賠法2条にいう公の営造物の設置・管理の作用を除く、すべての国または公共団体の作用をいうと解する。

    解説

  • 76

    国賠法1条1項の加害行為についての賠償責任発生要件「職務を行うについて」の意義とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点国家賠償制度の究極の目的が、公務に起因して損害を被った国民の救済にあり、意義は広く解すべき。 よって「職務を行うについて」とは行為が厳密には職務行為そのものとして行われた物でなくとも、①公務と一定の関連性を持つ行為や、(例えばパトカーで追跡中誤って店に突っ込んだ)②行為者の意思に関わらず、職務行為と牽連関係があり、客観的・外形的に見て社会通念上職務の範囲(警察官が非番の日に権限行使の意図を持たず拳銃、制服を持ち出し私怨から射殺)と言えれば、これに含まれると解する。

    解説

  • 77

    国賠法1条1項の「過失」を認定するに際していかなる事実を主張立証すべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 国家賠償責任は代位責任(論述省略)であることを強調し、加害公務員自身の責任能力、主観的認識状況を基準に、過失を主張立証せねばならないとする見解があるが、かかる考えによれば違法行為を行った公務員の個人的事情で被害者救済が左右され、国家賠償制度の公正な運用が実現できない。 そこで過失の中身を客観的に解釈し、公務員が職務上要求される標準の注意義務を尽くしていたかを基準とする。(抽象的過失説)

    解説

  • 78

    国賠法1条1項の「違法」は、いかなる場合に認められるか、判断基準は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点国家賠償制度は被害者の損害を填補し救済に資することを趣旨としているので、行政活動によって生じる結果に着目し、被侵害法益の側から法の許容しない結果を発生させたこと=違法性とする見解があるが、そもそも行政には法によって国民の利益・権利の制約が正当化されていて侵害そのものを違法性判断の決め手にできないし、行政作用は私人の行為と異なり、法の下の行政の原理に沿って、法令や法の一般原則など客観的法規範で行動規範を起立されている。 そこで違法性の認定は、公務員の違法な行為に着目して、侵害行為の態様の面から判断すべき。 この考えを前提に、違法性の有無は、加害公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否かで判断する。(職務行為基準説)

    解説

  • 79

    国賠法1条1項の違法性は、取消訴訟における違法性と異なるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点、かかる違法性を同一に解し、行政処分に起因する国家賠償請求事件につき国賠法1条1項も法治主義を担保する役割を持つとして、被害を生じさせた行政処分が法令の規定に違反している以上違法と評価されるべきとする見解がある。 しかし取消訴訟が行政庁の公権力行使に関する不服を争う行政事件訴訟である一方、国賠請求訴訟は民事訴訟として金銭賠償を求めるものでこれを同一に解すべき理由はなく、また取消訴訟における違法性は処分の根拠法規への違反を基準とする一方、国賠請求訴訟では公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか否かが問題となる、よって取消訴訟の違法性国家賠償請求訴訟における違法性は区別されるものと解する。 よって、取消訴訟では違法性が認められなくとも、国賠による保護が認められる場合があり得る。

    解説

  • 80

    行政機関がその裁量にゆだねられた国民に対する危険発生防止のための規制権限の行使をおこたっと事で国民に損害が発生した場合、国賠法上の違法と評価できるか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点、法律要件が充足されようと行政庁が規制権限を行使するか否かはその裁量に属するとして、不作為に違法の評価はできないとする見解もあるが、実際的には三面関係(行政庁・被規制者・第三者)の紛争が多く、第三者がこうむる不利益を放置することになりかねない。 よって一切を行政庁の裁量とし不作為を国賠法上違法としないことは妥当でない。 ○ではいかなる場合に不作為に国賠法上の違法の評価ができるか。 この点行政庁の裁量権が一定の場合ゼロに収縮するという解釈(裁量権収縮論)があるが、原則認められる裁量が収縮し作為義務へ転化し、作為義務違反が違法と評価する構成は迂遠。 そこで行政庁の権限不行使を端的に義務違反=違法と評価すべき。つまり具体的状況下での規制権限の不行使が、規制権限を定めた法の趣旨・目的に照らし著しく合理性を欠くと認められる場合、裁量権の逸脱・濫用とし、違法とする。(裁量権消極的濫用論)

    解説

  • 81

    国賠法2条の国家賠償責任は、1条と同様過失責任か、民法717条の工作物責任と同様に無過失責任といえるか。 そして2条1項の「瑕疵」の意義とは。そして瑕疵が認められるにはいかなる要素を判断すべきか。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • そもそも国賠法2条は、国または公共団体が、公園、道路など公の施設を設け、国民の利用のため提供している以上、その安全性を担保する高度の注意義務を負い、その施設の設置・管理の瑕疵から生じる危険については危険を負担すべきという、危険責任の法理に由来する規定である。さらに1条1項と比較して2条1項は責任要件に「過失」の存在を文言上要求していない。 よって国賠法2条の責任性格は過失責任でなく、無過失責任と解する。 また国賠法2条1項が危険責任の法理に由来することから、「瑕疵」とは営造物が通常有すべき安全性を欠くことを言うと解する。そして「瑕疵」の対象に「管理」という後発的行為が含まれていることから、その判断に関しては、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況など、更に管理者の主観的事情を含め、諸般の事情を総合考慮して個別具体的に決すべき。(例えば道路の管理なら、物理的欠陥のみならず、なすべき管理行為の有無を検討。また客観的な管理可能性を前提とし、判例では事故による赤色灯消灯は管理可能外であるので不可抗力として瑕疵を否定した。)

    解説

  • 82

    判例について、大東水害訴訟において示された河川管理の「瑕疵」の判断基準とは。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 住民らの未改修部分からの逸水による被害に基づく国賠法2条の主張に対して、河川の性質を、管理者の特別の行為を不要とする自然公物で、自然的原因による災害の危険性が内包されたものと捕え、備えるべき安全性は管理開始後予想される規模の洪水に対応する治水事業で確保されるものの、財政・社会・技術面での制約があるし、道路の一時封鎖のように簡易な危機回避手段が無く、未改修河川・不十分な改修の河川の管理に当たっては過渡的な安全性を保てば足りるとした。 もって河川管理の「瑕疵」判断基準は河川管理の得失に由来する財政、技術、社会的諸制約の下諸般事情を総合的に考慮し、同種・同規模の河川管理の一般水準及び社会通念に照らし是認しうる安全性を備えているか否か、とすると判示。

    解説

  • 83

    大東水害訴訟判決を踏まえ、多摩川水害訴訟において破棄差し戻し判決がなされた経緯をのべろ。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • 多摩川水害訴訟では、河道内の許可工作物である取水堰(河川法に基づき改修・整備が完了していたが想定内水量で損壊)の損壊で水害が発生、被害を受けた住民が管理者たる国に国賠法2条1項責任を追及した。本判決では源信が大東水害訴訟における基準を、具体的事案の考慮無く適用した点、破棄差し戻しするに至った。 まず大東水害訴訟判決の河川管理の瑕疵判断基準を正当なものと認めつつ、まず河川法に基づく工事実施基本計画による回収・整備が完了し、もしくは新規回収・整備を必要としないとされた河川である以上、想定された洪水から、当時の防災技術の水準にてらし、通常予想しかつ回避しうる水害を未然に防止するに足りる安全性を備える必要がある。 また許可工作物であることについて、河川管理者は許可工作物の存在を前提とし河川の安全性確保の責務を有し、更に許可工作物からの危険除去措置は、財政的~的諸制約が流域全体の管理上生じる制約に比べ相当に小さく、求められる安全性も相応に高くなるとした。

    解説

  • 84

    最高裁判決S61.3.25:駅ホームの点字ブロック不設置につき、ホームに転落した視力障碍者が営造物の設置又は管理の瑕疵(国賠法2条)として損害賠償を請求した事件において、原判決を破棄した最高裁の判決理由は。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • まず営造物の設置・管理の瑕疵は、営造物が通常有すべき安全性を欠く状態をいい、その存否は構造、用法、環境、利用状況など諸般の事情を総合考慮して個別具体的に決するとした。 そして点字ブロック不設置がホームが通常有すべき安全性を欠くか否かについては①かかる安全設備が視力障碍者の事故防止に有効なものとして素材、形状、敷設方法の点標準化され全国ないし当該地域において普及しているか②駅のホームの構造又は視力障碍者の利用度との関係から予測される事故発生の危険性の程度③上記事故を未然防止するため安全設備を設置する必要性程度及び設置の困難など諸般事情を総合考慮すべしとし、その上で点字ブロック等の当時における標準化、普及の程度につき原審の認定が不明確であるとして損害賠償責任を認めた原判決を破棄した。

    解説

  • 85

    営造物そのものに物理的瑕疵はないが、通常の用法で利用される事により本来の利用者以外の第三者に危害を加える場合、国賠法2条1項に基づいて損害賠償請求できるか。空港の騒音、高速道路の排気ガスによる大気汚染など、いわゆる機能的瑕疵が国賠法2条1項の「瑕疵」に含まれるか問題となる。

    補足(例文と訳など)

    答え

    • この点国賠法2条1項の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性に欠けることをいう。そして営造物は外界の環境から隔絶して存在しているのでなく、また国賠法2条1項がただ「瑕疵」でなく、「設置・管理の瑕疵」と明記していることから、かかる安全性の欠如は、当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備により危害を生ぜしめる危険がある場合のみならず、営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合も含まれる。そしてかかる危害は利用者のみならず国民全体に対する者も含むと解する。 よって機能的瑕疵も国賠法2条1項の「瑕疵」に含まれ、かかる瑕疵で社会性かる上受忍すべき限度を超えた損害を受けた場合、利用者以外の第三者も国賠法2条1項に基づき損害賠償請求できる。

    解説

56953

セットの学習コンテンツ

公開初月で
60,000
ダウン
ロード!

無料アプリはこちら!

英単語をウェブサイト
からzuknowに簡単登録

覚えたい単語を選択するだけ!
簡単にzuknowに登録することが
できます

Get the free Chrome Extension

トップ